B'zは私が小学校のころから今に至るまで、
日本の音楽シーンの最前線に君臨するモンスターバンドです。
私も元プロギタリストの端くれなので、
B'zというバンドのでかさとか影響力などは
別の視点から感じています。
音楽シーンで生き残ることの大変さとか、
プレッシャーや努力など、茶の間からでは
感じれないものがあるかと思います。
しかし、松本孝弘さんは、私がギターを手にした
14歳の時から日本のトップギタリストでした。
ギターをやっているのは学校でも5人くらいだったので
クラスの女子が私に気を使って話しかけてくれた時に
「日本で一番うまいのは誰?」と聞かれると
私は即答で「ルーク篁」だと答えていましたが、
世間受けを考えると「布袋か松本」になるんじゃないかと
いつも思っていました。
聖飢魔Ⅱは圧倒的に演奏も難しくて再現するのも今でも困難ですが、
B'zは今聞いても難しいことはそんなにしていないんですよね。
それが売れるということの難しさなんですよね。
ギターキッズは
ギターは難解で、速くて、万人ウケしなければしないほど
良いものだと考えてしまう時期があります。
私は15歳から30歳まで
完全に洋楽志向になりました。
外人ギタリストはとにかく、演奏もフィーリングもすごいし、
なんか惹きつけるものもあるし、
白人様のやっていることは素晴らしいという
考えは、そのうち日本人の音楽はダサいとなります。
冷静に考えたら、ダサいと思うのは、
「薄っぺらなオリコンチャートにいるようなバンド」のことだったし、
アイドルグループだったり、サザンだったりミスチルなんですが、
当時私は、聖飢魔Ⅱ以外のバンドはゴミだと思っていました。
大事マンブラザーズバンドとか、米米CLUB、
ミスチル、ウルフルズ、つんくのバンドなどなど、
嫌いだったし、好きな奴らは全員無個性の馬鹿だから
当然B'zもダサいと感じていました。
ロックは「売れようと客に寄り添うことがダサい」と
思っていたので仕方がないです。
中2病みたいなものでした。
そう思いながらも、意識の端っこにいたのは、
「松本孝弘」のギターです。
馬鹿にしていたJポップなんですが、
なぜか引っかかる曲のメロディやフレーズ
それと妙なギターの音。
稲葉さんの歌唱力が曲を持ち上げていたのは事実なので、
カリスマ性があったのだと思います。
だからこそ、ギターが輝き、
なんかどんくささを感じて、かっこ悪いと否定しつつも
総合的に引き寄せられてしまうパワーがあったのだと思います。
私は、初めて買ったヘッドアンプが「クランク」の
レボリューション1でした。
これが、いまいちで次に5150買いました。
5150は上下で買って壊れるまで使いました。
その後、VHTを買いギタリスト人生が終わるのですが、
ギターの音についてはこだわりがあり
ケーブルや真空管なんかもこだわたりしていました。
そんな私にとって、松本サウンドというのは、
カッコ良いのか格好悪いのか、瞬時に判断できない
謎のサウンドでした。
初めて松本サウンドを意識したのは、「calling」の時。
当時から半止めワウであの音が出るというのは
わかっていたけど、実際にするとノイズがすごいし、
本人はこんなことしないだろうと思っていました。
そこまで追求するほどの興味もなかったので、
その後20年以上は放置でしたが、
私のギターの腕や情報量、知識量が増えるに従い、
あの音というのは強烈な個性であり、
クセになる不思議な音で、自分でもあの音を出したら
「ウケる」のではないかと興味が湧いてきました。
昔楽器屋でバイトしていたときに、そこの先輩は
松本の音について「行きついた先の計算された音」と
言っていた。
研究したり、仕事したりしている中で、
自分のトーンを見つけた的なニュアンスだと思うけど、
実際、ROCKMANを気に入って使っていただけで、
初期からその音だったという感じじゃないかな。
仕事で使うのに便利だったんだと思うよ。
30歳になり、はじめてB'zのCDを買い(ブックオフで)
音を聞きこんだりして研究しました。
昔と違いネットで何でもわかるので
「ROCKMAN」のエフェクターですぐに再現できることも分かったので
2011年くらいにサスティナーを買いました。
34000円だったんですが、その後高騰して
金なくて売り払ったのでもう買えないです。
サスティナーはすべての松本サウンドが出せる
