さて、本日も張り切ってキャスト紹介を行ってみましょう!

本日はダブルで出演してくれたキャスト陣についてです。

 

【光組】

○黄市恵美役:ノゾミザカ・EXVさん

稽古当初から「お芝居が苦手」と公言していた彼女。どうやら子供の頃のお遊戯会的なものにトラウマがあるようで、今回の舞台でトラウマを乗り越えようぜ!がテーマでした。

最初の頃はその苦手意識からか声が小さかったり感情を込めてセリフを言ったり、影芝居で何をしたらいいのかなど諸々苦戦しておりました。徐々に徐々にそれもほぐれてきて、本人の意識も変わってきて、ある日の稽古で急に影芝居がガラッと変わりました。「お!?」思っているとやはりセリフもグッと気持ちを込めて言えるようになりました。いやー、メチャクチャ嬉しかったですねえ。なかなか上手くいかなかったゲロタンのところの長いセリフも徐々に安定してきて、本番では全体的な演技のクオリティが更にググッと上がりました。次第に欲も出てきて、千秋楽の前には「私もなんか新しいことがしたいです」とまで言ってくれるようになりました。これはアリスインさんを演出していて一番嬉しい瞬間なんです。みんなが舞台の楽しさややり甲斐に気づいてくれる瞬間。それで千秋楽の奇跡の「パンぐるぐる」が誕生したのですが、いやー、彼女は持ってますね。あんなライブならではの奇跡が起きますか!?というね。明らかな事故なのですが、他の出演者もお客様も一体になってフォローしてある意味デッドリーBOのレジェンドシーンになったのではないでしょうか。千秋楽では影芝居もセリフも恵美そのものに見えるぐらいしっかりやれてたので、今回の経験と自信を胸にまた是非舞台に立ってほしいと思います。

 

○志倉夏樹役:ホリエミナミさん

リエちゃんはとにかく声が特徴的で良い。私は声に特徴がある演者さんを演出するの好きなのですが、彼女は演出していて楽しかった!なんか聞いてると明るい気持ちにしてくれるんですよね。

光組のプロローグ(ゾンビの世界になる前の日常)はふんわり明るい雰囲気を出せていたのですが、それはリエちゃんの功績がかなり大きいのではないかと私は思ってます。彼女の明るい声とのほほんとした雰囲気が実に良い効果をもたらしてくれていました。こういうことはおそらく「明るく演技して」と言ってもなかなか出せないことだと思うんです。彼女の持っている特性ですね。本当にあの雰囲気は教えてできるものではありません。

劇中に出てくる彼女の日替わりのパワーワード、バイキルトとライザップもあの感じで言うのものだから実に面白かった。「全然パワーワードとして言ってないやないかーい!」と心の中でツッコンでいました。声色も色々出してもらえたので「将来は声優さんになりたい」という夏樹のセリフに妙に納得できました。本当に良いキャラの持ち主です。

稽古初期に行ったワークショップでフリー演技やったのですが、そこでも彼女のセンスがキラリと光ってました。ワードセンスがいいんですよねー。狙っている感じを出さずに面白いことをふわっと言ってくる。本人は滑舌に自信がないようですが、滑舌は訓練で確実に良くなります。もっと自信を持って演じたらどんな化け方をするんだろうと期待も高まります。グループの活動が忙しそうなのでなかなか舞台に立てないかもしれませんが、是非お芝居を続けてほしいなと思います。

 

○緑浜塔蘭役:島林祈星さん

きらちゃんもホリエミナミちゃん同様、光組に明るい雰囲気を出してくれたキャストの一人です。とにかく元気にハキハキ演じてくれるので、場にエネルギーが出てくる。スケジュール的に彼女は結構大変だったのですが、しっかりやり遂げてくれました。ポテンシャルがものすごく高いのでもう少し大人になって自分でああしたいこうしたいが出てくると非常に良い女優さんになれると思います。まだまだ中学1年生ですからね、これからの伸び代が本当に楽しみだと思います。

