ギターについて久々に思うことがあります。

私は、ジャパンビンテージという言葉が嫌いです。


というよりも、この言葉の裏側にある

 「ギブソンは実際そんなに良いものじゃなくて、
70年代とかに2本のギター職人がギブソンを真似して
妥協せずに作ったコピーモデルこそがギブソンよりも優秀」

こういう思想が嫌いです。

 

私には、こういうジャパンビンテージ崇拝している人の
謎の信仰ってギブソンが買えない言い訳にしか聞こえないのです。

こういう人は、経済的に買えないのではなく
安いギターばかり沢山持っているイメージです。

 

私の経験から言うと、ギブソンのレスポールは
普通レベル程度のものもありますけど、楽器として良いものです。

国産のレスポールモデルはとても弾きやすく良いものだとは思いますが、
ギブソンとは別モノであって比べるものじゃないんです。

 

何でか知りませんが、ギブソンを敵対視するかのように
ギブソンを憎み、国産ギターを絶賛している人がいます。

 

何度か、手にする機会があったので、弾きましたが、
私のジャパンビンテージといわれるギターを弾いた感想は、
ロックをやるには「なんだか物足りない」という印象でした。

 

本当に不思議なのですが、ほぼ同じ容姿で、同じ寸法、
使っている材質もほぼ同じはずの両者ですが、
アンプから出てくる音がまったく違います。

 

作っている国の空気の湿度に関係するとか、つくりの大雑把さが逆に功を奏している
とかいろいろ言われていますが、「湿度」は大きなファクターだと思います。

 

それは、弾いている環境に由来しますので、
ステージやスタジオで大音量で鳴らす場合と、
自室で、小さい音やヘッドフォンで聞くのとではなにもかもが違います。

 

私の場合は、前者で常にライブの仕事を前提としたセッティングで
使用したので、それを前提に感想を書きます。

 

①ギブソンについて

ギブソンの場合、カスタムは、音圧がすごく
ヒスコレだと、クリーンはブリンとした張りがあり、
歪みも背中で感じる主張の強い音です。


レゾナンスの調整ができるヘッドアンプだと
キャビがボンボンするくらいパワーを感じます。

 

私も所有するまで意味が分からなかったのですが
「暴れる音」というのはこういうことなのか、
暴れるというのは、単にハウリングしたり、弾きにくい、
扱いにくいというニュアンスじゃなく、
パワフル過ぎて、音が溢れてしまう
ワイルドで、とてもロックなサウンドというイメージです。

 

カスタムに関しては、経験上どれもローがとても強く出るので、
イコライジングが肝になるなというところが
多少難しかったです。ヒスコレのカスタムもローを操るのが
大変だと感じました。

 

スタンダードも何本か所有していましたが、
1989年のものは、別段弾き易さはなく、
その固体は音も、普通でした。


トップ板が3ピースだったので、
スラッシュみたいだという理由だけで
音の確認なんかしないで買いました。


ピックアップは、すぐにアルニコに変えましたが、
オリジナルのほうが若干良かったです。

ブルージーな演奏には良くマッチしましたが、
ハードロック未満といった具合でした。

 

ゴールドトップのヒスコレはとても完成度の高いもので、
さすが値段が高いだけのことはあり、
すべてのジャンルに対応できるし、
弾き易く、パワフルでした。

文句ないギターでした。(金欠で手放す)

 

②ジャパンビンテージについて

国産の70年代、80年代のレスポールモデルは、
モノによっては持った感じはほとんど同じです。

 

しかし、ギブソンとの違和感というか、
持った感じの、丸みというか柔らかさがあり、
ネックも若干薄めだったり、ウェイトも軽くしてあったり、
細かい部分での、職人の弾き手への心遣いを
感じたりするのですが、そういうものが
逆にギブソンとの「差」になっているように思います。

 

肝心の音は、すべて(音圧・音の粒)が
そろったきれいな音でした。
音圧は、控えめで、ギブソンのカスタムに比べると
音が小さいのかな?と感じるほどで
ミックスダウンされた後の均一化された音のような印象があります。

 

そのため、ワイルドからは遠ざかり
優等生的なきちんとしたもので、だから
ロックにしては「物足りない」何かを感じます。

 

でも、この「優等生」な音というのが、
駄目なわけじゃなく、ジャンルによっては
しっくり来るものだったりするんじゃないかと思うので、
一概に「だからダメ」とか劣っていることにはならないと思います。

 

③結論

では、大本の問題の
「ジャパンビンテージはギブソン以上だ」という信仰については、
私がギブソン以上の固体に出会っていないから
ギブソン以上はありえないというのが結論です。

 

ただの中古ギター屋とか、転売屋が
言い出した、中古品にそれ以上の付加価値をつけるための
キャッチコピーだったという結論になります。

 

思うのは、当時はギターを作れるけど、
再生環境が整っていなかったんじゃないかなって思う。
日本人の職人だったら、同じようなビックでラウドな
ギター作るなんて簡単だと思う。

 

でも、結果できたのはこぎれいな印象のギター。

ということは、見た目は本物みたいだけど、
でかい音で音出しして追求していなかったからとか、
なんか日本ならではの事情があったのじゃないかなと
考えてみました。

 

Charのインタビューで、
当時レコーディングの現場にロックをわかるエンジニアがいなかった。
ハウリングとか意味が通じなかったというような話を聞いた。

こういうことが楽器製作の現場でも起きていたのかな。


70年代、80年代の職人って40歳くらいだとしたら
聴いてた音楽って歌謡曲とかでしょう。

 

そういう人の耳で作っているんだから
形は同じで、音が見当違いになるのは当然でしょう。

ぶっちゃけ、50万のギターは、やっぱりすごい音がします。


10万程度のラインのギターはその程度です。
楽器のよさって値段に比例すると思います。
だからジャパンビンテージだって言っても
売値を見たら、物の程度が分かるってモノだと思います。