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10/30 オープンマイクイベントで発言するデザキ監督

 



   ↓こちらの記事の【続報】です。
  批判するだけでなく、成果を確認することも大切なので。




 10/28 『主戦場』上映中止に抗議して、「若松プロダクション」と白石和彌監督が出品作品2点の上映ボイコットを表明。
 10/29 《しんゆり映画祭》会場で、是枝裕和監督が『主戦場』上映中止に抗議。
 10/30 《しんゆり》会場で、この日の日程終了後、オープンマイクイベント「しんゆり映画祭で表現の自由を問う」を開催。
 11/3 実行委員会が上映中止を撤回して、最終日4日に『主戦場』上映を決定。
 11/4 《しんゆり映画祭》最終日。警察と警備の市民ボランティアが見守るなかで『主戦場』上映。


「映画製作配給会社『若松プロダクション』が10月28日、『主戦場』上映中止に抗議して、同映画祭で予定していた映画2本『11・25自決の日~三島由紀夫と若者たち』『止められるか、俺たちを』の上映を取りやめると発表した。抗議声明には映画監督の白石和彌さんと脚本家の井上淳一さんの名前が書かれていた。

 また上映予定の『沈没家族 劇場版』の配給会社『ノンデライコ』の大沢一生代表は、映画のボイコットはしないとしながらも抗議を表明。30日にこの問題をオープンな場で議論するためのオープンマイクイベントを開くよう提案した。

 そして29日、映画祭の特集のひとつ『役者・井浦新の軌跡』で是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』が上映されたが、『主戦場』上映中止に危機感を抱いた是枝監督と出演者の井浦さんが登壇して発言した。是枝さんは『共催者の“懸念”を真に受けて主催者側が作品を取り下げるというのは、「映画祭の死」を意味します』と強く抗議した。

 そうした経緯を経て、10月30日夜、映画祭の会場になっている川崎市アートセンターで、オープンマイクイベント『しんゆり映画祭で表現の自由を問う』が開催されたのだった。当日は170名ほどが集まり、会場に入りきれない人は別のフロアでモニターを見ることになった。新聞・テレビなどのマスコミも各社が取材に訪れた。会場には『報道特集』の金平茂紀さんや、フリーライターの江川紹子さんらも取材に訪れた。

 上映中止に至る詳細な経緯が明らかにされたのだが、そこでは8月5日、川崎市が上映に懸念を表明したのがきっかけだったことや、市側と折衝を行った末に、8月17日に中山代表が全体会で上映見送りの方針を説明したことが明らかにされた。

 中山代表は『あいちトリエンナーレに比べれば、しんゆり映画祭は100分の1の規模です。でも市民のボランティアで運営しているこの映画祭に、あの100分の1の抗議がなされたとしても我々は対応できないと思う』と語った。

 要するに『あいちトリエンーレ』の騒動がそんなふうに『萎縮』をもたらしたということだ。 

 

 サプライズは途中、会場後方に来ていた『主戦場』の配給会社・東風の代表らが上映再開を訴える発言を行った後、同映画の監督ミキ・デザキさんが通訳を通じて発言をしたことだ。監督は『まだ起こってもいない嫌がらせに屈して上映しないのは『主戦場』だけの問題にとどまらない。表現の自由を守るためにぜひ一緒に行動してほしい』と訴えた。会場から金平さんも『今回のやり方は表現に対するリスペクトが感じられない』と上映中止に抗議する発言をした。

  19時から始まった意見交換は終了予定時間の21時を過ぎても結論が出ないまま。もう時間がないので終了という時になって私〔月刊『創』編集長篠田博之氏〕も発言し、『主戦場』に対して『あいちトリアンナーレ』のような激しい攻撃が起こるとは予想しがたい、今のスタッフだけで対応しようと考えずに、市民に呼び掛けて対応のためのボランティアを募ったらよいと述べた。

 これまで上映中止騒動が起きた映画『ザ・コーヴ』などでは、市民の間に『守る会』のような運動が立ち上がり、大きな役割を果たしたし、最近でも映画『沈黙』の上映妨害に対してボランティアスタッフが警備に当たるなどしている。そういう事例を参考にすれば心配する必要はない、と話した。

 紛糾した議論の中で、一部のスタッフから『主戦場』はどうしても上映したい、自分が責任をもってやると名乗りもあがり、終了後、他のスタッフからも『自分も何とかしたい』という意見も聞いた。」
  ⇒:『主戦場』上映中止・復活の深刻な背景

「ドキュメンタリー映画『主戦場』が4日、川崎市麻生区で開催中の『KAWASAKIしんゆり映画祭』で上映された。観覧希望者の抽選に長い列ができた。『選んだ映画は正しかった』『表現の自由の大勝利』。批判と激励が後押しした中止撤回の先に、主催者と映画関係者、市民の輪がつながり、広がった。

 山梨県から見守りボランティアに駆け付けた映画監督の青柳拓さん(26)は近くの日本映画大学の卒業生。『市民映画祭がぶれるのは仕方ない。市には懸念ではなく、サポートをしてほしかった』と話す。