光組はとにかく恵美・夏樹・塔蘭の三人が微笑ましく、彼女たちが怖がったり混乱したり楽しそうにしたりすることで場のリアリティが非常に増していました。ファインプレーだったと思います。デッドリースクールという作品はほぼ全員が舞台上にずっといますので誰一人舞台上で油断できない作品。ワンシチュエーションで場面も変わらないので本当に全員で呼吸を負わせて場の空気を変えていかないといけない。チームプレーがとても要求される演目。きらちゃんはその中でも「元気」担当だったわけですが彼女の明るく初々しい演技は本当にキラキラしていました。声も大きいし、セリフも聞き取りやすいし、何より声が明るい!この辺りは今後お芝居を続けていく上で彼女の最大の武器になるでしょう。さらに上を目指して頑張って欲しいなと思います。

 

○宍戸舞役:塩野寧々さん

私、彼女はものすごくお芝居の才能があると思ってます。なんなら天才と言っても良いかと。実質的には初舞台のようなものだったらしいのですが、全然そんな風には思えなかった。セリフ回し、感情表現が素晴らしかったのはもちろんのこと、何より相手の芝居をしっかり受けてのお芝居が自然にできている。初舞台の子は自分の芝居にいっぱいいっぱいで1人で芝居してしまうことが多いのですが、寧々ちゃんは実に自然にあるがままに舞台上で息をしていました。感性が素晴らしい。セリフがない時のお芝居も実に良かった。僕が見ていて鳥肌が立ったのが、中盤の劇中歌中に高森が倒れてみんなで騒然となっている中、紅島と視線をかわし、高森を救うため決死の覚悟で屋上のドアを出て行くシーン。あの優しく穏やかだった舞が力強く扉を開けて飛び出して行く姿。その時の顔の角度と加速の仕方、本当に素晴らしかった!私は何も演出してません。状況は説明しましたが。あそこであの選択ができる豊かな発想。舞という人物像がバーンと広がった瞬間でした。細かい部分かもしれませんが「この子すごいな」と驚かされました。あと、あの若さで溢れ出る母性!とにかく色々と私に驚きを与えてくれて女優さんでした。

役者としても十分にその才能を発揮してくれたと思うのですが、ダンスも上手で振りの入れも早く、稽古終わりにダンスが苦手な子達の指導もしてくれて本当に助かりました。あらゆる面で寧々ちゃんが座組にいてくれて良かったと心から思います。いやはや、非常に楽しみな子が現れましたよ。また是非ご一緒したいです!

 

○巣宮春菜役:永瀬かこさん

感受性が豊かでしっとりした声が魅力的な子。少し遅れての合流でしたがセリフもすぐに入れてくれ、非常に頭の回転が早い子だなあという印象を受けました。初舞台だったのですがとにかく飲み込みが早く、影芝居なども色々と工夫していましたね。声を荒げたり感情を乱したりするのが苦手だったようで序盤の春菜がヒステリックになるシーンがなかなかうまくできなかったのですが、本番直前に感覚を掴んでからはそのあたりのお芝居も非常にうまくやれていたと思います。あの繊細な見た目とは裏腹にかなり肝も座っていると思うので、舞台上での演技度胸は素晴らしいものがあると思います。かこちゃんのようにステージ度胸のある子はドンドン舞台に立つべきだと思います。演技の勉強になるのはとにかく「第三者に見られる場所」つまり本番です。いくらレッスンを沢山やっても、最終的には人前で演技をしなければ何の意味もありません。彼女は本番中に冷静に色々なことを自分で吸収できるタイプだと思いますので、実地訓練が一番有効だと。

まだ、普段の声と演技をしている時の声にギャップがあるのでボイストレーニングをしっかり積んで、普段の声に近い状態でセリフなどをはっきり言えるようになればもっと良い演技ができるようになると思います。セリフのニュアンスを掴んだり役の気持ちを掴んだりするのが抜群に早いので単純なお芝居技能を向上させればまさに鬼に金棒です。見た目的には映像でも輝きそうな子なので色々なものに挑戦していって欲しいですね。

 

