以前にも、書きましたが、
私は大学を卒業後、プロミュージシャンになるまで、
アルバイト生活をしておりました。
はじめて長期で仕事をしたのが鉄人化計画の
サンビリヤードというお店でした。
学生街の駅前にあるビリヤード場で、
常連のビリヤード客と、学生で夜は
そこそこにぎわっておりました。
私が採用された当初、タンジという社員が
そこにいました。タンジはほとんど仕事には顔を出さず、
自動車の免許を取りに教習所通いしていました。
本社の人間が来るには、面倒な場所だったので、
当時はタンジのお店かと思うほど自由にしていました。
タンジは自信家でビッグマウスでしたが、
ビリヤードの腕はピカイチで、彼の腕前を見せられた
お客さんがビリヤードにハマって常連となって
結果、売り上げになっているようなお店でした。
しかし、タンジの店舗運営と、本社のやり方が合わず
タンジは漫画喫茶部門に異動になりました。
その代わりに来たのが23歳のクマヤマという
実家が不動産業を営む、バカボンでした。
こいつは自信家でスポンジボブが大好きな
小太りパーマのお坊ちゃんで、性格が悪く、助平で、
気にいらないバイトは自分の権限でクビにして、
仕事なんかしないでサボってばかりのクズでした。
本社の目の届かないところに店舗があるだけで、
人はこんなにも働かないのかと思うくらいに
バイトをこき使い、えらそうに君臨していました。
鉄人化計画のサンビリヤードは、
時給850円 深夜1062円で、休憩は1時間
マイナスになるんですが、人がいなくて
ワンオペで11時間勤務のときも
なぜか1時間引かれるブラックシステムでした。
そして、残業はタイムカード切らせてから
やれというのは本社の統括部長のオオタニの命令でした。
私はそういうのはバカらしいので
ちゃんと正式に残業していたら
「こいつはそんなに金が欲しいのか」と卑しい扱いされていて、
それをオオタニさんが言ってたよとクマヤマに言われました。
金が欲しいかと言うか、働いた分貰うのは
当たり前だバカと思っていましたが、
こういうことを口に出すとクマヤマはシフトを削って
バイトに入れなくしてやめさせるように
仕向けてくるので、おとなしく従うしかありませんでした。
そして、当時はブラックみたいな体質は
社会的に問題になっていなかったので、
誰もが、休憩分引かれたりすることは
仕方ないことだと思わされていました。
ある日、本社は売り上げ増加のために
新規客を獲得しようと、常連客を追い出し
ビリヤード台を数台つぶしてダーツ台を4台導入しました。
ダーツは100円玉を使うので、朝の両替が必須でしたが、
銀行だと制限があり、クマヤマは
近所のゲームセンターの両替機でやってこいと、
他の店の迷惑になるようなことを平気でバイトに指示出していました。
そして、私はバイトでは一番年長者だったので、
100円両替機のカギをあずかり、カギはクマヤマと、
私と、オオタニの三人が管理していました。
ある日、オオタニが両替機を確認したら
3000円くらい金が足りず、私を真っ先に疑いました。
当然、私はそんなことするわけもないですが、
クマヤマは疑うこともせず、私と言う証拠もないので
オオタニはなくなった分はバイト全員で割って払えと
強要し帰りました。
基本的にレジの金が合わないと、
鉄人化計画はバイトの財布から補填させておりました。
一度、私は大学生バイトのレジミスのせいで
5000円負担したこともあります。
牛丼チェーンのすき屋のブラックワンオペが
問題になるもっと前から、鉄人化計画では
ワンオペで12時間以上労働させて
休憩は取ったことにして1時間分引くということを
私にしていました。
今となっては時効だと言うだろうけど
私はずっと覚えているので、こうやって
備忘録として記録しています。
当時は、SNSもそんなに流行らないし
労働基準監督所についてもわけが分からなかったし、
訴えても、自分の立場だけじゃなく
他のバイト全員が働きにくくなるという思いから
誰も何も言わずに辞めて行きましたが私は違いました。
私がやめる決意をしたのは、
クマヤマが本当に身勝手に自分の感情だけで
26歳のバイトのおっさんをクビにしたのがきっかけでした。
