すいません、ちょっとバタバタしてまして更新が遅くなりました。

では、振り返りブログの続きです。

今回はキャストを振り返る「シングルキャスト」編です。今回ダブルも合わせると36人もいるので、書きたいこと全部書くと恐ろしく長くなってしまうので、ポイントだけをピックアップさせていただきます。でも、長いですよ〜笑。

 

まずはキャスト陣の総評。

今回は私が今までアリスインさんで演出した中でも初舞台や舞台経験が少ない子の割合が多かった座組でした。でも賑やかさは間違いなくNo.1でしたね。人数が多かったというのもありますが、やはり元気な子たちが多かったように思います。踊りが丘学園のあのワチャワチャした感じは、演出的に意図した部分ではありますが、今回のメンバーだったからこそよりその感じが出たのだと思います。最近のアリスインさんではあまりなかったフリーダムな作品の雰囲気は彼女たちのそういった特性がよく出ていた証だと思います。今回のお客様の評判が概ね良好だったのはそういった最近にはない雰囲気が新鮮な感じで好感が得られたのかなと勝手に思っております。それでは各キャストたちについてです。

 

○弌伽役:加藤智子さん

なんと今回が初主演・初座長だったもこちゃん。相当なプレッシャーを感じていたのだと思います。特にこれだけの大所帯。忙しいスケジュールの中で自分の芝居だけではなく座組のことも考えないといけない。そんな中でも、今回の座組の雰囲気なども考慮して、だた楽しいだけではなく時にはしっかりと言うべきことはみんなに伝えることを実行してくれました。女の子だけの座組は、演出家の一声だけではなかなかまとまらないものなんです。もこちゃんが私の至らない部分を座長としてしっかりやってくれました。非常に助かりました。

役的にもなかなか難しい役だったと思うんです。ドジでのろまなおっかなびっくりのキャラなのにバシバシ突っ込まないといけない(物語上、弌伽は踊りが丘学園のアウトサイダー的な立ち位置ですから、必然的にそうなりますね)。そしてツッコミ役の難しいところは、役的に場の修正的な役割なのでセリフなどなるべくミスをしないほうが好ましいところ。その点、もこちゃんは本番でほとんどミスもなくしっかりとツッコミの主演として振舞ってくれました。今回の作品がハチャメチャだったにもかかわらずギリギリのバランスを保てたのはもこちゃんがしっかりと主線を紡いでくれたからだと思います。

みんなのことをお客様にももっと知ってもらうためにカーテンコールの進行ももこちゃんが主導で考えてくれました。千秋楽のお客様のスタンディングを見て全てが報われたというもこちゃんのなんとも言えない爽快な表情は今でも目に焼き付いてます。本当にお疲れ様でした!そして色々座組のことも考えてくれて感謝です!

 

○八千代役:山田澪花さん

今回が初舞台だったという澪花ちゃん。いやはや、そうとは全く思えない堂々たる生徒会長でした。というか、初日あたりはさすがに緊張した演技をしていましたが、中日以降くらいから吹っ切れたように別人の演技をしていました。彼女は日替わり部分も積極的に自分で考えてくれて、思う存分初舞台を楽しんでいる感じが非常に良かった。ここまで本番中にメキメキ良くなって行ったキャストは初めてかもしれません。とても勘が良く頭のいい子なのだと思います。目力も強いし、立ち姿も堂々たるものがあるし、これは良い女優さんが出てきましたよ!っと思っていたら彼女は今後は芸能ではなく別の道を進むようですね…、もったいない。まあ、演劇人としては是非芝居を続けて欲しいところですが、彼女ならどんな道に行っても素晴らしい実績を残すことでしょう。

稽古当初、あの「エライコッチャ!」のシーンを演出した時、ものすごく恥ずかしそうにやっていたのがすでに懐かしくもあります。本当に驚異の成長力!

彼女の最初で最後かもしれない舞台に演出として関われて良かった!お疲れ様でした!

