「ポルトガル・シナゴーグの内部」 アムステルダム国立博物館
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【必読書150】スピノザ『エティカ』(2)―――
―――自由か、自由でないか、あなたは知っているか?
戦争と舞踏会が大好きなルイ14世
17世紀は絶対王政の時代だった。
王侯が支配するヨーロッパに
ただひとつ自由主義の共和国があった
海に開けた商人の国オランダへ、自由を求めて
フランスから哲学者デカルトが移住してきた
たちまちオランダの学者もブルジョワジーも
デカルトの新しい哲学、数学、自然科学に熱狂した。
おもしろくないのはプロテスタントの神学者たち
オランダはカルヴァンの新教国家でもあった
神学者と聖職者は保守的な政治家と結びつき
デカルト主義者を槍玉にあげて攻撃した
彼らを自由にさせておいたら信仰が破壊され
危険な無神論思想がはびこる、しかも
デカルト主義者を陰であやつっているのは
あの破門ユダヤ人スピノザだとの噂を広めた。
スピノザは急遽、『聖書』の研究に向かい
『神学・政治論』を公にした。
幼少からヘブライ語に親しんでいたスピノザの
右に出るキリスト教徒はいなかったのだ。そして
《自由》こそが国家の存立目的であると断じたうえ、
自由な国家といえども弾圧せざるをえないのは
国家に“反逆”する聖職者だけであることを論証した。
続いて公刊した『エティカ』では、
《自由》とは本性の「必然性」であり、
自由意志は神にも人間にも存在しないと
幾何学の緻密さで論じた。
《自由》イコール「必然」?!
驚愕する読者にスピノザは言う:
知識は単なる情報ではない
主体の心身に変化をもたらさずに
獲得される真理はないのだ、と。