さてさて、キャストについての第二弾です。

今日はたくさん進めたいところです笑。張り切っていきましょう!

 

○橙沼霧子役:一ノ瀬あかりさん

彼女は本当にセンスがあります。自分の特徴の出し方も知ってるし、明るくもシリアスにも演じきれる。あかりちゃんの一番の良さはパワフルさ。役を力強く演じてくれるので、キャラクターの躍動感がすごく出る。ノブ・ユウが物語の表の部分で楽しさを表現していたとすれば、霧子は根っこの部分で明るさを出してくれていました。霧子はちょっとエキセントリックなキャラクターなんですが、あかりちゃんが演じると結構リアルな女の子に見えたんですよね〜。非常に大胆に演じているのですが、なぜか自然に見えてしまう。こういう演技ができる役者は私の非常に好みなんです。自分の劇団でもよく「ハチャメチャにやってるのにそのキャラがナチュラルに見えたら勝ち」と言っていますが、あかりちゃんはそんなタイプの演技をしていました。あと、自分でこんなことしたいあんなことしたいと色々提案してくれて、これも私の役者に求める部分。役作りとは台本に書いている部分を読み解くのは当然として、そこにどんな自分なりのアレンジを加えていくかが大切だと私は思っていますが、彼女は若くしてそれができている。セリフを覚えるのも早いですし、芝居上の段取りの覚えも早い。紅島役の星加莉佐ちゃんもそうだったのですが、ダンスの時もしっかり様々な表現を乗せてくる。非常に芝居心があり、センスの塊みたいな子。彼女もまだ高校生ですからね、末恐ろしい女優さんです。また是非ご一緒したい!

 

○界原依鳴役:堀内玲さん

玲ちゃん演じる今回のイナリは、一ノ瀬あかりちゃんの霧子とのバランスがすごく良かったと思います。実は私にとってイナリと霧子の関係性ってなかなか表現するのが難しいのです。霧子とイナリの関係性を表現する時に忘れていけないのはイナリが語る「あいつ」です。このあいつはが脚本にあまり描かれていない。二人のエピソードや関係性のキーになる人物が薄いため表現が難しい。この辺りは役者の演技で行間を埋めてもらう必要がある。玲ちゃんはこの出てこない「あいつ」がどれほどイナリにとって大切な人物だったかをセリフの情報だけではなく感情でもしっかりと表現してくれました。なので、今回はその「あいつ」の輪郭が少し見えたような気がしました。これってすごいことだと思うんです。あの長台詞のシーンは諸々演出をつけたのですが、本当に見事にやりきってくれました。そしていつもと違うパワフルな霧子をあかりちゃんが演じてくれたことで「あいつに似てる」という言葉がすごく迫ってきました。目立たないかもしれませんが、これは二人の芝居の賜物だと思います。玲ちゃんは感情表現が豊かでお芝居に爆発力がある。ただ、スケジュール的にあまり稽古に参加できなかったのでそのポテンシャルが出てきたのが本番直前でした。本番に入ってからは日に日にパワーも感情も増してきて素晴らしい演技をしていましたが、それだけに稽古場でそこまで持っていってあげたかったなあと悔いが残っています。もし持っていけていれば、本番ではどこまで化けたんだろうと。次、ご一緒する機会があればもっと時間のある稽古場でご一緒したいなあと切に思います。彼女なら、もっと色んなことを吸収できると思うので。期待しています!

 

○堂本千十合役:田中梨瑚さん

りこちゃんはリアル堂本感が半端なかったですね。初々しさが役に良い方向に作用したのだと思います。堂本の「よそ者だけどすぐにみんなに打ち解ける」感じも自然にできていました。彼女は目の表情と声が非常に良いと思います。小柄な体ながらパワーも十分。今後もアイドルグループの活動がメインになるようですが、是非ともお芝居も続けて欲しいですね。初演技ということで最初は体の癖があったり少し棒読みな感じでしたが、少しアドバイスするとメキメキ良くなっていきました。感情的なシーンも最初は苦戦していましたが、感覚を掴むのが非常に早い。そして掴んだ感覚は忘れない。そして掴んだ感覚を素直にその他のシーンでも応用できる。最後の方のお芝居はほぼ何も指導していませんから。いわゆるセンスのある子です。お芝居はセンスも大切ですが、やはり経験が大きくものを言う。やればやるほどお芝居は当然うまくなる。そこからが勝負です。うまくなっても華がなければダメですし、華があっても様々な表現ができないと当然ダメ。りこちゃんはセンスも感じるしコケティッシュな華もあるので本当にお芝居を続けて欲しいと思います。お芝居での表現はライブなどでパフォーマンスをするときにも当然良いように働くと思いますし。初演技・初舞台ながら堂々と演じ切ったりこちゃん。堂本を活き活きとしたキャラクターにしてくれたおかげで、水貴との関係性が非常に微笑ましかった!

