3月21日から25日まで六本木の俳優座にて上演された『バグバスターズ stage blue』が全公演無事に終了致しました!追加公演も含め全8公演、キャスト・スタッフ全員でやり切りました!全公演完売、千秋楽には当日券に50名以上のお客様が来てくださったり(ご入場できなかった皆様、申し訳ありませんでした!)、本当に本当にありがとうございました!皆様の大きな笑い声と拍手が本当にすごくて、とても幸せな気持ちになりました。続編決定を発表した時の皆様の歓喜の声を聞いて、「この作品は本当に愛されている作品だ」と心の底から実感いたしました。

さて、演出ノート的な意味合いも込めて、公演を振り返りたいと思います。最近は公演や仕事が続いていてなかなか書けなかったのですが、今回は少しだけ次の作品まで間隔があるので書けます!

 

最初、演出のお話をいただいた時「え?なぜ私?」と思ったのが正直なお話です笑。バグバスターズシリーズは今回の「stage blue」の前に1〜3までやっている人気作品。スピンオフとは言え、そのような作品の演出をさせていただくのはありがたいと同時にものすごくプレッシャーでした。そして何より、おそらくバグバスターズのフリーダムな雰囲気を作っていたキャスト陣の林明寛くん、磯貝龍虎くんが抜けるということで(樋口裕太くんもかな)作品の雰囲気がガラッと変わってしまうのではないか?という思いもありました。しかし、主演の反橋くんを始め常連組もキャスティングされていたので、その辺りは、稽古を通して自ずと出てくる今回の座組の色でやっていけば良いかと腹をくくりました。バグバスターズのようなフリーダムな感じの作品は役者間でのコミュニケーションやアイデアを出せる稽古場環境を作っていくことが大切になってきますからね。まあ、結果としてほぼ全員がぶっこみまくるという座組になりましたが笑。

その辺りはやはり、反橋くん、渡辺くん、山﨑さん、大海くんといった常連組が積極的に稽古場から色々ぶっこんで良い環境を作ってくれました。稽古場から結構なぶっこみ合戦でしたから笑。

今回の脚本を読んだ時、作品的には生徒たちをどうするかが一番難しいなと思いました。最後に大きな陰謀が待ち構えているのですが、その途中までは青柳と生徒たちのやりとりがメイン。河東、望月は個別のエピソードがあったので流れが見えていたのですが、その他4人の生徒たちをどうするべきかが非常に難しかった。正直な話、特に何もしなくてもストーリーは成立したのですが、それでは味気ない。4人のキャラを立たせたいというのがテーマでした。また4人を立たせることで結果的に河東と望月のキャラも立つことになると考えていました。生徒たちのシーンを一番稽古したのですが、みんなをどんなキャラにするのかなど話し合ったり、生徒間でもディスカッションしたり、みんな知恵を絞って役と向き合ってくれました。若い子も多かったのでとりあえずガンガン攻めて欲しかった。結果的には攻め過ぎくらい攻めてましたが笑。私としては、後藤健流くんが望月役に入っていたのが大きかったと思います。彼が本当に上手くバランスを取ってくれたなと。自分でもぶっ込みつつ、周りの動向を見て色々変えてくれたり、最終的にお客様の目が河東役の佐藤くんに向くようにしてくれたりと抜群のさじ加減でした。健流くんについてはまた後ほど書きますが、あらゆる面で彼が今回の座組にいてくれて、本当に助かりました。

 

さて、今回の作品ではまず、何と言っても外部初主演を務めてくれた反橋くんでしょう。本当に本当に素晴らしかった!役として色々な面でとんでもない仕事量。膨大な台詞、激しい殺陣、劇中とライブのダンス・・・。しかも稽古期間も短い。しかし、一切妥協せず、魂を削って見事に演じ切ってくれました。また、脚本などを稽古場で少し変更したりする場合も、私の相談にのってくれたり、作品構築面でも力を貸してくれました。そして、自分の仕事量が膨大だったにもかかわらず、周りのキャストへもお芝居のアドバイスをしたりなど座長としてみんなを引っ張ってくれました。反橋くんはまさにオールマイティー。ダンスも殺陣も芝居も、全てがハイレベル。忘れてならないのは「頭の回転の速さ」。稽古場からいろんなボケをかます周りのキャストへ「よくそんなワード短時間で出てきたな!」と感心するほどツッコミ無双でした。自分でもガンガンぶっ込むしね。アドリブだけではなく、お芝居面でも周りの変化に即座に反応できる柔軟性は彼の最大の武器なのかもしれません。そして何より声が良い!聞き取りやすいし、声にものすごく感情が乗る。あの声量でしかもお芝居が生っぽい人ってなかなかいないんじゃないかなと。最後の長台詞は音やリズムも抜群。台詞のリズムとちょっとした間を使って、観客をグッと引き込む。そして、感情を一気に爆発させて臨場感を生み出し、語り部だったはずの青柳がいつの間にか当事者になっている・・・。圧巻でした。今回の作品がどんなにハチャメチャな道中を通ってきても最終的にちゃんとした人間ドラマになっていたのは、彼の熱さや人間としての奥行きなどが大きな要因だったことは間違いありません。反橋くんが主演で本当に良かった。反橋くんの外部初主演を演出できて良かった。また必ずご一緒したい役者です!

 

そして、今回の助演であり一筋縄ではいかない敵役を演じた仲田くん。普通のシーンでは結構ボケをかましたりしていましたが(私、個人的に仲田くんのネタが好きでした笑)、何と言っても後半の闇落ちしてからの演技が本当に良かった。行間のある役だったので、二人で話し合って「二重人格」的な役作りをしてもらいましたが、見事に絶妙なバランスで演じてくれたと思います。二重人格的な説明はストーリー上一切ないため、二重人格なのか、はたまたただ単に嘘をついて良い人のふりをして悪巧みしている人なのか、観劇した人の印象で変わるお芝居つまり「想像を掻き立てる」お芝居をしていたなと。そこは彼の元々持っているミステリアスな部分や良い意味での影を感じさせる雰囲気が見事にマッチしたのだと思います。こういう役はあまりやったことがないということでしたが、むしろこういう役も彼の大きな武器になっていくと思うのでこれからが楽しみですね。あと、主演の反橋くんとものすごく相性が良かったと思います。二人のシーンは稽古場でも「もっと見ていたいなあ」と何度も思いました。二人の作り出す空気感というか、そういうものが非常に心地良かった。あとは、仲田くんも声が素敵。なんとも言えない独特の響きのある声だと思います。低いようで高いようで、でもどこか愛らしい?声といいますか、本当に魅力的です。是非また一緒に作品作りがしたいです!

 

おっと、長くなってしまったので今回はこの辺で。また続き書きますー。