それでは最後の踊りが丘学園振り返りブログです。

今回はダブルキャストの星組さんについて。

 

【星組】

○巧美役:ROSEさん

彼女も初舞台組。しかし、ローちゃんもとてつもないダンス力の持ち主だったので今回の作品での舞台デビューはとても良かったのではないかと。不思議なものでやはり振りが入る前と入った後とではお芝居をしている時のイキイキさがガラリと変わりましたね。巧美は脚本上、ソロダンスが入っていたのでダンス経験の豊富なMisakiちゃんとROSEちゃんを配役したのですがやはり大正解でしたね。元々は二人とも同じ振りが付いていたのですが、私が見た感じで二人のダンスの質が違った。なので自分たちでアレンジしていいよと話し、ローちゃんはちょっとセクシー系にしてもらいましたが、自分の特徴を遺憾なく発揮したダンスを披露してくれました。初舞台とは思わせないくらい声もしっかり出ていたしお芝居の方も頑張っていました。まだ、他の人のセリフを聞いている時にどうしたらいいかが難しいようですが、これからどんどんお芝居を続けていけば自然と身についてきます。今回は巧美のクールで実はバスケ部の縁の下の力持ち的な要素をしっかりと表現できていたので大丈夫!昨今の舞台ではダンスができるというのは大きな武器だと思うので、これからの活躍に期待したいです!

 

○蘭子役:永山杏佳さん

きょんちゃんは実に面白い子です笑。まず動きが不思議。とてもぎこちない。あんなにダンスはうまいのに、驚きました。でも何度も動きの練習をしてできるようになり、本番では違和感なく動けてました。後、大阪出身の子で大阪訛りがまだ出てしまう。わかります。私も大阪出身で訛りを直すのには苦労しました。でも、お芝居を続けていくには必ずクリアしないといけない部分。彼女はすごく頑張り屋さんで、お芝居も続けていきたいそうなので打ち上げの時も「頑張ります」と言ってくれました。若いキャストの子がお芝居に燃えていくのを見るのは本当に嬉しい。彼女の良いところは特徴的な声と醸し出す明るい楽しげな雰囲気。彼女がそこにいるとなんとも言えない楽しげな雰囲気になる。これは持って生まれたものでしょうね。私の持論としては、まず自分の特徴が出やすいような役をしっかりできるように経験を積む。その後、自分の持っているものとはかけ離れた役も色々試していくというのが良いと思うんです。観ている人にもわかるような得意な役があるからそれを「裏切る」ということが成立する。きょんちゃんはそう言った意味ではまず「明るい、優しい、楽しげ」な役を自信持ってできるようになるのが良いと思います。次にご一緒するときはスラスラと標準語を話す彼女に期待しています!

 

○百々子役:陽向海真珠さん

まりんちゃんは本当に器用。レスポンスが早い。付けた演出をかなりの早さでものにしてしまう。なので意外とベテランさんなんだと勝手に思っていましたがまだ高校生だったことを稽古終盤で知ってびっくりしました。お芝居も上手だしダンスもできるし、なかなかのハイスペックぶりでした。今後ボイトレとかをしっかりして声の圧が出てくればますます良くなるのではないかと思います。声は出ているのですが少し芯が弱い。でも彼女ならその辺りの課題もクリアしていくことでしょう。実は民本も若い頃は声の芯がなかったんです。声は出ていたのですが芯がない。でも彼女も今や芯のある声をしっかり出せますからね。日々鍛練です。まりんちゃんはセリフのニュアンスや表現力がとても良いと思うので芯が出てくれば鬼に金棒かと。後やはり彼女も実に楽しそうにお芝居をしているのが好印象。今回の座組の特徴かもしれませんが、楽しそうにお芝居をしている人は観ていてこっちも楽しくなりますからね。でも彼女の場合はそこに巧さと自分をどう見せるかがしっかりと盛り込まれている。なかなかに末恐ろしい高校生だと思います。今回の役でいうと梛葱ちゃん的な立ち位置も面白いかもしれませんね。

 

○菜々美役:幸野ゆりあさん

こゆりちゃんは役のこと、お芝居の仕方など色々と考えてやってくれていました。「こういうことをやってみたい」という提案もたくさん出してくれて非常に良かったと思います。役に合わせて声を少し低めにしてみたり、今回の菜々美をやる上で沢山試行錯誤をして臨んでいました。結構演じる上でのこだわりも持っていてそういう部分はお芝居を続けていく上でとても大事なことだと。ただ、そこに柔軟性も出てくるともう一段上の女優さんになれるのではないかと思います。こだわりも持ちながら、良いものはどんどん受け入れていく姿勢を保つことができれば間違いなく飛躍的にお芝居が豊かになって行きますからね。最後の最後、弌伽がマイクを持って各クラブを呼び、みんなが次々に踊ってサイエンス部を倒すシーン。あそこで「弌伽もマイクを持って喋ればいいんじゃないですか?」と提案してくれたのはこゆりちゃん。生声で話すとどうしても後ろで鳴っている音楽を下げないといけない。そうなると少し迫力がなくなってしまう。弌伽の足元にマイクが転がっているのに気づかなかった私に素敵な助け舟を出してくれました。そういう部分に気付けるのも彼女が自分の役だけではなく、舞台全体を通してお芝居を見れている証拠だと思います。そういう視点はこれからの彼女の女優人生をきっと良い方向に導いてくれるものと思います!