 

○青池和磨役:伊藤彩美さん

彼女の和磨は本当にハマっていたなあと思います。あの真面目なのにどこか不器用で天然な感じ。素敵でした。最初は和磨という役を掴むのに苦戦していたようですが、色々とアドバイスしていくと確実にものにしていきました。自分でも相当台本を読み込んでいたようで、なかなかにディープな質問も沢山されました。こういうの演出家としては嬉しいんですよね〜。「この人、この役を演じることに本当に情熱を持ってくれているんだなあ」と思えることはこちらも大きな刺激を受けます。だからこそ、なんとかその気持ちや情熱に応えたいと思うわけです。演出家も人間ですからね笑。やはりギブアンドテイクです。

彼女の演じた和磨の特徴は、真面目・不器用・強さに加え、可愛らしさだったように思います。あの可愛らしさは私にとっては新鮮な和磨でしたね。可愛らしさがあったから、余計に最後の自ら死を選ぶシーンがより切なくなっていたように思います。真面目で責任感のあるだけの人物像の和磨でも十分にグッとくるシーンなのですが、そこに可愛らしさも加わるとかなり破壊力が増すんだなと自分の認識も変わりました。

人間的にもすごく好印象で、彼女ならどの座組みに行っても愛されるだろうなあと思います。社交辞令かもしれませんが、ものすごく謝辞も言ってきてくれます。苦手なダンスも頑張っていたし、声を枯らしていたのですが、歌もしっかり歌ってくれていました。本当に頑張り屋さん。彼女を和磨にして本当に良かった!

 

○氷鏡庵役:中村舞さん

舞ちゃんは稽古参加が遅かったのですが、ほぼ1〜2日で段取りを覚え、あの氷鏡の難解なセリフも早々に覚えてくれました。氷鏡って「クール」か「エキセントリック」かのどちらかだと思うんですよね。まあ、台本をパッと読んだ感じだと多分「クール」なんだと思います。ただ、私の作るデッドリースクールの世界観では「クール」な氷鏡は合わないと思っています。なので舞ちゃんにも「エキセントリック」な方向で作ってもらいました。

彼女は普段、エンタメ系の殺陣芝居をよくやっているそうで、最初は動きもそんな感じの動きになっていました。そこらへんは少し注意をしましたが、彼女もすぐにレスポンスできる柔軟性がありました。あと、影芝居(セリフがないときの芝居。メインに芝居にあまり関与していないときの芝居)が非常に多種多様で見ていて面白かったです。「うわー、この人、お芝居大好きなんだろうな」というのがそういう部分にも滲み出ていました。

舞ちゃんの演じた氷鏡の特徴は「不器用で真面目」に見えるところ。「エキセントリック」と「真面目」って少し相反していると思うのですが、それがいい塩梅で同居していたなと思います。いいですね、こういう役作り。役の人物像が非常に豊かになる。役を記号ではなくちゃんと人間として捉えている証拠です。

舞ちゃんの確かなキャリアが今回の公演に大きな安定感をもたらせてくれていたのは間違いありません。舞ちゃんがこの座組にいてくれて本当に良かった!

 

○柏村香役:美津乃あわさん

私などがあわさんのことを書くなど少しおこがましいと思いますが、あわさんだけ書かないと言うわけにはいきませんので書かせていただきます笑

関西演劇界の重鎮と言われているあわさん。そりゃもう、お会いする前は緊張しまくりでした。しかし、実際に初めてお会いしたところ物腰も柔らかく非常に柔和な方でびっくりしました。なんなら、あわさんとお話ししていると癒されるくらいでした。色んなところからお声がかかる理由がよくわかりました。確かな演技力とお人柄。「うちにも出て欲しい!」となりますよ、そりゃ。

ドスの効いた声で、自衛隊たちが入ってきたときの安心感がハンパなかったです。だからこそ、パンをみんなで食べるときに登場人物もまたお客様もなんだか安心できる。かなりタイトなスケジュールの中ご出演いただけて本当にありがたかった。

自衛隊ジョークは、完全にあわさんと山岸さんに丸投げしてました。「脚本のこの部分で日替わりのアドリブやりたいんですけど」と言う私の無理難題も快諾してくれて、本当は本番中日からやろうと思っていたのですが、ノリノリで初日のゲネからぶち込んでくれました。山岸さんと毎公演前にネタ合わせしてるのが面白かったです!今回、演技経験の少ない子たちが多い座組だったのですが、あわさんがそこに本物のクオリティを良いバランスで挿入してくれたのは本当に大きかった。是非、うちの劇団にも出てもらいたいです!

 

○竹内珠子役:山岸奈津美さん

彼女もスケジュールで稽古に一週間しか参加できなかったのですが、彼女ほでメキメキと良くなっていくのがわかったキャストはいませんでした。本当にメキメキと音が聞こえてくるくらいのメキメキでした。初演技・初舞台でしたが、合流した時にはセリフはちゃんと入れてきていたし、アドバイスしたことをドンドン吸収していく様は本当に見ていて爽快でした。彼女は舞台上での立ち姿が本当に美しい。姿勢が悪い子って多いのですが、彼女は背筋がピーンと伸びていて実に良いです。度胸も満点ですしね笑。初舞台で日替わりネタをあんなに堂々とやるなんて、予想外でした笑。千秋楽の挨拶でも「自分の可能性が広がった」と嬉しいことを言ってくれていましたが、彼女は吸収力が良いのでこれからドンドン舞台に立ち続ければ、もっともっと良くなっていくのが容易に想像できます。元々ステージ上の華が抜群ですからね。少し甘えた声なところがありますが、発声訓練や色々なセリフを発することで解消されていくと思います。解消されれば元々の少し甘えた声は武器へと変身します。可能性の塊のような子。非常に楽しみな存在です。

立ち姿が美しく堂々としているため、彼女もあわさん同様、「大人の人が来た」と言う感じがよく出ていました。何度も言いますが、この部分は物語上非常に大切な要素なんです。現在は東京で活動しているとのことだったので、機会があれば東京でもぜひご一緒したいなと思います。また、メキメキと言う音を聞きたい!

 

 

はい、と言うわけで今回はこの辺で!