 最終日の最終公演。舞台あいさつに立ったミキ・デザキ監督は『表現の自由の大勝利。勝ち続ければトレンドになる』と力を込めた。デザキ氏は、日本映画大学でのシンポジウムでも、『上映をするなとか、映像を削除しろといった圧力、威嚇に屈するということは、戦うことなく検閲を容認するということ。政府が表現の自由を守らない時は、私たちが守っていかなければならない』と力説した。

 《しんゆり映画祭》を主催するNPO法人『KAWASAKIアーツ』の中山周治代表は『多方面から支援が寄せられた。上映実現の最大の要因は人』。開幕直前に上映中止が報じられた10月下旬以降、『スタッフみんなで一生懸命、表現の自由と向き合った』日々を振り返った。」
  ⇒:神奈川新聞

「川崎市で開催中の『KAWASAKIしんゆり映画祭』で4日、上映を1度、中止した従軍慰安婦問題がテーマの映画『主戦場』が上映された。ミキ・デザキ監督は舞台あいさつに登壇し、『本日は私の作品を上映することができ、本当にうれしいです』と喜びを口にした。その上で『日本の表現の自由の大勝利だと僕は思っております』と満面の笑みを浮かべた。

 デザキ監督は『日本のメディアがあまり照明を当てない問題を、語っていくことの大切さを知った。独立自主の映画、映画祭が政府からの圧力に負けずに、ずっと伝え続けることは大切。なぜなら、この映画に関するニュースは、絶対、NHKには報じられないだろうということを知っているからだ』と笑い飛ばした。

 デザキ監督と配給の東風を相手に東京地裁に提訴した『新しい歴史教科書をつくる会』の藤岡信勝」が、アポ無しで会場に現れ、俺にも「舞台あいさつをさせろ」と要求。「デザキが話をするなら、出演者である私にも反論させてもらおう。」などと主張した。

 しかし、記者から「いきなり来て、舞台あいさつをさせてくれと言って、それが認められると思うのか?」と問われると、藤岡は大ギレして「手作りの映画祭なんでしょ?」などと《しんゆり映画祭》を攻撃し、「あなた、主催者じゃないのに、何でそんなことを言うの?」と記者に怒鳴り返していた。
  ⇒:日刊スポーツ

 ところで、『主戦場』は、アメリカでは、どのように上映されているでしょうか?

「米国の各大学では、慰安婦ドキュメンタリー映画『主戦場』の上映会が相次いで開かれている。

 最近、米国の大学17校のキャンパスで同作が上映されたが、UCLA〔カリフォルニア大学ロサンゼルス校〕大学上映会を控えて日本総領事館側が上映会を管掌していたUCLAの教授に抗議の電話をかけていたとCARE〔米国の民間団体『慰安婦行動』〕側は伝えた。

 〔2013年から『少女像』が設置されているカリフォルニア州グレンデール市の市長〕クィンテロ氏は、『少女像設置以降、1000通を越える『憎悪の手紙』を受け取ったりもした』とし『私の息子もそういった手紙を受け取った。遠回しに表現して憎悪の手紙であり、内容は驚くようなものだった。単なる憎しみを越えている』と話した。」
  ⇒:中央日報


米国では、日本の総領事館が

上映場所の大学当局に圧力をかけて
上映をやめさせようとしている
のです。
日本政府は、海外でも国内でも同じことをしているはずです。

《しんゆり映画祭》の“上映中止”も
単に、市や実行委員会が妨害行為を危惧したからではない。
市に対して、
“官邸”からの指示があったと

考えなければならないでしょう。
国内では、“官邸”の口止めが末端にまで利くので
圧力のあったことが隠されているにすぎません。
実行委員会の中山代表が、
「あいちトリエンナーレに比べれば、

しんゆり映画祭は100分の1の規模です。」
と、持てる力の小さいことを、

しきりに強調していたのは、
加えられた圧力の巨きさを語っているかもしれません。

 

《しんゆり》の“自粛”撤回は

大きな前進でしたが、

これで《表現の自由》に対する脅威が

なくなったわけではありません。
篠田博之氏が指摘するように、
《しんゆり映画祭》についても、今後“ほとぼり”の醒めた頃に
『あいちトリアンナーレ』に対する文化庁の補助金不交付のような
“報復攻撃”がなされないか、見守る必要がある。
《表現の自由》に対する“攻撃”が、
今後も続かないという理由はなく、
さしあたって憂慮されているのは、来年の『広島トリエンナーレ』。
すでにそのプレイベントに対して、同じ右翼グループからの
攻撃が始まっているという。

私たちが教訓とすべきことは、
悪意ある勢力の妨害やテロルによる
混乱・被害を心配するだけではいけない、
それにもまして、
表現の自由が失われる危機
心配しなければならない
ということだと思いました。

 

 


 

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《しんゆり》会場で、抽選の列を見守る市民ボランティア