 

○参子役:秋山ゆずきさん

もう、この作品は彼女なしでは成立しなかったのではと思うくらいの重要度だったゆずゆず。前の舞台の本番があったため合流が2週間くらい遅かったのですが、それまでは「う〜ん、ちょっとふざけ過ぎかなあ。楽しく作ったものの着地点がわからなくなってきたぞ…」と思ったりもしていました。しかし、彼女が合流してすぐにパーンと参子をやってくれたおかげで「よしイケる!」と思ったものです。特にラストの恨みを語るシーンはすごいの一言。あの流れからよくあそこまで持って行ってくれたなあと感心してしまいました。脚本にはあの流れが書かれているのですが、演出でかなりコメディー要素を膨らませたので、あそこで脚本の流れに軌道修正できてしまう彼女の芝居の説得力。あの演技を稽古場で見て「これで心置きなく笑いをぶち込める」と胸を撫で下ろしたものです。とんでもない感情の瞬発力だと思います。

ゆずゆずと前にご一緒したのは2年半前の『おうちに帰るまでが遠足です』だったのですが、あの当時から非常にお芝居のセンスのある子でした。でも当時は「お芝居が上手いアイドルさん」というイメージだったのが、今回で完全に「素晴らしい若手女優」というものに変わりました。稽古や本番に挑む姿勢も素晴らしいものがありましたし、若い子たちにもニコニコ優しく時にしっかりとアドバイスもしてくれて、本当にゆずゆずがいてくれて良かったと思っています。さあ、今度はうちの劇団ボブジャックシアターに出演しようじゃないか!お待ちしております笑。マジで。

 

○サニー役:水月桃子さん

いや〜、今回のもこたん、弾けてましたね〜笑。というのも一年前の同じく私が演出したアリスインさんの舞台『陰陽よろず屋開業中!』では白姫という間抜けだけどちょっとミステリアスなストーリーのメインどころの役をやってもらったのですが、その時とは別人の芝居をしてましたね、今回は。その当時から色々な遊び心のある芝居をしていたのですが、まだそれをうまくやれていない印象(つまりやりたいことと自身の表現力の乖離)でした。でも今回は本当に良い意味で好き勝手やってましたね。稽古中からそれはものすごく感じていて、よろず屋の頃は稽古で何度か演出してもなかなかうまくできないということがあったのですが、今回は演出へのレスポンスも非常に早くなっていました。この一年での成長のすごさにびっくりでした。成長というか、元々持っていたポテンシャルを解放したという方が正しいのかもしれません。サニーがお金を餌にサイエンス部から逃げるシーンは、そんなもこたんの活躍の場を少しでも多くしたくて追加したシーンです。鉄板ポイントになって良かった。あと、皆さんの感想にもよくあった「顔芸」は見事でしたね笑。でも今回のもこたんで一番印象に残っているのは、稽古の初めの頃、アニメ部の部員たちにそれぞれの持つステッキを渡した時の「え?私、ただの棒ですか?」と言った彼女の切ない顔。他の二人が持つ可愛らしいステッキを羨ましそうに見ていたあの顔。私のもこたん史上、一番女の子な表情だったかもしれません笑。民本と双璧をなした爆笑王!次のイマジカルマテリアルでもまた新しい彼女の演技に期待しています!

 

○周子役:田沢涼夏さん

途中で彼女が初舞台であることを忘れてしまうほどの堂々とした舞台での振る舞いっぷりでした。舞台上で頑張って動きすぎて後半は少し足を痛めたようですが、テーピングをして最後までそんなそぶりを見せずやっておりました。若くしてこのプロ根性、素晴らしいと思います。いつもニコニコしていてムードメーカー的な役割を果たしていたように思いますし、普段はアイドル活動を中心にやっているようですがお芝居の舞台なども非常に合っているのではないかと思える逸材です。演技でもなんでもそうですが、やはり初めてやるものには「恐怖心」というものがあるはずなんですが、とにかく彼女にはそう言ったことを全く感じなかった。本人は稽古でも緊張していたと言っていましたが、こちらからは伸び伸びと初めてやるお芝居というものを楽しんでいるように見えました。初舞台なのに彼女には演技的なことはあまりいう必要がありませんでしたね。本番途中ぐらいに「私も何か新しいネタがしたいです」と相談してくる肝の座りっぷり。一つ提供したのですが、さっとやってのけてしまうレスポンスの良さ。すーちゃん、あなた本当に初舞台だったの笑?

こういう子は2回目の舞台でさらに色々な引き出しを開けていくタイプだと思います。大変かもしれないけど是非お芝居を続けて欲しいですね。是非また演出してみたいと思ったキャスト陣の一人です!

