去る1月29日から2月2日まで光が丘のIMAホールにて上演された、演出作品、舞台とアプリ連動企画『SHINOBI NOW!!』の上演が無事に終了いたしました!

ご来場いただいたお客様、本当にありがとうございました。

アクションバリバリの作品だったのですが、大きな怪我なく終えられたのが何よりでした。

 

とても面白い企画ですよね、舞台とアプリの連動企画というものは。舞台、アプリ双方で作品を補い合って1つの作品になると言いますか。舞台は尺が決まっているので、ストーリー上、どうしても省略しないといけない部分が出てくるのですが、それをアプリが補完してくれたり、逆にアプリという2次元の世界を舞台で三次元で表現し、そのビジュアルイメージを補完したり…。なんか、クリエイティブの新しい可能性に出会えた気がします。そう言った意味でも、とても刺激的な作品でした。

 

その作業は脚本段階から行われておりまして、最初はアプリサイドの制作チームから世界観の説明や設定を提示してもらい、アプリ制作上、現状決まっているバラバラの要素をとりあえず受け取る。それを私と舞台脚本の守山サイドで構築して一本の脚本にする。その脚本をアプリサイドの脚本家さんやゲーム製作者さんに読んで意見を言ってもらい、例えば「ゲーム上、ここはこうした流れにして欲しい」とか「ゲーム上、この流れ時ではない流れにして欲しい」など要望を受け、それを舞台の脚本にも反映させていく。なかなかに難しい作業ではありましたが、普段私たちでは行き着かなかったであろう展開が思い浮かんだり、私たちとは違った部分のこだわりをアプリサイドの方が指摘してくださったりと、とても刺激になる作業をさせていただきました。大変ですが、やはり脳味噌は多いほうが豊かな作品になりますね!楽しかったです!

 

また、今回は私が今までに演出した舞台では一番広い舞台面でしたので、舞台セットを沢山動かしたり、照明を思いっきり派手にしたりなど、普段あまりやらない演出手法も取り入れてみました。そう言った部分も非常に勉強になりましたし、演出していてとてもワクワクしました。IMAホール、良い劇場ですよ〜!

 

そして今回ご一緒したキャストさんは、もちろん舞台経験の豊富なキャストさんも沢山いましたが、まだ経験の浅いキャストさんも沢山おりました。その中でも主演の堀部香也を演じてくれたSHOYAくんと鵜飼笑悟を演じてくれたSHUNくんは、本職はアーティストさんで、今回が初舞台どころか初演技!このお二人は特に印象に残っております。全体稽古が始まる少し前に、お二人だけお芝居が初めてだということもあり、プレ稽古を私含め3人で行いました。その時は正直なお話「おお…、これは大変だぞ」と思いました。まあ当たり前ですよね、お芝居やったことないんですから。最初からできる方がおかしい。

演劇人としては、こういった外部?の人たちがお芝居に足を踏み入れてくれるのは大歓迎なのです。彼らが舞台に立つことで、全く畑の違うファンの方たちが舞台を観てくれる。そしてその方達が少しでも「舞台って面白い!」と思っていただければ、舞台文化の発展にも繋がります。そのためには、SHOYAくん、SHUNくんにも「舞台っていいな」と思ってもらいたい。そう願って稽古に取り組んでおりました。

最初は2人とも、覚えることも沢山あるし、舞台のルールもわからないしで、かなり大変だったと思います。しかも今回はアクションも沢山ありましたからね。お芝居だけではなく殺陣の手順も覚えないといけない状態でした。そんな中でも黙々と他のキャストに食らいつこうと頑張っている2人の姿は、私にとっても大きな刺激になりました。そして稽古も後半になってくると、今まで見るからにいっぱいいっぱいだった彼らが、少し慣れてきた感じも現れ、稽古場での笑顔も増えてきた時、本当に嬉しかったですね。

