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1908年3月 関西の旅  大津

疎水の真暗なトンネルを舟で下るのが

当時人気の観光コースだった。





↓こちらにレビューを書いてみました。


志賀直哉と里見弴―――
―――同性の愛慾と葛藤(5)




里見弴と4歳年上の志賀直哉との同性愛


女中との“結婚騒動”も済んで

あっけらかんとしている直哉

女中との関係を断ち切れず

際限なく悩みつづける

そこへ、ヨーロッパから次兄の便りが‥

親に内緒の情婦の世話を2人に託して

絵画修行に旅立ったの次兄だったが

いまパリでフランス女と同棲中とやら。

その若い女性の全裸写真を同封する

念の入りように、……

憤慨するどころか畏敬の念を新たにする

直哉。――これが白樺派

“西洋崇拝”というものなのか?

 

少なくとものほうは、心底納得できたわけではない。

中年女中との“性の汚泥”から這い上がろうとして

つかんだ命綱――明治の旧道徳

直哉次兄は、粉々に打ち砕こうとしていたのだから。

 

日露戦争後の社会的《アノミー》のなかで

直哉にとって「自分の好きなものは何でも善いもので

自分の嫌いなものはなんでも悪いものだった」と

は言う。そういう直哉の言動に振り回されているうち

「自分のもっとも大切にしていたものを

見失ってしまった。

 

 


    瀬田の唐橋