 

○十和子役:花梨ちゃん

どうですか?今回の花梨ちゃんには驚いたお客様も多いはずです。あんなに喋る花梨ちゃんを見たのは私も初めてです笑。脚本を読んだ時、私の中では一択で花梨ちゃんは十和子でした。何度もご一緒してるのですが、その度に花梨ちゃんには少しずつ課題を与えてきました。今回も見事に乗り越えてくれましたね。高いテンションでセリフを言い続けるって非常に大変な作業なんですが、セリフも稽古の早い段階で脚本を離していましたし、ここ近年の花梨ちゃんは意識が非常に高い!稽古で彼女にあまりかける時間が取れそうになかったので、こんな感じで読んでみたら?という台詞回しを私が録音して渡したのですが、空いた時間に一人で黙々とその音声に耳を傾けて練習していた姿が目に焼き付いています。ただ私の読み方をコピーするだけではなく花梨ちゃんなりのアレンジも加えたりしていて感心しました。そろそろ、アリスインさんだけではなく外部の「大人達」がいるような舞台に出演しても堂々と渡り合えるところまで来ているのではないでしょうか?カーテンコールなどではあんなにおちゃらけていますが、本当は芝居もダンスも歌も全力で練習する頑張り屋さんなんですよ、なんて言ったら本人に「そういうこと言うのやめてください」と言われそうですが笑、本当にそうなんだから仕方がない。やはり花梨ちゃんは私の大好物な女優さんです!次はボブジャックで…。

 

○和子役:矢野冬子さん

プロフィールを見た時から「はい、バスケ部の部長」と即決したお人。背が高いと言うのは私ではどうすることもできない才能です。スラムダンクの魚住に田岡監督が言ったのと同じです。彼女がいることによるバスケ部の説得力。今回のバスケ部はダンスの猛者どもが集まっており、冬子ちゃんは相当なプレッシャーを感じていたようですが、なかなかどうして!大きな体をダイナミックに使ったダンスは部長の風格も出ていて良かったと思います。プロローグで国子役の青柳伽奈ちゃんとバチバチとしたライバル関係を見せてくれ、この踊りが丘学園の「ダンスバトル」という雰囲気をしっかりと出してくれた功労者の一人です。運動部の部長という強さと同時に、途中のテニス部と和解しようとするシーンでは小さな部員達に背中を押されながらも素直になれずモジモジしている可愛らしい一面も見せてくれ、和子というキャラクターに厚みを持たせてくれました。普段は非常にざっくばらんな感じの性格で、稽古場でもいち早く周りの子達と積極的に馴染んでくれてましたね。バスケ部は部長を中心によくまとまっていたと思います。この作品のパワフルで元気な部分を担ってくれていたバスケ部。部長である冬子ちゃんの果たした役割は非常に大きかったと思います!彼女が部長で本当に良かった!

 

○千佳役:星優姫さん

「私、普段はおバカなんです〜」と柔和な笑顔で話していた優姫ちゃん。舞台では知的な生徒会の一人にしっかり見えてましたよ。脚本上はあくまで会長のサポートに徹していた千佳でしたが、彼女にも何か挑戦して欲しいと思ったので、あのズキューンの一人芝居シーンを追加しました。あのシーン、何気にセリフのタイミングとか細かく演出を付けたのですが、なかなか稽古場でやる時間を取れなかった。しかし、相当自主練をしてくれたみたいで、久しぶりに稽古場でやってもらった時にはものすごくクオリティが上がっていて「あんなにふんわりとした雰囲気の見た目とは違って、内に秘めた闘志を持っている子なんだ」と驚かされました。クライマックスの方のシーンでもしっかりと迫力と緊迫感を出して演技してくれていましたし、とても芝居感の良い子なんだと思います。彼女はなんだか底が見えないんですよね。常にニコニコと淡々としていて。本人も気づいていないかもしれませんが、色々な役ができる子なんだと思います。もっともっと色々な引き出しを開けてみたい!そう思わせる優姫ちゃんでした。声も特徴的で強いですし、絶対に伸びるお人だと思います!

 

○国子役:青柳伽奈さん

伽奈ちゃんは一番合流が遅かったのですが、そんなことを全く感じさせない。役の雰囲気をすっと出せる女優さん。レスポンスも早く、合流初日でほぼ段取りを掴みきってくれました。芝居だけではなく、ダンスも躍動感があってキレキレでしたね。たくさんの才能を持ち合わせている。普段は「地球よ、滅べ」みたいな顔していることがあるのですが、話しかけるとびっくりするくらいニコニコでそのツンデレ感も面白かった笑。今回は楽しいドタバタ劇という作品でしたが、彼女とは是非もっと深い部分での心情とかを表現する作品でもご一緒してみたいですね。動きも良くダンスもできるので派手なお芝居などにも非常に向いていると思いますが、それとは違うちょっと地味な会話劇とかも絶対に良いと思います。ていうか、ロストマンブルース出てたんですね。いや〜、伽奈ちゃんのそういう作品での演技、是非観てみたかった…。

ハチャメチャなキャラが多いこの作品の中で、あくまで普通の女子高生を演じることに徹してくれた伽奈ちゃん。この作品を締める上で重要な存在でした。と同時に「学校内でのいざこざ」という部分をバスケ部と同時にしっかりと迫力を持って表現してくれたテニス部部長。笑いとか派手な部分に目が行きがちですが、こういうキャラがいてくれるからこそハチャメチャが可能になります。貢献度大!また是非ご一緒したい女優さんです!

