◎水不足や気温上昇への備えは?
-----今後待ち受ける危機のなかでいちばん深刻なのは水不足だと日頃からおっしゃっていますね。
くわしくお聞かせください。
そう、これは最悪の問題です。
地球上には二・五パーセントの真水があると言われていますが、そのうちの一・五パーセントは氷で'実際に飲める水は一パーセントしかない。
しかもどんどん減っていく一方なのです。
水が不足する第一の要因は人口の増大です。
農牧地帯では牛や山羊など家畜用の水の消費も大きな割合を占めています。
第二の要因は、わたしたちが水源を汚染し破壊していることです。
農村地帯では農薬が'工場では汚染水が流されている。
わたしたちは水を汚したまま放っておき,回復のための労力を惜しんでいる。
そのために質のいい水は減る一方です。
しかも、温暖化によって状況はますます悪化していくのです。
----では'わたしたちはどのような備えをすればいいのでしょうか。
(首を振りながら)人類は水不足への準備が整っていません。
ですから、せめて心の準備だけでもと思っています。
----なにも打つ手がないということですか。
水を買いだめしておくのは?
水は腐ってしまうので保管には向いていませんよ。
心の準備ができていない人間は'危機に陥ったときに行動を抑制できなくなります。
水がなくなれば動物以下にまで堕落Lt殺し合いを始めるでしょう。
その現象が百万人規模となった場合を想像してみてください。
水がなくなった国が「あそこの国には豊富な水がある」と思いはじめたらどうなると思いますか。
水不足が原因で紛争や戦争が起きるでしょう。
残念なことですが'これを阻止することはできません。
----真剣に環境問題に取り組めばなんとかなるのでは?
人類はとても利己主義的ですから、この未来は大きくは変えられないと思います。
部分的には可能でしょうけれどね。
-----もうひとつ気になる予知があります。
地球温暖化によって東京でも近いうちに気温が摂氏五〇度になるということですよね。
いまでも夏は暑くてやってられないのに、人は耐えられるのでしょうか。
それをわたしは心配しているのですよ。
だからみなさんに尋ねたいのです'「人類は準備が整っているのか」と。
対策がないのです。
汚染するのをやめましょうと言っても、誰がやめますか。
もはやこの未来を回避するのは無理なのです。
摂氏五〇度までいくのは確実です。
いまわたしたちは、問題にベールをかぶせて、見て見ぬふりをしているだけです。
不思議なのは'誰も地球はどうなるのか心配していないことです。
「明日いくらお金がもらえるのか」ということしか頭にない。
多くの国が集まって会議を開いてももどの国が利益を得るのか、うちの国は経済的に打撃を受けるのではないかへとしか考えていない。
ここで、ブラジルの刑務所の現状についてお話ししましょう。
囚人たちは待遇改善を要求するために、ベッドに火をつけ、便器をめちゃくちゃにし獄中で破壊活動をしています。
でも、この囚人たちのことは笑えませんよ。
わたしたちも地球に同じことをしているのですから。
近所や友達がどう思うか'なにが本当に必要とされているのかをかえりみず、自分の要求だけを通そうとして住みかである地球を破壊している。
わたしは各国の政府に聞いてみたいのです。
「あなたの国は気温が五〇度以上になったときにどうするのですか」とね。
本当に、ひとつひとつの国に尋ねて回りたいところです。
国の経済を守っているつもりなのでしょうけれど、気温が五〇度'六〇度に達したときに'お金のことを心配していられるのでしょうか。
-----気温が五〇度になったら'屋内に閉じこもってエアコンをつけっぱなしにするしかないですね。
どの国がそんな生活を維持できるのでしょう。
そもそも、気温が五〇度以上になったらクーラーが耐えきれないと思いますよ。
クーラーの製造元は注文が殺到するから大喜びするかもしれませんが。
----じゃあ、北に避暑に行くとか?
それは'北が涼しければの話です。
気温が五〇度になるころには、寒冷地方の氷はすべて解けて、気温は二五度から三〇度にもなっています。
わたしは二〇四三年までに世界人口は八〇パーセント減少すると述べていますが'なにもそこまで待たなくても、すでにいろいろなことが起きています。
ご存じのとおり、日本でも劇的な変化が始まっていますよね。
降雪地帯は昔に比べてだいぶ小さくなり'夏は年々暑さが増している。
熱帯化への道を着実に歩んでいるところです。
地震や台風も急増している。
これまであまり地震の報告が見られなかった中国大陸でも、大きな自然数害が徐々に目立ってきていますし、今後も増えていく傾向にあります。
香港も、本当は今の時期はまだ寒いはずなのに'夏のように暑くなっている。
残念ながら地球は、いまこうして話しているあいだも'最悪の事態に向かって突き進んでいます。
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