そこからは加速度的に良くなっていきました。特にSHOYAくんは、セリフもアクションもいっぱいだったのに、目に見えて役を自分のものにしていっているのがわかりました。そして一番驚いたのが、ラストの方のシーン、楯岡役を演じてくれた柏木くんが、倒されるシーン。多分わざとだと思うのですが、柏木くんがSHOYAくんを煽るかのように、ものすごく熱量たっぷりでそのシーンを演じてくれた時、それに呼応するかのようにSHOYAくんの熱量が、それまでの5倍くらいに跳ね上がったんです。本当に急にです。正直、見ていて鳥肌が立ちました。SHOYAくんの中で何かが弾けたのでしょう。今まで沢山演出してきましたが、あそこまで急激な変化を見せられたことはありません。柏木くんのファインプレーですが、多分、柏木くんも驚いたんじゃないかと思います。

その日は、同じような現象がもう一度起きました。初舞台ではないでですが、まだ舞台経験が少なかった水戸光役を演じてくれた小松くんも、同じような反応を見せたのです。これもラストの方のシーンなのですが、柏木くんがやったように相手役の天海演じる緑川さんが、かなり煽り気味に芝居をした瞬間、小松くんの熱量も5倍くらい上がりました笑。「こんなことが同時に起きちゃいます!?」と私もかなり驚いたものです。

 

これだから、若手の子たちとやる作品作りは面白い。こちら側の想像をポーンと超えてくる瞬間に立ち会える。貴重なひと時を過ごさせていただきました。お芝居の可能性は計り知れないですよ…。

 

ひた向きに頑張ってくれた、もうすでに次の舞台を期待してしまうような座長のSHOYAくん(舞台での挨拶、打ち上げでの挨拶がこれまた男前でした)、

 

フワッとして可愛い見た目からは想像できないくらい、こちらが出した演出に必死に答えようとしてくれた小松くん、

 

全てにおいて高いポテンシャルを持ち、チームキャプテンのようにみんなを引っ張り鼓舞し、様々な演出プランも提案してくれた柏木くん、

 

今回で最後の舞台、沢山のセリフもお疲れ様でした!な竹田くん、

 

まだまだこれからな部分はありますが、抜群の存在感と才能を見せてくれた、末恐ろしい安東くん、

 

ミスターパーフェクト、稽古中から高水準な演技を見せてくれ、本番中も一番安定した芝居を見せてくれた坂垣くん、

 

安定したお芝居、そして抜群の華があり、ついつい目で追ってしまう役者としてとても好きな松本くん、

 

あの囁くような台詞回しで役を立派に構築し、立ち振る舞いもとても美しかった岩佐くん、

 

最初は汚い言葉も優しくなってしまっていたのに笑、気付いたら一番汚い言葉使いが板についていたSHUNくん、

 

ただ可愛いだけではなく、暴れ者の側面も役に追加してくれた愛されキャラの小俣くん、

 

抜群の演技力で、たった1人になっても強大な敵であり続け、間違いなく作品全体を締めてくれた緑川さん、

 

普段は死ぬほど低姿勢で可愛らしいのに、舞台では完璧に最強キャラになってくれた江本くん、

 

豪快なアクションで「おお、この人が天海のナンバー2だわ」と思わせてくれた結城くん、

 

ねちっこくて陰湿な大蛇丸を台詞だけではなく、姿勢や立ち方までも表現してくれた若菜くん、

 

三竦みの中で異質なキャラを構築し、綱手を圧倒的に素敵なキャラクターに昇華してくれた網代くん、

 

アンサンブルのアクション番長として、座組の殺陣クオリティー上げに協力してくれた渡邊くん(本多も素敵だった)、

 

アンサンブルの複雑な段取りをまとめあげ、作品が円滑に進むよう尽力してくれた鈴木くん、

 

色んな人を持ち上げたり、踏み台になったりと本当にお疲れ様でしたな桜木くん、

 

煙玉を食らったときの吹っ飛び方が上手すぎない!?といつも感心していた宮本くん(大ガラスも面白かった)、

 

アンサンブル1、何かしでかしそうであり、実は持っている男、宮くん、

 

セグウェイの達人であり、なぜか声がガラガラになっていた犬塚くん、

 

そして各々のセクションで尽力してくださったスタッフの皆様、

 

本当に本当にお疲れ様でした!

そして何より、劇場にお越しいただきご声援を送ってくださった全てのお客様、本当にありがとうございました!

またどこかで皆様にお会いできることを祈って!

 

SHINOBI NOW 演出:扇田賢