 

○月子役:元谷百合奈さん

サニーお姉様であるもこたんの変顔に最後まで食らいついていったゆりなちゃん。彼女もお芝居心満点でした。ていうか、彼女は普通にお芝居が上手です。もっとキーパーソンの役に置きたいくらい。お芝居をしている時の表情や影芝居もとてもいい。なので主線の役に置くと物語が非常に円滑に進むと思います。でも、今回のような遊び要素満載の役もしっかりやれる。良い女優さんです。彼女の良いところは「ガハハハハ〜!」と笑えそうな雰囲気。豪快な女性の役ができそうですよね。でもお顔が綺麗だから多分下品にならない。そういう部分は色んな作品で必ず重宝されると思います。まあ、これも私の持論なのですが、女優さんたるものどんなに下品でゲスな役でも観ている人に心の底から嫌悪感や不快感を与えてはならない。まあ、観ている時は眉をひそめられるかもしれませんが、根本の部分ではあるラインを超えないほうが良いと思うのです。なのでベースにある人間としての気品さが失われてはいけません。彼女はそのラインをうまく渡れる女優さんなんだと思います。今の若さだとヤンキーとかそのラインしかないかもしれませんが、もう少し歳を重ねると彼女は絶対に面白い存在になりますよ〜。もちろん、今からそのラインを意識する必要はありませんが、とても息の長い女優さんになりそうな気がします。楽しみですね。

 

○クリスティーン役:中神明日香さん

彼女も初舞台組。普段は声の仕事がメインとのことで人前に出るのはかなりの緊張があったみたいです。クリスティーン、ハマってました笑。月組のちーちゃんとはちょっとキャラも違って、ロートーンなボイスで厨二病のセリフをまくしたてていましたね。私的には明日香ちゃんクリスティーンの方が少し重度の厨二病笑。今回、お客様の感想でも「アニメ部が好き」というご意見が多かったのですが、月組星組共に本当に個性豊かに濃く演じてくれた証だと思います。まあ、部長のもこたんが濃さ満点でしたからね。それが他の部員にもうまく影響を与えられた賜物でしょう。アニメ部3人の寸劇シーン。普段はロートーンボイスの明日香ちゃんが普通のトーンで「いえ、ベースです」「いえ、三味線です」というとこの切り替えが非常に良かったですね。ああいう振り幅というのは役を厚くしてくれます。そのキャラのオンとオフが見えるといいますか。クリスティーンは家では普通で、なんだったら結構お母さんの家事も手伝ったりしてるんじゃないかと妄想してしまいました。やはり色々なトーンの声を出せるというのは声の仕事に関わらず舞台などのお芝居でも本当に武器になるなあと思います。これからも色々な分野でその声の表現力を生かして活躍してほしい!

 

○葉子役:最上みゆうさん

とにかく小さい!でもものすごく圧の強いツンデレ。そのギャップがたまらなく面白かった。葉子が必死に守ろうとしていた原子の方が大きいですから。OPダンスもニコニコ踊っていたし、自然と目が行ってしまします。みゆうちゃんはとにかくセリフの勢いが非常に良かった。途中のサイエンス部に追い詰められるシーン。本番に入って追加した「自分でなんとかしろ!」のセリフの迫力は本当に素晴らしかった。声だけではなく表情も非常に圧が強くて本当にナイスツンデレでした。あの目ん玉をひんむいたような表情。普段は声のお仕事がメインだそうですが、あの表情をお見せできないのは勿体無い。是非、舞台とかも続けてほしいですね。彼女は普段、とても折り目正しい。こっちが恐縮してしまうくらいしっかり挨拶をしてくれる。でも、そういうのって非常に大事だと思うんです。もちろん、それだけでキャスティングするとかはないと思いますが、なんらかの形で印象を残すというのは良いことだと思います。同じくらいの実力の子達から誰を選ぶかとなったら、お芝居以外の何か印象に残った部分が最終的な判断基準になることもありますから。みゆうちゃんは話しかけると返しもなんだか面白いし、役だけではなく「最上みゆう」という存在としても非常に印象に残っています。またどこかでご一緒できると嬉しいな〜。

 

