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 北朝鮮が、10月10日未明、平壌の労働党創建75周年軍事パレードで、「新型ICBM」「北極星4A型SLBM」「KN25型超大型放射砲」などの最新兵器を露出しました。米大統領選を狙った挑発としては、核実験、ミサイル発射実験などの刺激的な国連決議違反は控えて、軍事パレードでの兵器誇示をするだろうと、私は予想していましたが、どうやら的中しました。

 しかし、予想していなかったのは、軍事パレードが午前0時~2時という異例の真夜中に行われたことで、その意図について説明している報道は、いまのところありません(
その点に集中した解説は、こちら⇒:李相哲TV)。おそらく、兵器の細部を、衛星観測や、平壌市民、外国公館員の眼から隠すため… ハリボテを見破られないためであったと思われます。参列した観衆には、マスクをした者が見られないことから、軍将兵、党・選良分子などの動員された人員(といっても、映像が合成でなければ数万人以上)のみが観覧を許されたと推測できます。

 


10.10.未明軍事パレードに登場した「世界最大」新型ICBM/AP通信

 

 この「新型ICBM」については、積載している移動式発射台(TEL)↑が、最新とされていた「火星15型」の片側9輪から片側11輪に拡大していることから、「複数の核弾頭を装備できる多弾頭型で、米国の都市を攻撃する能力を向上させた」との韓国政府機関および米国シンクタンクの推測も流れています。たしかに、大きさは世界最大とのこと。

 

 しかし、北朝鮮の公式メディアは、抽象的な誇大宣伝に終始しており、多弾頭型かどうかには触れていません。


 翌16日朝には、韓国航空大学・張泳根教授(航空宇宙工学)の、「発射実験用のものではなく、軍事力を誇示するための実物大模型だった可能性が高い」との初期分析結果が伝えられました。液体燃料を搭載した状態の発射重量は100トン水準になるので、「TELに載せて発射位置まで移動するには、大きな制限が伴う」。TEL積載はパレードのためで、むしろ、地下のミサイル施設に格納して固定式のICBMとして運用することになるだろうと、張泳根教授は指摘する。また、多弾頭型だとすると、ミサイル上段に、ポスト・ブースト・ヴィイクル(PBV)と呼ばれる推進体を格納するスペースが必要だが、「北がPBVの小型化・軽量化を達成したかは疑問」であるから、これから小型PBVを開発して本物を造りますよ、という予告の模型――ハリボテだ――、というのです。

 

 

 同日午後の報道によれば、米国益研究所(CNI)韓国担当局長のハリー・カジアニス氏も、電話インタビューで、同様の見解を述べています。

 

 

 他方、日本の政府は、「従来の装備品では対処が困難なものもある。」との軍拡狙いの発言を繰り返しながらも、「情報の分析、警戒監視に全力を挙げていきたい」と、パレード前よりもトーン・ダウンしています(官房長官)。これは、北朝鮮が来年の東京五輪に参加を希望してくるかもしれないと憶測して、「菅外交」の得点を狙っているように受け取れます。

 16日、オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、講演で、「北朝鮮は、2021年東京五輪の参加に興味を持っている」と指摘し、五輪の期間中かその前後に、北朝鮮と交渉を行う機会があるかもしれないと期待感を示した。この間、韓国大統領府の徐薫国家安保室長が、内密で訪米していたことが、米国務省の公式表明でバレてしまったのですが、徐薫室長の訪米は、北朝鮮の「東京五輪参加希望」機密メッセージを(日本政府は無視して(^,^)d
イイネ)米国政府に伝えるためだったのではないかと、推測されています。

 

 いずれにせよ、韓日米ともに、希望的観測の上に希望的観測を重ねた危うい皮算用と言わざるをえないでしょう。

 

 

 北朝鮮の「新型ICBM」公開に対して、国連と欧州連合(EU)は、国連安全保障理事会決議の違反だとして非難し、制裁の完全履行を表明しました(新型ICBMがハリボテだとしても、SLBM,超大型放射砲などの新兵器も誇示しており、国連決議違反の弾道ミサイル開発を継続してきたことは明らかです)。しかし、米日は、それぞれの“政権の都合”があって、今後しばらくは混迷した態度を見せることになりそうです。

 

 

 


 




 

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