振り返りブログ第二弾です。

今回は作品を彩ってくれたキャスト陣について。

みんな、本当に頑張っていました。今後の彼女たちの活動や未来にエールを送る意味も込めて書かせて頂きます。

 

○墨尾優役:肥川彩愛さん

今回が初演技初舞台、当然初主演。この作品は優とノブのダブル主演とは言え、その負担は単独主演と何ら変わりません。優は難しい役です。天然ボケ、垣間見せる強さ、切なさetcとにかく沢山のものを表現しなければいけません。物語としても「主人公に何か目標とかトラウマがあり、それに向けて話が進んでいき、主人公が成長していく」というタイプのものではありません。これは役を作っていく上で実は非常に難しい。お芝居初挑戦で挑むには少し大変な役です。実は配役の時に、他のキャストを優に当てようと思ったこともありました。初期の配役決めの読み合わせの時に、彩愛ちゃんは後半の感情を露わにして演じる部分に苦戦をしておりました。まあ当然ですよ。お芝居したことないんですから。最終的に彼女で行こうと思ったのは「滲み出す陽のオーラ」と「少し弱さを感じさせる佇まい」でした。陽のオーラと言っても昨年度のパラドックスで優を演じた橋本瑠果ちゃんのような夏の太陽とは違って、じんわり暖かい初春の太陽みたいな。そこに少し弱々しさを感じさせる佇まいを見たことで「私にとっては新しい優を見せてくれるかも」という期待もあり、彼女の優に賭けました。いや〜、本当に頑張ってくれたと思います。決して器用なタイプではないと思うのですが笑、着実にじわじわとお芝居が良くなっていくタイプ。何かを成し遂げるために最後まで頑張り抜く心の強さをものすごく感じました。表には出さないですが、おそらくものすごく負けず嫌いかと。こういう静かに何かを黙々と頑張るタイプは絶対に伸びる。スポーツでも勉強でもそういうタイプが最後には勝つのは周知の事実だと思います。

にしても、ラストの方に向けての感情的なシーンでの彼女のお芝居は、私の想像をはるかに超えて成長しました!彼女の弱さの中に頑なな強さを感じさせる叫びは本当に胸にグッときました。千秋楽のお芝居は特にすごかった!この後も舞台が続くようですが、演技はやればやるほど絶対に上手くなる。華もあるし是非今後もお芝居を続けて欲しい。彩愛ちゃんを優にして本当に良かった。彼女の初舞台を演出できて本当に良かった。

 

○百村信子役:横野すみれさん

彼女を初めて見たのは昨年大阪で上演されたクオンタムドールズでした。その時から、彼女の抜群の透明感に「この子は絶対にお芝居に向いている」と思ったものです。今回が2回目の舞台。で、ノブという難しい役に挑戦でした。

以前のデッドリーブログでも何度も言ってますが、私にとってデッドリースクールはノブが最重要ポイントの役なんです。優や紅島ほどの派手さはない役ですが、このノブという役が如何にリアリティを出せるかによって作品のクオリティが全然変わってきます。すーちゃんにはそんなこと伝えてませんよ。変にプレッシャーに感じて欲しくなかったので笑。すーちゃんならそのリアリティを出してくれるという直感があったので彼女をノブに配置。私の目に狂いはなかった!すーちゃんも彩愛ちゃんと同じく、黙々と前に進んでいくタイプ。最初は苦戦していたツッコミも徐々にものにしていき、動き方などもそこそこ細かく演出しましたが着実に良くなってくれる。演出していて楽しくなる女優さんですね。彼女はとにかく見た目がお芝居にすごく向いていると思います。あの透明感と清潔感は舞台だけに止まらず映像などでも輝きを放ちそうです。後、声がまっすぐ出る。変な抑揚とかリズムがない。これはもともと持ち合わせていたものでしょう。これは役者としてものすごくプラス。才能と努力を持ち合わせている彼女。芝居をすることにものすごく情熱を持っていると話していたので本当に今後が楽しみな子です。

噛まれてフラフラになったシーンのノブは本当に見ていて辛かった。彼女のちょっと切なげな声が胸に刺さる。でも、なぜかそこに美しさを感じるという不思議な気分でした。散りゆくものの美しさというか・・・。彼女の見た目とか雰囲気とか声とかが重なってそう感じたのだと思いますが、ちょっと鳥肌が立ちましたね。すごいなと。あれは教えてできるものではないです。また演出してみたいなあと思わせる素敵な女優さんです!

