夕 刻 夏至が近い: もう夜の時刻だというのに いっこうに沈もうとはしないそらの蒼(あお) 陽は地の近くまで来てなごり惜しそうに瞬く 西の涯て、碧い珊瑚をゆらめかす 熱の海よりも深いそら おおぞらに棲む生きものが残した 羽毛のような白い影 輪をえがくようにひろがる雲の かぼそいひとすじひとすじが おまえとの想い出の襞(ひだ) この街よりもこの邦(くに)よりも巨きな こんな和(やわら)かなはねを残して おまえはいまどこにいるのか?