プリアンプです。真空管のないプリアンプで
こんなにも良いものは他にないと思います。
歪みCHも素晴らしいですが、
特にクランチ、クリーンが秀逸で
これはほかのエフェクターでは再現が不可能です。
クランチサウンドには独特の切れ味があって、
vanhalenの「Cant stop lovin you」のイントロと、バッキングが
そのままできそうで一番好きでした。
松本孝弘の音は、誰が聞いても
あの音なので、私にとって変なディレイとかピッチシフターよりも
飛び道具的な音としては相当面白いなと思っていたんです。
そして、半止めサウンドに形容されるんですが、
単純に半止めじゃ音痩せノイズが半端ないし、
EQだとロックマンの帯域に近いものがないんですね。
そこでTC楽器がエフェクターメーカーと
コラボして再現した「ジェネレーター」を発売し、
これが良い!ボストンサウンド、初期松本サウンドを
見事に再現します。
もちろん、ROCKMANマニアから言わせたら
違うんだと思いますけど、私くらいのB'z初心者には、
9割同じだと感じます。
できれば、あの青空クリーンとクランチの再現を
今度はお願いしたいですね。
細かい人いましたが、
7割同じだったらあとは自分の腕で9割まで
届きます。頭でっかちになってしまうのは
楽しくないですよね。
私は今はイレブンラックと、GOATのジェネレーターで
音づくりしているのですが、ギターを選ばない
エフェクターだと感じます。
良いギターじゃなくても、いい音がします。
松本孝弘サウンドは、「ブラザーフッド」で大きく変わりました。
それは、
ロックンロールスタンダードクラブバンド(RRSCB)で
すでに予兆を感じます。
RRSCBから松本さんは5150使うようになっていると思います。
Youtubeで「INTO THE ARENA」のライブ映像が見れますが、
CDとライブではレゾナンスの出方が違います。
私は、以前の方が好きなんですよね。
クレジットがTak Matsumoto名義になってから
洋楽的な音作りになってJpopのコンパクト感が
消えてしまいました。
ラジオの音源で、昔の自分の音については
「人間性と同じ、ペラッペラだった」と自己否定していましたが、
いつの時代の音のことかはわかりません。
ただ、2000年以前の音だと思うので、
中音域の特徴的なシェンカー風の音は自分では気に入りつつも、
ROCKMANの特徴的な私の好きな音は否定するというのは
さみしい限りです。
あれこそがTakの一番良い時代の音だと思いますけどね。
ブルースだか、なんだか知らねーけど
海外ノロックスターに影響されたのが遅いんだよ。
相変わらず、クリーンはパキパキだし、
金にものを言わせるような音になったね。
ヤマハのネオンカラーとROCKMANの音が
松本孝弘の最高の音だと思います。
その次はヴァンヘイレンと同じ機材の時代かな。
あれはあれで良いレゾナンスですね。
黄色のレスポール以降は研究対象にはならない。
■まとめ
プロミュージシャンの界隈だと、
B'zってボンジョビに似た立ち位置で、
笑われているんだよね。
かっこいいってよりも、面白いって。
知人のスタジオミュージシャンなんかは、
もはや馬鹿にするような勢いだったけど、
それって、売れる音楽を作る人間と、
仕事で適当な音楽を演奏する人間とのずれだと思う。
B'zは、ものすごいセールスをしているから
一般的には「かっこいい」んだけど、
同業者には「かっこつけすぎ」という印象だったりしてしまう。
その辺のスタジオでリハしているチンピラミュージシャンなんか
足元にも及ばないのにB'z様をコケにして曲が流れたら笑っている。
私は、いち早くそうじゃないって気が付いた。
音楽は「売れなきゃ負け」じゃないけど、
売れてもいないのに、売れている人を馬鹿にするのは最低だし、
かっこ悪い。だから売れることができない。
そう思った上で私は総評すると
B'zの音はかっこよくない。松本の右手の感じも
立ち姿もどんくさい。服装もダサい。
でも、超売れているバンドのギターの音ですから。
なんかクセになるし、一発で誰が弾いているのかわかる。
それはミュージシャンとして稀有なことで、
日本のギタリストでそれができるのって
松本さんくらいじゃないだろうか。
ギターを弾いていない子でも、
松本の音はわかると思う。
だから私は畏敬の念をもっています。