大学を卒業して
何になるわけでもなくフリーターしていました。
サラリーマンになった友人たちは
ボーナスだなんだという中で
私は時給850円で
相変わらずの暮らし
1Rのアパートで
ただその日を生きて
やみくもにライブをして
ギターを弾いていた
そして27歳の時
某歌手に声をかけていただき
ギタリストとしてデビュー
ライブして収益になるバンドも
一握りの中で
ギターを弾いてギャラをもらえるようになった
その日は鮮明に覚えていて
私はバイトをクビになり
やってたバンドも消滅し
よりどころがなくなった日で
明日からどうしようと
悩み始めた瞬間に
電話が鳴った
それは歌手の事務所の
社長であり話がしたいということで
ライブに行ったらギターを弾いてほしいという
申し出だった
私が好きな憧れの歌手だったので
すべてを捨ててもOKだったし
最高の瞬間だった
その後はツアーに出て
アルバムを作り
テレビ番組の収録や野外フェス
などアパートに帰ってこない日が多かった
そういう生活していると
どんどん常識から逸脱してきて
酒や女に見事に溺れてしまい
ギターの仕事は
私の手からこぼれてしまった
非常に悔しいし
後悔もある
でも今の生活は
その後の悔しさと苦労の上にあり
私は大きな会社の正社員という
ポジションには
そこそこの満足感はある
だって大卒でも
職歴なしでミュージシャンの
怪しい人間が
有名企業で正社員になれたんだから
これはかなりの大出世だ
ミュージシャンだった当時の思い出は
楽しいことはあんまり思い出せず
苦く苦しいことが多く
そういうものは捨ててしまいたいけど
そういう出来事が私を
人間として成長させてくれたのだと
思っているので
とても感謝しています。