 

○秋子役:黒木ひかりさん

この子も初舞台とは思えない堂々とした演技っぷりでした。声もよく出ていたし、なんてったって見た目が抜群でしたね。まさに、美少女という感じ。皆様の感想にもそのようなものが多かったと思うのですが、納得です。普段は声も少し太めで全然そんな感じではないんですが笑。でもそのギャップは今後の彼女の女優人生では必ず良い個性になると思うんです。モデルさんとのことでこれからもお芝居を続けるのかはわかりませんが、是非続けてもらいたい!民本の「なるほどね〜」連発シーンで、一度ひかりちゃんを出したのですが、打ち合わせで「今日、あのシーン出てきて」と伝えた時ノリノリでしたからね。肝っ玉もでかい!秋子は前半にとにかく説明セリフが多いのですが、ものすごく丁寧にはっきりと言ってくれたので、お客様にも「踊りが丘学園」というものをしっかりと把握してもらえたと思います。よく通る声を持っているというのは舞台をやる上では最強の武器だと思います。私的にはもっと経験を積んでいけば、アリスインさんの次世代のエース格になれるのではないかという逸材です。

ひかりちゃん、お芝居続けなさい!!

 

○梛葱役:仲野りおんちゃん

りおんちゃんは、この稽古中にググーンと伸びたキャストの一人ですね。稽古初期と本番とでは別人でした。あと、ものすごく向上心が高い。とても良いことです。もっともっと!と思えない人は伸びませんからね。でも、あまり思いすぎると結果自分の首を絞めることになりますから、程よく調整してあげる必要があります。りおんちゃんはちゃんとできているシーンも「大丈夫ですか?」と聞いてくることがあったので、うまく自信を持たせつつ(だってできてますから)向上心をいい塩梅で刺激してくれる人にこれから巡り合っていければ役者としてもアイドルとしても面白い存在になるのではないかと思います。恐ろしく伸び代を持った子ですから。自分からも「ここ、こんな風にしていいですか?」とたくさん提案してきてくれましたし、やはり、体だけではなく頭も使ってお芝居をしている人は本当にどんどん芝居が良くなって行きます。まだ中学3年生ですから、本当にこれからが楽しみな存在ですね。

実は今回の座組、配役を決める前にみんなにどの役がやってみたいかを聞いたんです。面白い試みだなあと思って。りおんちゃんは…、何を希望したかは秘密ですが、梛葱ではありませんでした。前回の初舞台でどんな役だったか聞いていたのですが、私的には「梛葱みたいな役が絶対に合う」と思っておりました。本人は少しびっくりしていたみたいですが笑。

 

○のぞみ役:原田真帆さん

初舞台、また舞台出演にブランクが多かった鉄道部のメンバーをしっかりと引っ張ってくれた部長。彼女は演技もスパーンとしてましたし、何と言ってもお芝居がパワフルでした。OPが終わってから始まる次のシーン、たくさんの部活が出てくるシーンですね。最初に出てくる真帆ちゃんが元気いっぱいに出てきてくれるおかげで、シーンが繋がって次の展開を期待させてくれる流れができていたと思います。鉄道部のダンス練習でも率先して部員のみんなを引っ張ってくれたし、まさに部長という感じでした。

彼女の良いところはやはり目の大きさ。あれだけ目が大きいと目だけで色々な表現ができる。お芝居をやる上ではものすごく武器になると思います。そして強い声とパワー。持っているスペックが本当に舞台にむいていると思います。鉄道部の他の部員たちが、良い意味でマイペースなお芝居をする子達だったので、パワフルな部長とのバランスがとてもはまっていたと思います。我ながらナイス配役だったかと。真帆ちゃんは青SHUN学園さんのメンバーなんですね。あのパワーも納得。青SHUN学園さんのパフォーマンスは熱いですから!真帆ちゃんが鉄道部部長で本当に良かった!

