ヘリット・ベルクヘイデ「ハールレム市庁舎と大市の人々」(1671)
↓こちらにレビューを書いてみました。
【必読書150】スピノザ『エティカ』(7)―――
―――「愛」と感情のダイナミズム
《神すなわち自然》の「必然法則」は
人間の内外をつらぬく
それでも人の「自己保存力 コナトゥス」は
《自由》を主張して抵抗する:
「想像知」は「感情」を生み
衝動と欲望は外界からの影響をコントロール
しようとする。
“愛”と“憎しみ”が対象ごとに生じ
それらはしばしば突進し
人はまわりのものが見えなくなる;
“愛”は“愛”を昂進させ
“憎しみ”は憎みかえすたびに増大する
“愛”は“憎しみ”に
“憎しみ”は“愛”に転化し
“愛”と“憎しみ”が共存すれば心は分裂し
人は「残忍」のとりことなる。
“早期産業革命”のオランダ
機械の発明が巨大な風車を産み出した:
デカルトは機械を操作する人間のイメージから
身体と感情をコントロールする「理性」の働きを
主張する。
宗教改革と革命に揺れるイギリスでは
唯物論者ホッブズが
万人の万人に対する戦いを解決するために
強大な専制国家による支配を正当化する。
後進国ドイツのライプニッツは
神のとりなしによる「予定調和」を主張した。
スピノザはそれらどれにも組みしない:
誤りやすい「想像知」と操縦しがたい「感情」を抱えた人間が
そういう自己を肯定しつつ、共同性と《自由》、そして
《神すなわち自然》との合一を
めざす途を模索した。
賢人の《自由》か? それとも
《自由》を目的とする国家か?
壮大な《神=自然》システムのもとで
人間の“虫の視点”を見失なわない
スピノザの倫理学:
今回は
「第3・4部」 ――感情の理論を掘り下げる