○原子役:相馬ふうなちゃん

末恐ろしい中学1年生の登場です。度胸満点だし、とにかく演出に対するレスポンスが早い!原子に「とにかくゆっくり話す子」とキャラ付けをしたのですが、実は非常に難しいし度胸がいるのです、ゆっくり話すって。多分やっていて不安になる。しかし彼女はビクともせずすぐにやってのける。なので「なぜか途中で止まる」という演出を追加。やはりレスポンスが早い子はこっちも演出をしていて他にももっと色々やらせてみたくなるんです。ついに千秋楽には「故障してしまう」という自分でも謎の演出に発展しました。そして彼女はレスポンスが早いだけではなく「どうすれば面白いのか?どれくらいの間が面白いのか?」ということをわかっている。なので「なぜか途中で止まる」ところから再び動き出すまでの間を本番中その日その日のお客様の反応で微妙に変えていました。もう唸るしかないですね。本当に末恐ろしい中学1年生です。本人は無意識にやっていたのかもしれませんが、もしそうなら本能的に肌感覚で何かを感じているんだと思います。いぜれにせよ、末恐ろしいに変わりはありません。お芝居も上手だし、ダンスも上手ですしね。本当に色々な可能性を持った子だと思います。相棒の守山脚本に出てきそうな女の子だし、是非アリスインさんで私・守山ペアがやるときにも出演してほしいですね。

 

○ひかり役:勝田麗美さん

れいみんもお久しぶり組。しばらく芸能活動から離れていたのですが、今回の舞台で復活。そんなれいみんを演出できて良かった。でも、稽古当初から以前ご一緒した時のれいみんより、何か吹っ切れているような感じがしてとても好印象でした。なのでかつてのれいみんには付けなかったであろう「とにかく横っ腹が痛くなっちゃう子」という謎のキャラ付けをしてみました。最初は少し恥ずかしそうに(多分、何が面白いかがわからなかったのかもしれませんが笑)していましたが、すぐにしっかりとやれるようになり、そういうレスポンスのスピードもとても早くなったなあと感心しておりました。本番中に「横っ腹痛え」がウケた時に「ウケて良かったね」と話しかけたら癒し系の笑顔でニッコリしてくれました。本当にミス癒し系。次の3月公演にも立て続けに出演しますし、今は向上心もすごく上がっていていい状態なのかもしれませんね。3月公演も何か印象に残るところを出してほしいです。お芝居を沢山やっていけばそのうち余裕も出てくると思いますし、そうなってくると今度は「自分がどう演じたいか」という壁にぶつかるはず。是非、そういうところまで行ってほしい。そしてそこで沢山悩んでそれも乗り越えた時に本当の意味での演じることの楽しさがわかって、加速度的にお芝居が好きになります。復活したれいみんに期待してます!

 

○こだま役:山田香織さん

だーやまもお久しぶりの舞台だったようで、最初はセリフの言い方など苦労しておりましたが、本番ではしっかりと演じられていたと思います。こだまちゃんが沢山喋るシーンは稽古場でも沢山練習しました。セリフの立て方や間の取り方などなかなかに細かく演出をしたのですが、頑張って習得してくれました。ああやって一人でどんどん喋るシーンって結構難しいんですよね。今回の稽古でセリフ癖とか色々綺麗になったと思うので、是非次の舞台に早めに挑戦してほしいですね。積み重ね積み重ね、一個一個の課題のクリアの連続で芝居は良くなって行きます。本番を通してだけでもどんどん良くなって行ったので、やはり回を重ねることは大切です。今回のようなセミロングラン公演はアリスインさんのようにキャリアのまだ少ない子が沢山出演する舞台には本当に向いているのだと思います。だーやまを始め、今回の座組も本番を通じて良くなっていく子が沢山いました。普段の公演期間だと「何かを掴んだ」頃に終わってしまいますから。こだまちゃんのいたずらっぽい笑顔や飄々とした感じも後半は非常に良くできていたと思うので、この勢いを是非次の作品でも活かしてほしいですね。また次にご一緒する機会ではさらに成長した姿を楽しみにしてます!

 

長くなりましたが、今回のブログで振り返りは終了となります。

沢山褒めましたが、もちろん彼女たちにはまだまだ様々な課題があると思います。褒められることで「満足、嬉しい!」で終わることなく、自身の良いところ評価されたところと向き合いそれを今後のストロングポイントの一つにしてほしいです。女優として戦える武器が沢山ある方が良いに決まってますから。

アリスインさんのように若い子が沢山いるような現場では作品を完成させることはもちろん、なるべくみんなの良いところを一つでも多く見つけることが大切なミッションだと思っています。そして「お芝居って楽しい!」と思ってもらえること。彼女たちの未来は演劇界の未来にも大きな力を与えてくれるはずです。より多くの子達とまた一緒に作品作りができることを願って止みません。

改めまして、『DANCE!DANCE!DANCE! 踊りが丘学園』を最後まで応援してくださったお客様、本当にありがとうございました!