さて、ここで一旦、「目を閉じておいでよ」の振り返りを終えて、「ボブオムニバス」の振り返りに入ります。というのも、まだ振り返りで触れていないキャスト陣は全員ボブオムニバスに出演しているので、こちらでまとめて書きたいと思います。

 

ボブオムニバス、名前の通りオムニバス作品を3作品上演したのですが、なかなかに大変でした。特に「目を閉じておいでよ」にも出演組は、作品の雰囲気の違い、そして演じるキャラの違いに混乱しておりました。稽古は大体午後と夜の2部制で行っていたのですが、昼に目を閉じてをやると夜のオムニバスでキャラがぶれたりとか。逆も然り。あとは目を閉じてと東京サタデーのテンポが2倍くらい違ったので脳がスピードについていかないとか色々ありました。そんな中でもオムニバス作品全ての主要キャラを演じた一村すみれちゃんはブレずによくやっていたなと感心しております。セリフの量だけでいったら、目を閉じておいでよも合わせた中で、一番多かったのではないかと思います。

ボブオムニバスでの第一のトピックスは、第二話の「ただ一度だけ」の演出を劇団6番シードの松本さんにお願いしたことですかね。松本さんも言われていましたが、作演出がいる劇団で、ゲスト演出家を招いて上演することは珍しいことのようですが、私的にはオムニバスをやろうと考えた時に、4月に中止になったMIXUP!!の守山作品をどれか一つ入れたかったので、案外すんなりゲスト演出家を招くというプランは出てきました。嬉しかったんですよね、中止になった時に、演出予定だった松本さんも、もう一つの短編「ピューティフルサンデー」を演出予定だった細川さんも「うわー、この作品、演出したかったのに〜」と言ってくれていたのが。今回は宴というコンセプトだったんで、ゲスト演出家をお招きするのには良いタイミングだったこと、そして何よりコロナに一矢報いたかったというのもありましたし。結果的には大正解。松本さんの色が入ったことで、本当に3作品とも違った様々な色が出たと思っています。松本さん、改めて依頼を受けてくださりありがとうございました!

そして、初ボブジャックの一村すみれちゃんに、オムニバスの命運を託したことも大正解だったと思っています。彼女がどの作品にも出てくれたことで、確実にいつもとは違う味が全ての作品にも備わっていました。そしてすみれちゃんがかなりゲラだったので、調子に乗って劇団員がネタを掘り込む掘り込む笑。良い相乗効果でした。

演出的な面で言えば「目を閉じておいでよ」は大局を見て演出したのに対し、「ボブオムニバス」は一戦必勝で挑んだ感じです。笑いは取れるだけ取って、物語や感情の流れなどはなるべく急転直下にして驚きを与える。私も脳をしっかり切り替えないとなかなか難しい仕事だったので、とても勉強になりました。

今回の2公演同時上演は、本当に大変で、劇団員も稽古フル出場でみんなヘロヘロになっていましたが、終わってみればやはりやってよかったなと思ってます。稽古中、一度ボブオムニバスの通しがダメダメな時があったのです。その前の時間帯にやった目を閉じておいでよの通しでヘロヘロになっていたのもありますが、明らかに皆んなが切り替えをできておらず、そして集中もできていなかった。終わった後のダメ出しで、結構キツめにみんなにしっかりするように伝えました。みんなもダメダメだったことを痛感しており、あそこでなんか座組の勢いが、グッと増したように思います。そして劇団として一つの壁を越えられた気がしました。確かに今回の公演はいつも以上に大変なことが多かった。感染症対策にも神経を使わないといけないし、沢山の作品をやり遂げないといけない。今のコロナ禍はまだしばらく続く。しかし、もしコロナ禍が終わったとしても、演劇界を取り巻く環境はコロナ前にはもう戻らないと私は思っています。今回のコロナ禍で演劇から足が遠かったお客様も多いでしょうし、そもそも箱型エンターテイメントの限界、脆さも露呈しました。もちろんライブエンターテイメントは大切ですし、なくなりませんし、なくしはしません!でも間違いなく時代は変わります。それがコロナによって早まった。私たち演劇人を取り巻く環境は確実に厳しくなります。だからこそ、今回の公演で役者として、劇団として強くなれたことは間違いなく今後のプラスになると思っています。大変でしたが本当にやってよかった。

そして「東京サタデーナイト」、この作品をアリーを送り出す公演でやれて本当に良かった。公演の私的使用笑。ではありませんが、笑って泣いて暴れまわって、うちの劇団らしくアリーを送らせて頂きました。アリーへの花向けにもなり、お客様にも楽しんでもらえる作品、最高じゃないですか!関係者の多くの方から「この作品、ボブジャックさんがやるから面白いんですよ」と喜んでいいのか悪いのかの感想をたくさん頂きましたが、まあ楽しんでもらえれば良い!演劇の90%は愛でできていますからね。演劇愛、キャストへの愛、お客様への愛。アリーへの花向けに、ボブジャックが今できる最高の愛を届けることができました。そんな愛の形を皆さまが爆笑して泣いて観てくださったことに最上級の感謝を!

 

というわけで次回以降ははボブオムニバスに出演してくれたキャストについてと、目を閉じておいでよとボブオムニバス両方に出演したキャストたちについて書きていきますー!

まだちょっと続きますよー。