8月12日から23日まで池袋シアターKASSAIで上演された『アリスインデッドリースクール ビヨンド』の公演が無事に終了しました。ご来場頂いたお客様、ご声援頂いた皆様、本当にありがとうございました。

アリスインプロジェクトさんの旗揚げ公演作品であり、多くのファンの方がいる作品でしたので最初はプレッシャーしかなかったです…笑 でもキャスト・スタッフが一丸となりなんとか乗り越えることができました。
ではでは演出ノート的な意味合いも込めて公演のお話をしたいと思います。

まずこのお話を最初に頂いた時に考えたことは「今までの公演とどう変えていくか?」がテーマでした。参考資料はオルタナティブの台本。私が演出プランを考える時にまず、台本をさっと読んで感じたファーストインプレションを大切にします。この台本をどういうテイストの作品にするのかを初見の印象で決める。あとは台本を読み込み、細かいプランや舞台上の流れを決めていく…というものなのですが、今回はそうではなく「どう変えるか?」と考えました。全部観てしまうと影響を受けすぎてしまうと思い、オルタナティブの参考映像を断片的に鑑賞。しかし、早速行き詰まる。まあ、今までそんな風に演出プランを考えたことないですからね。そこですぐに割り切って、いつも通り自分のやりたいようにやろう、キャストも変わってるし、台本も改訂版になる予定だし、自ずと違う作品になるさと。
僕がファーストインプレッションでやりたいと思ったことは以下の通り。
・物語の状況はSFチックだが等身大の女の子達の生っぽい感情のぶつかり合いにしたい
・極限状態での「笑い」が根底のテーマにあるので笑いを取りたい
・女の子だけでやる意義、女の子だけでやるからこその切なさや愛らしさを出したい

これで演出プランの根底を作っていこうとなりました。さて、あとは改訂版の台本が上がって来るのを待つのみ…、ところが改訂版が上がって来て少しビックリ。「あれ、基本的なお話の流れは一緒だが結構変わってるぞ」。そうなんです。上記のファーストインプレッションはオルタナティブの台本から得たもの。ここで演出プランのアップデートが必要になりました。私が注目した台本上の大きな変更点は「高森と紅島のエピソードがより強烈なものになった(高森と紅島の関係性の変化)」「多世界、ループという世界観がより踏み込まれている」この二点。
「高森と紅島」のエピソード追加により「これは群像劇にした方がいい」、多世界・ループの踏み込みに関しては「ヒカミのセリフを説明台詞にしない。感情的な台詞と捉える」というアップデートを行いました。なぜそう思ったのかは、まあ理由があるのですが長くなるので割愛します。すいません。作品世界を構築していく上での基本的な方針は決まりました。さて次はキャスティングです。

アリスインさんの場合、演出サイドである程度キャスティングをすることができます。これは非常にありがたい。誰が出演するかはもちろん決まってますが、その中で誰をどの役にするかはこちらで決めさせてもらえる(まあ、大人の事情などでその通り行けない場合もありますがそれは仕方なし)。しかも今回はアリスさん側から「作品の質にこだわって作ってもらいたい」と言われていたのでかなり思い通りのキャスティングをさせてもらえました。ここからは裏話的になりますが…
・栞菜ちゃんがノブ、さきっちょがユウの予定だった(これはもう有名な話ですかね?)
・紅島候補は愛ちゃんだった
・世蓮ちゃんはイナリ・生徒会長候補だった
・ちーちゃんとまあこでキリコ、ミズキをどちらにするか迷った
・静香と塔蘭の配役は元々は逆だった

その他にも色々あったのですが、みんなに面接をさせてもらったり、役のバランスなども考え、最終的に実際の配役に決定をしました。特にノブ・ユウの配役は最後まで迷いました。元々の2人の関係性を聞いていたので普段の2人の関係性のまま行った方がいいのか…。栞菜ちゃんは今まで何度も一緒にやってるのでわかっていたのですが、さきっちょは舞台上でしか見たことがなかった。だからこそこの配役で行けたのだと思います。普段の2人を見ていたらやはり当初の予定通りノブ・栞菜、ユウ・船岡でいっていたかもしれません。まあ、もちろんそれでも素晴らしい2人になっていたとは思いますが、私はノブ・船岡、ユウ・栞菜にして大正解だったと思ってます。今回の自分の一番のファインプレーはこの配役にしたことだとさえ思っております。他の配役も完璧にハマったなと自負しております笑

さて、ベースは整いました。後は本番に向けて芝居作りを進めていくだけです!
…が、その後も色々な悩みがあったわけで…、と長くなりましたので次回に続く。