2月24日から28日まで築地のブティストホールで開催されたアリスインプロジェクト&ボブジャックシアターコラボ公演『陰陽よろず屋開業中!』が無事に全公演終了致しました。連日沢山のお客様にご来場頂きまして本当にありがとうございました!舞台はお客様あってのもの。毎回客席から聞こえて来る笑い声や鼻をすする音に嬉しさがこみ上げジーンとしました。彼女たちとの約一ヶ月ちょいの期間が報われたと思える瞬間です。

さてさて、恒例の演出ノート的な意味合いを込めて、今回の公演を振り返りたいと思います。
今回で6回目のアリスインさん。「6回もやればもう手慣れたものでしょう」というお声が聞こえてきそうですが、そんなこと全くありません笑。女の子だけ、様々なキャリアの子たち(ゆえに舞台に臨むモチベーションの相違)など、それぞれの座組には様々な特徴や個性があり、またその座組が抱える問題も様々です。本当に毎回新鮮な気持ちで臨めます。
作品を完成させるという目標に向かって進んでいく訳ですが、アリスインさんでやる時には他の目標も達成する心づもりで臨んでいます。『すべての出演者が輝くこと』そして『芝居経験が少ない子たちにまた舞台やりたい!と思ってもらえること』この点も作品の完成と同じくらい大切な目標です。2個目の目標は演劇人として果たさなければならないことですね。そう思ってくれる子たちが増えることは必ず演劇界の発展につながるものだと思っておりますので。今回の公演でも概ね目標は達成できたのではないかと胸を撫で下ろしているところであります。

少し余談を。今回の作品『陰陽よろず屋開業中!』、実は昨年上演させて頂いた『ラストホリデイ2015』の企画段階で陰陽よろず屋も話に上がっていました。その段階ではまだ「女子高生の陰陽ものをやってみたいよね」程度でしたが。まあ色々ありまして最終的には『ラストホリデイ2015』を上演したわけです。そのラストホリデイの主演は今回の主演だった橋本瑠果ちゃん。いずれにせよ、彼女は陰陽よろず屋の主演をやる運命だったんですね~。なんかおもしろい。

さて、今回の作品というかいつも私と守山が作品を作るときのテーマなんですが、お客様が「面白可笑しく観ていたらいつの間にかとんでもない事件に巻き込まれる」というものを心掛けております。今回の作品もまさにそこを狙って作っていきました。私は毎回その目標をキャストの子たちに伝えるようにしています。そのためにどういう風にしていくか?なども合わせて伝えます。その中に「自分たちの役の影芝居やそれぞれのキャラに追加したいネタなどを考える」というものがあります。私の考えとして脚本に書かれた通りのことをやっているだけではそのキャラは豊かにならない(もちろん役の性質にもよりますが)というものがあり、またそういったことを考えることで積極的にお芝居というものに向き合うことになります。最初のうちは当然どうしたらいいのかわからないという子たちが多かったのですが、少しヒントを与えていくと…みなさん積極的に色々出してくれること出してくれること!今回の座組の特徴ですね。それぞれのチーム(役のチーム。蘆屋家とか学生チームとか)で色々話し合ってくれたり本当に楽しそうに積極的に取り組んでくれました。今回のキャストの子たちは本当に積極的な子が多かった。稽古場で「おいおいやりすぎだぜ笑!」となることが多かった。これは本当に素晴らしいことだと思います。その姿勢のお陰で私もたくさんいい影響をもらいました。みんなでアイデアを出し合ってまとめていく。この素晴らしくクリエイティブな作業を今回の座組は行うことができました。私もすっごく楽しかったです!
ぶっちゃけ、稽古当初はそのような積極的な座組になるなんて思いもよりませんでした。この短い間に皆の芝居やその姿勢がどんどん変わっていくことを実感できた素晴らしい座組だったと思います。

天真爛漫な橋本瑠果ちゃんとしっかり者の若林倫香ちゃんというバランス抜群な主演コンビを松原夏海ちゃん、栗生みなちゃん、民本しょうこという実力派の女優陣が屋台骨を支え、全出演陣が縦横無尽に暴れまくる。そんな素晴らしいチームワークがこの作品を素敵なものにしてくれた最大の要因です。本当にみんなには感謝しかありません。色々と大変なこともありましたが笑、みんなとだから乗り越えられた。このチームで作品作りができたこと、本当に嬉しく思います。そして、そんな皆にパワーを与えてくださったお客様。本番が始まってみんながどんどん良くなっていったのは間違いなくお客様のお陰です。本当にありがとうございました!

次回からはそれぞれのキャストさん達について書きたいと思います。