その頃には、クマヤマはもう暴走状態で
自分のお気に入りの女性バイトしか可愛がらず
自分の上司だけを敬愛し、他のバイトをバカにしていました。
その時に、
「社員がバイトを殴っても罪にならない
バイトが社員を殴ったらクビだからな」
と意味不明に、バイトを威圧していました。
当時長く働いていたバイトはクマヤマの機嫌を損ねて
どんどんクビになり、26歳の大学生のおっさんが不条理にクビになったことで、
私もとうとう堪忍袋の尾が切れて、やめることを決意しました。
バイトがやめたところで影響がないなんてことは
分かりきっていましたが、なんとか一矢報いたい。
ただ、暴力は好きじゃないので、スマートに。
だから、これまでのいきさつを本社に暴露しようと計画しました。
私は当時、1日のレジ閉め当番(日報作成)をやっていて、
店を閉めたらレジの集計して、エクセルにまとめたらそのファイルを
本社にメールで送って帰宅という流れをやっていました。
そして、そのメールはなぜか本社と全店舗に送信する
決まりになっていたのです。
だから最終日に、私が日報作成の際に、メールに
クマヤマがいかに横暴だったのかと、
この会社は仕事もしないでサボってゲームばかりしているやつが
社員で偉そうで、なんでがんばっているバイトがクビになるのか・・・
そういうことを書き連ねて全店舗に送信してすっきりして家に帰りました。
そうしたら、すぐに本社や他の店舗から電話が来たらしく、
私の携帯に電話がかかってきました。
引継ぎしたバイトの大学生が
さっきのことを詳しく聞かせろ、
書いたのは誰だ?すぐに代われといろんな店舗の社員に電話で
何回も攻められるけど、その人はもう辞めましたからいないと
もう会社がパニックになっているとのことでした。
その後、休日だったクマヤマが緊急で呼ばれたらしいですが、
きっと身内に甘いブラック企業なので、悔しいけど
口頭注意でオワリだったんじゃないのかな。
クマヤマにしても、もうすぐ仕事をやめないといけないと、
みんなの気を引こうとしていたけど、実際は、
実家の不動産屋を継がないといけないから
会社を辞めるというクソみたいな理由でした。
だから、クビになっても痛くもかゆくもない。
後日、オオタニの上司にあたる統括マネージャーが出てきて、
話を聞かせてくれとファミレスに呼ばれました。
経緯を話して、私がバイトしてて気になったこともついでに話しました。
①タイムカード切ってから残業させられていたこと
②休憩時間取れないシフトなのに時間分の時給を引かれてる
③両替機の不足金自腹命令
④社員サボってるんだけど
これを話して、①②は次回の給料に
すこし上乗せする、約束すると言って何もしない。
④については、笑ってごまかすゴミ対応。
③については、オオタニに指導しますといって、
③だけはしっかりやっていたけど、他はスルー。
ようするに会社的には③だけ問題であとは、当たり前ということ。
なにが上乗せだよ嘘吐きハゲと思ったものです。
オオタニは結構怒られたようで統括部長なのに人が足りなくて、
私の町の店舗に深夜シフトで一人でいました。
嫌なやつだから、こういうときに人望が出ます。
誰もバイトがシフト変わってくれないから
おっさんなのにバイトみたいなことさせられていて
すごく可哀想で遊びにいってやろうかと思いました。
クマヤマが代わってやれば良かったのに。
その後、バイトの子と話をしたら、
残業したら給料出るようになったし、休憩時間も取れるようになったとのこと
めでたしめでたしと思いきや、お店は常連客もいなくなり、
ダーツも廃れて、すぐに潰れました。
クマヤマは本社は数字しか見ていないと偉そうに言っていたけど、
だったら、なんの情報を信じて、ダーツ導入したんだろう。
情報弱者の会社ってこと?
常連がいるころは、ビリヤード台の稼動も良く
それなりに回っていた。それが、常連がいなくなって
ビリヤードなんか誰もしない。大学生が酔って
週末に1時間やって帰るくらい。
オオタニは、散々バイトが悪いと客が来ないと
文句を言っていたけど、原因はお前らじゃん。
無能経営でお店つぶしても偉そうなんだろうな。
今だから書ける昔話でした。