 

○遼子役:渡辺菜友さん

去年の夏の『アリスインデッドリースクールパラドックス』以来でしたが、びっくりするくらいお芝居が良くなっていました。半年でこんなに成長するものなんですね。若いって素晴らしい。セリフの言い方、発声、立ち姿、動き、目線の送り方、どれをとっても1段階も2段階もレベルアップしていましたね。この半年間でたくさんの舞台に立ってきた菜友ちゃん。やはり演技はやればやるほど良くなっていく。そしてできるだけ間の期間が短い方が良い。長いと一旦リセットされて、取り戻すまでに時間かかりますから。その点、菜友ちゃんは本番終わったら次の稽古というサイクルを繰り返してきたので、そりゃあグーーンと伸びますよね。学校にも行きながらこのペースで舞台に立つのは本当に大変だと思います。疲れも当然あるでしょう。でも彼女のまた素晴らしいところは、そんな素振りを稽古では一切見せないところ。それどころか、稽古終わってからさらに自主練とか頑張っていたみたいですから。これからもどんどん良くなっていくのは間違いないですね。でも、本当に無理だけはしないでほしい。おそらく彼女も今後のアリスインさんのエース格に成長するであろう女優の一人。焦ることなくしっかりと育ってほしいものです。主演になるのだってそう遠くない未来だと思いますよ。

 

○千里役:渡壁りささん

彼女は私の劇団ボブジャックシアターの女優なんで、そんなに褒めません笑。でも今回は私の無茶振りによく答えてくれました。多分、1年前ぐらいの彼女はここまでできなかったんじゃないかな。着実に成長してくれています。この作品の前の舞台、とあるシーンで稽古中にダメ出ししまくりましたが、最終的には私の想像を超える演技を見せてくれました。壁ちゃんのここ最近の打てば響く感がとても嬉しいですね。あと壁ちゃんに足りないのは提案力と自己演出力。ここができるようになれば女優としてもっと先に行けると思います。今後はその辺りを厳しくやっていくぜ、壁ちゃん。あと、滑舌もしっかり訓練しようね。

 

○ラフレシア役:民本しょうこさん

今回は女優枠ではなく芸人枠で参加してくれた民しょう。毎日の日替わりネタの打ち合わせは、ほとんど芸人のネタ合わせみたいになってました笑。彼女のすごさを今更語っても仕方ないので、制作秘話を。

まず、「なるほどねシーン」。ここは元々脚本上はラフレシアも登場しませんし、ただの暗転でした。民しょうから「前半出番があまりないのでどっかでこっそり見てるとか出てきていいですか?」と提案されましたが、私も元々もう少し前半で笑いのシーンが欲しいなと思っていたのでお互いの思惑が一致しました。最初は「とりあえず出てきて、なるほどねを言い続けて」というぐらいのノリで追加したシーンでした。実は、民しょうの日替わりシーンは別のところでやる予定だったんです(さて、どこでしょう?)。しかし諸々事情があって、考えていたシーンで日替わりをすることを断念。そこで急遽、本番が始まってからあの「なるほどね」シーンを日替わりにすることにしたんです。いつの間にか名物シーンになっていましたが、ノリ的にはそんなものです笑。

あと、最後の各部活が次々に出てきてちょっとずつ踊るシーン。あそこも民しょうから「私、ダンスクイーンなのに全然踊ってないんで、あそこで踊ってもいいですか?」と提案されました。そこで「いや、ついに登場してあえて踊らない方が面白くない?」という話で盛り上がり、あのいきなりダメージシーンが出来上がりました。彼女とも長いですからね。もう阿吽の呼吸です笑。

 

○黎伽役:未来みきさん

今回の作品のゲスト枠。ゲスト、つまりものすごく稽古回数が少なかったんです。その割に色々演技の仕方についてたくさん言いましたが、少ないながらも家でしっかり自主練をしてきてくれたのでしょう。稽古に来るたびにどんどん良くなって行きました。本当はがっつり出演でもっといっぱい彼女には演出をつけたかったなあ。それほど魅力的な存在だと思うんです。まず、見た目が抜群に良い。未来ちゃんは、ものすごく良い意味で色がない、いわゆる役者としての透明感があると私は思うんです。つまりは主演向き。主演は、あーだこーだあって変わる、結局変わらないのどちらかのパターンなのですが、色がないのでその変化や流れが良く引き立つ。私の大好きな浅野忠信さん、若い頃は「日本映画の主演といえば浅野忠信」と言われていたくらい主演をやっていましたが、当時の浅野さんの一番の魅力は色のなさ、透明感だったと思うんです。そこにミステリアスも持ち合わせていましたが。彼女がミステリアスかはわかりませんが笑、未来ちゃんにも同じような透明感を感じます。本人は面白いことやるのが好きみたいで、色々変なネタを披露しておりましたが、私は彼女の色のなさ・透明感に魅力を感じます。声もいい声してますしね。アリスインさん、彼女を近々主演で使うべきですよ!

 

ふ〜、やはり書き出すと長くなってしまいますね。

とりあえず今回はこの辺りで!次回はダブルキャスト編です!!