○村崎静香役:和ほのかさん

ほーちゃんはお芝居が実にしっかりしてる。セリフもハキハキとテンポ良く言えるので場にエネルギーを与えてくれる。いわゆる「上手い女優さん」という印象でした。しかし、きっちりと演じることは上手くできるがその反面、感情がぶれたり急激に高まったりするような演技を少し苦手にしておりました。なかなか上手くいかない彼女とディスカッションした時があるのですが、話していて原因がわかり、もっと素直に感じるまま演じて良いんだよとアドバイスすると、急にグーンと良くなりました。この物語は和磨会長の自殺シーンから急激に少女達に悲劇が次々と襲い掛かります。その重要なシーンを本当にしっかりと演じ切ってくれました。ほーちゃんを始め、本当にレスポンスの早い子が多い座組でしたね。今回何かを掴んでくれたと思うのでこれからもどんどん良い女優へと成長してくれることでしょう。お芝居はフィクションです。どんなに頑張っても役のキャラ本人には絶対になれません。だからこそ、部分部分では割り切って演じないといけない。そこで悩んでその役を理解しようと頭で細々考えるより、思い切って自分が感じたままに演じた方が良い部分も必ずあります。そういうある種の「開き直り」を身に付けると色んな方向に行けるようになります。結果、役が豊かになる。しっかりした技術の中にそういう開き直りを少し取り入れることができたほーちゃん。まだまだ高校一年生ですし、これからの彼女の飛躍に期待です!素晴らしい演技だったよ!

 

○猪狩薫役:伊地智梨愛さん

りあちゃんも初舞台だったのですが、彼女も今回の舞台で一番成長した一人だと思います。演技をやりたての時というのはやはり心の奥底に「恥ずかしい」という苦しさを抱えるようになる。その苦しさで体が悲鳴をあげる。その結果、体の変なところがフラフラ動いたり、特に手がそわそわしたり足がちょこちょこ動いてしまう。彼女もそういうものがとても出てしまう子でした。稽古中に何度もそのあたりを指摘し、そういう癖がかなり抑えられるようになりました。また、紅島に言い寄るところも最初はなかなかうまくできなかったのですが、何回も繰り返していくうちにしっかりとできるようになりました。本番では薫のKYなところをしっかりと表現できていたと思います。ゲネプロでミスをしてしまったのですが本番ではノーミスでやれていたので本当に成長したなあとしみじみ思いました。

実は薫という役はなかなかに難しい役なんです。怖がりながらも紅島にはたて突いたり、ちょっとPTSDになってしまったような振る舞いをしたりなど初舞台の子には大変な芝居を要求される。配役決めの読み合わせで当然初演技ですからあまりうまくできていなかったのですが、彼女の眼光がとにかく鋭かったので、その内なる闘志に賭けて配役しました。本当にしっかりと期待に応えてくれたと思います。もっともっと芝居というものに対する集中力が上がってくるとさらに成長できると思いますので、お芝居も是非続けて欲しいなと思います。

 

○高森朝代役:みずきさん

今回は出演者としてではなく演出助手としても活躍してくれたみずきちゃん。お世話になりました。自分の役だけでも大変だったと思うのですが、稽古場を仕切ってくれたり本当に助かりました。高森という役は大変な役ですからね。本人的にもとても大変だったと思います。

女優さんとしては「役に入り込んで」演じるタイプ。そこは彼女の優れたところ。しかし、諸刃の剣でもあります。やはりお芝居というのは観ている人がどう感じるかが大切です。本人がどう感じるかではなく観ている人がどう感じるかをある程度計算しなければいけません。そのさじ加減が難しい。計算ばかりしていると観ている人の心は動かせないでしょう。「役に入り込みながらも」「冷静にそんな自分を見ている目」という離れ業をしないといけない。この第三者目線をもっと鍛えることができれば彼女のお芝居は格段に良くなっていくでしょう。今回の舞台ではその辺りのお芝居を少し意識させることができたかなと思っています。お芝居にかける情熱や頑張りは本当に感心してしまうほど素晴らしいものを持っています。色々指摘してあげればあげるほどドンドン吸収してよくなっていく女優さん。舞台経験も豊富だと思うのですがそういった素直さも忘れない。今回は演出助手としての負担も大きかったと思うので、次回ご一緒するときには純粋に出演者として演出をつけてあげたいな〜。またよろしくお願いします!

 

 

今回はこの辺で。次でラストです!