 

○紅島弓矢役:星加莉佐さん

実際に今回の舞台をご覧になられた方は絶対に思っているはずです。「紅島、すごかった〜」と。

今後、彼女よりも紅島っぽい紅島が出てくるのだろうか?と思わせるほど圧巻の演技でした。脚本家の麻草さんと演出家の私が思ったんです。間違いない。

紅島といえば「ヤンキー」と思われがちですが、私の中ではヤンキーではないのです。ヤンキーという言葉では片付けたくない。周りからはヤンキーと思われているのですが紅島はただ自分の思うように生きているだけ。少し不器用だから「ヤンキー」に見えてしまう。その人間の本質は危機的状況下で姿を表すと思いますが、まさにその通り。紅島は次第にみんなのリーダーになっていく。力だけではなく根底に流れる優しさを持っているからです。でもそんな一見スーパーウーマンに見える紅島も実はまだ女子高生。やはり未熟な部分、弱い部分も持っていないといけない。だから、紅島は非常に複雑で繊細なキャラクターなのです。

莉佐ちゃんの演じた紅島はその全てを持ち合わせていました。よくもまあ、ここまでこの役をものにしたなあと感心してしまう。あそこまで演じられると「普段も紅島っぽいのかなあ」と思ってしまうかもしれませんが、最初はあの「紅島っぽい感じ」を出すのに少し苦戦してたんですよ。まあ、少しアドバイスしたらあっという間にものにしましたが。レスポンスの早さも一級品。あの演技力・表現力で実はまだ18歳ですからね、彼女は。本当に末恐ろしい女優さんです。この座組で、私の演出意図を一番理解し、それを表現するためにお芝居でもダンスでも歌でも全てを全力でやりきっている姿。本当に素晴らしかった。

稽古場でも彼女の周りに自然と輪ができる。人間的にも「お前は本当に18歳か!」とツッコミたくなるほど笑。彼女は間違いなく今後様々な作品に引っ張られることでしょう。色々な面でまた一緒に作品作りをしたいと思わせてくれる女優さんですから。今後の活躍から目が離せませんよ〜!

 

○辻井水貴役:長妻未玖さん

彼女はグループの活動や学校などもあり、スケジュール的にタイトな部分があったのですが、そんな中でも本当に頑張って水貴という役に命を吹き込んでくれました。水貴も難しい役ですからね。大変だったと思います。劇中で、ある意味一番変わっていく人物。でも変わっていくことを簡単に見せてはいけない人物。その辺りのさじ加減をうまく演じていました。そして水貴といえばあの「自然淘汰」の長ゼリフ。ただでさえ難しい台詞なのに、それによって周りの空気を凍りつかさなければいけません。そして中盤くらいまで周りの空気に流されてはいけない。演技経験が少ないキャストがやるには相当ハードな役です。最初は結構苦戦しておりましたが、諸々アドバイスを与えると次の稽古の時にはできるようになっている。家でも相当努力をしたんだろうなと感心しておりました。今後はお芝居を積極的にやっていきたいと言っていたので、本当にそうしてほしい。彼女も、見た目が抜群にお芝居に向いていると思います。未玖ちゃんの見た目は、色々な役ができる見た目と言いますか、沢山の可能性を感じさせます。目の色というか表情が奥深いんですよね〜。

彼女はまだ発声に課題があります。オン声(しっかり声を発する時)とオフ声(少し抜いて話す時)の差を少し感じます。もう少し時間があればその辺りもアドバイスしてあげたかったのですが、一挙になんでも身につけさせるのは逆に良くなかったりするので、今回は気持ちを表現すること・相手にしっかりセリフを投げかけることに力点を置いて演出しました。まあ、発声に関してはボイトレや経験を重ねていけば解消されることなので未玖ちゃんなら早々にクリアしていくでしょう。

未玖ちゃんも昨年のクオンタムドールズで拝見しているのですが、表現力が格段に上がったなと思います。2回目でここまで上がるのですから、次回舞台に立つときはもっと化けることでしょう。彼女も本当に今後が楽しみな子です!

 

 

ううう、いかんなあ。どうしても長くなってしまう。

もうちょっと整理して書こうと毎回思うのですが、語り出すと長くなってしまう。まあ、焦らずゆっくり書き上げます。

というわけで今回はこの辺で!