ミャンマーで民主化のためのデモに出た
僧侶たち =BTNよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社
画面テロップ:「国民の90%が仏教徒
お坊さんのデモ参加が軍部にとって負担」
いまミャンマーで起きている軍部クーデターは、韓国では、他人事ではない事態として受けとめられています。保守・進歩を問わず、各分野から、ミャンマー市民への支援の動きと憂慮の声が上がっています。韓国で軍事クーデターと闘った“光州事件”の犠牲者遺族も、もちろん高い関心をもっていますが、そればかりでなく、たとえば、
韓国ではもっとも保守的とされる仏教界(朴・全軍事政権に協力した)が、ミャンマー民主勢力への支援を表明していることに驚かされます。
朝鮮半島の仏教は、日本、中国の仏教と同じく「大乗」に属していますが、日本ほどは「大乗」「小乗」の区別にこだわらないようです。とくに、東南アジアの「小乗」仏教に対しては、シャカ生存当時の本来の教え(原始仏教)を伝えるものとして、大きな関心と尊重の念を懐いています。
そのため、一時の韓国仏教界では、ミャンマーへ数年間の修行に行くことが流行したといいます。現在、韓国の仏教界で活動している僧侶の少なからぬ部分が、若い時にミャンマーで修業した経験を持っているのです。そこから、ミャンマー仏教界との人的つながりはもとより、ミャンマーの事態を他人事としては見られないふんいきが、韓国仏教界に起きているように見うけられます。
日本には、真宗本願寺派、創価学会から、共産党と提携する日蓮宗「妙法寺」派まで、中道・進歩の陣営にコミットする仏教宗派が少なくありませんが、ミャンマーの軍部クーデター反対に、団体としてコミットする宗派が、ひとつでもあるでしょうか?
私の見るところ、相違は「進歩⇔保守」ではなく、仏教そのものに対する根本的な姿勢の違いではないかと思われるのですが‥
韓国の日刊紙『ハンギョレ』の文化面からお届けします。
『ハンギョレ新聞』は、軍政時代、民主化を主張して職を追われた新聞記者が中心になり設立された。盧泰愚、金泳三、李明博、朴槿恵の保守派政権には批判的だったが、金大中、盧武鉉と続いた改革・進歩派の政権では、比較的政府に好意的であった。
2017年に誕生した文在寅政権に対しては一貫して支持しており、文在寅自身も、かつて『ハンギョレ新聞』の創刊発起人、創刊委員、釜山支局長などを歴任している。他方で、政権寄りの報道に対して若手記者が抵抗する事態も起きている。
今回の記事は、『ハンギョレ』宗教専門記者チョ・ヒョン氏によるものです。
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ミャンマーで民主化のためのデモに出た
僧侶たち =BTNよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社
画面テロップ:「実践仏教全国僧伽会」
「軍部の退陣と世界人の関心を求め
声明書を発表」
http://japan.hani.co.kr/arti/culture/39216.html
『 韓国仏教界が
ミャンマーの民主化を支援するわけは?
ミャンマーで軍部の発砲でデモ参加者が相次いで死亡している中、韓国の仏教徒たちがミャンマー軍部の暴圧を強く非難し、ミャンマーの民主化に向けた支援に乗り出している。
実践仏教全国僧伽会は最近、「ミャンマー民主化運動支持連帯声明書」を発表し、戒厳令撤回と暴力鎮圧中断、民間政府への権力委譲を求め、こうした動きに拍車をかけている。実践仏教全国僧伽会は、1980年に全斗煥(チョン・ドゥファン)軍部政権による光州(クァンジュ)市民虐殺を機に、ジソン僧侶(現民主化運動記念事業会長)をはじめとする僧侶が結成した仏教界の代表的な団体だ。同団体は、仏教者国際連帯会議(INEB)を通じてミャンマーの状況を全世界に伝え、連帯を広げている。
仏教環境連帯や参与仏教在家連帯など11の仏教NGOも「ミャンマーの平和と民主主義を念願する仏教界の市民団体」を結成し、支援活動を行っている。彼らは「仏教的価値から見てクーデターと暴力的鎮圧は容認できない」とし、クーデターの中止を求めた。曹渓宗総務院労組も「修行のために世界の人々が訪れる美しいミャンマーのために、銃と刀を下ろすよう」求めた。21日夜には瞑想団体連合「平和になろう」(Be The Peace)が1時間、ミャンマーの平和のための瞑想を行なった。
ミャンマーはアウンサンスーチー国家顧問をはじめ、人口の90%が仏教徒の国だ。しかし、韓国の仏教徒たちが特別な関心を示すのは、ミャンマーが仏教国家だからだけではない。ミャンマーは修行に情熱を持つ韓国の仏教徒にとって、タイやラオス、カンボジアなどよりも海外修行先として人気のある国だ。1990年代後半からミャンマーが釈迦牟尼当時の修行法をそのまま保存していると知られ、韓国の修行界に「ミャンマー行きブーム」が広がった。ミャンマーは仏教の本場であるインドで初期仏教修行法が滅失した後も、唯一その命脈を受け継いできた国だ。西欧で旋風的な人気を博している四念処(Satipatthana)修行の元祖がミャンマーのヴィパッサナーだ。ユヴァル・ノア・ハラリ氏が修行するというゴエンカ修行センターの元祖もミャンマーだ。ミャンマーの首都ヤンゴンをはじめ、有名なヴィパッサナーの修行センターには、毎年、短くて数週間、長くて数年の韓国人が滞在する。(なお⇒ミャンマーの仏教)
ソンチョル僧侶が滞在した海印寺白蓮庵で、ウォンタク僧侶を恩師として出家し、2005~2007年にミャンマーに滞在しながらヴィパッサナー修行をしたジェタワナ禅院長、イルムク僧侶は「現地では僧侶でも政治の話をすればお寺が閉鎖され、逮捕される雰囲気だった」とし、「ミャンマー軍部が修行センターを経済的に支援する一方、現実に関心を持たないようにしている」と伝えた。
韓国仏教界は「ミャンマーの民主化過程が韓国の再現」という点で、懸念を示している。実践仏教全国僧家会名誉代表のイルムン僧侶は「韓国でも1980年代まで軍部から支援を受けた高僧たちは独裁に協力し、若い僧侶たちだけが民主化に参加した。ミャンマーでも若い僧侶たちだけが危険を冒して街頭に出ている」とし、「仏教国家であるミャンマーで社会的に影響力のある高僧たちが良心の声をあげてほしい」と述べた。さらに「韓国も軍部による12・12クーデターに続く5・18光州虐殺当時、国際的な連帯と支援を受けて民主化を成し遂げた歴史がある」とし、「似たような過程を経験したミャンマー市民と仏教界にもそのような助けが必要だ。仏教界が先頭に立って連帯して支援しなければならない」と話した。』
3月1日、ミャンマー、ヤンゴンで
催涙弾から逃げるデモ隊 =AFP=時事
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3月1日、ミャンマー、ヤンゴンで
デモ弾圧の犠牲者に花を手向ける市民
=AFP=時事
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