さてさて、ラズベリーボーイシリーズを語る上で外せないのが、舞台上ところ狭しと暴れ回るキャストたちです。皆様の感想にも「◯◯のスピンオフが観たい!」というものをよく目にしますが、それもこれもそれぞれのキャラたちがビッカビカに輝いているからだと思います。ラズボのキャラクターたちに息を吹き込んでくれているのが愛すべきキャストたちです。
とにかく皆、ネタややりたいことの持ち込みが多いこと多いこと。でもこれは演劇と言う空間を作る上でとても大事なことなんだと思います。よく『役作り』と言う言葉を耳にすると思いますが、私にとって「台本をよく読み込み、役の心情や性格を細かく作っていくこと」が本当の意味での役作りではありません。その役をやる上で、「こういうことをしたい」「こういうネタを盛り込みたい」と言うところまでいって本当の役作りなのではないかと思います。役者がどんなに頑張ってもその役の人物本人にはなれません。なので普通に演じていてはその役の人物にはどうしても勝てないのです。役者が役の人物を超えるためには、その役の人物ができないようなことでもやってのける気持ちが必要なんだと思います。そのための持ち込み。私はこれを「ポシティブな役作り」と考えています。
誤解を恐れずに言えば、「その人物がその物語の中で果たさないといけない役割を果たしてしまえば、あとは何をやってもいい」のではないでしょうか?その方が物語は豊かになる。そして、ラズベリーボーイの稽古場ではそのような雰囲気が満ち満ちています。そういう話し合いとかもしていないのに自然とそのような環境になっています。なんなんでしょう、あのノリは!素晴らしい!だからこそ、あのようにみんな活き活きと役を楽しんで生きているのではないかと思っています。
さてさて、それでは愛すべきキャストたちについてです。あ、ネタバレが含まれているかもしれませんので、ラズボ2を見ていない人は読まない方がいいかもしれません。あしからず。

◯三宅喜一役:林明寛くん
今回も初演同様、ラズボの魂である三宅喜一を見事に演じきってくれました。いや、演じるとかそんな簡単な言葉ではダメですね。アッキーは喜一そのものです。もちろん、本当のアッキーは喜一とは異なったパーソナルを持った男だと思いますが、そういうことを感じさせない。というか、演じているということを超越している気さえします。アッキーの素晴らしいところは、ほとばしる生命力を役に与えることだと思います。現実世界には存在しない三宅喜一という人物が、目の前に現れるのです。確かな生命の息吹を感じさせてくれる。これは演出でどうこうできるレベルの話ではありません。私も色んなタイプの役者を見て来ていますが、アッキーのようなタイプの役者はあまり会ったことがない。漢字が読めないとか、少し不器用だとか言われていますが、そんなもんアッキーにとっては関係ありません。ていうか、そんなところも三宅喜一なんですw
生き様なんでしょうね。やはり芝居と言うのは「今までの生き様」というのがもの凄く出るものなんです。私の方がだいぶ年上ですが、男としてアッキーはかっこいいと思います。常に一生懸命で全力投球。でもいっぱいいっぱいになるのではなく、キュートな一面も携えている。ホント、魅力溢れる役者さんですよ。またこうしてアッキーと一緒に芝居を作れたことは、私の財産です。これからももっと一緒に芝居を作っていきたいですね。

◯福富好男役:高崎翔太くん
何度も言いますが、アッキーがラズボの魂だとすると、翔太くんはラズボのシンボルです。好男と言う役は、このラズボ2では一番振り幅の大きな役でした。面白いことも悲しいことも感動的なことも色々なことが好男には起きます。喜一が物語の中心にどかっと腰を下ろしている中で、好男はめまぐるしく変わっていく。本当に難しい役だったと思います。翔太くんの泣きの芝居には私も涙腺をやられました。翔太くんの声って、非常に生っぽいんですよね。すごく刺さる。
そして、ラズボのネタ作りでいつも中心にいたのが翔太くんでした。この人のアドリブセンスはハンパないです。しかも、それを役の中でしっかり成立させますからね。ホントすごいと思います。
いい意味で悪ノリをする子なんですが、私はそのノリが大好きなんです。「攻めてこそのラズベリーボーイ」という合い言葉をもっとも体現してくれる人。ノリノリで面白いネタをみんなでやってるかと思えば、パチッとスイッチを入れ替えて、感情的なシーンもやり切ってしまう。体の動きも抜群にいいし、何なんでしょう?この男は!また、アッキーとのコンビネーションも抜群なんですよね。もちろん元々仲が良いというのもあるかとは思いますが、呼吸がぴったり。アッキーのネタで一番笑ってるのは翔太くんだと思うし、アッキーも翔太くんが笑ってくれてるのが一番嬉しそうに感じます。まあ、私の独断と偏見かもしれませんが、とにかく素晴らしいコンビだと思います。
高崎翔太なくしてラズボはない!そう言い切ってもいいほど、ラズボには欠かせない存在だと私は思っています。これからもよろしくね。

◯今和泉あゆむ:紅葉美緒くん
言わずと知れたラズボの名レシーバー。この人の軌道修正能力はとんでもないです。本番中も実は何度か誰かのセリフが飛んだことがありましたが、瞬時にその穴を埋めていたのが美緒くんでした。その度に「ナイス!」「紅葉様!」と私はガッツポーズをしていたものです。そして、美緒くんのあゆむは、なんてったって可愛い!癒されます。これもパーソナルですね。普段も美緒くんには癒されてましたから。ラズボと言うハチャメチャな世界で、しっかりと物語の舵取りをしてくれる美緒くん。本当に彼がいてくれて助かりました。野球で言えば、アッキーが4番、翔太くんが1番とすれば、美緒くんは間違いなく2番・セカンドです。いぶし銀。まあ、野球知らない人は何のこっちゃと思うかもしれませんが、ある意味一番大切なポジションを担っているということです。
あゆむは眼鏡を掛けたり外したりでキャラが変わってしまう人物なんですが、今回は細かい演じ分けをしてましたね。稽古中のシーンでは眼鏡を掛けたままカナタをやっていたのですが、少し可愛らしいあゆむを残して、動きも普段のあゆむっぽさを残してやってました。本番のシーンでは眼鏡を外していたのですが、イケメンキャラになってたりとホント繊細な演じ分けをしてるなあと感心して見てました。そしてそして、劇中に出て来た絵は全部美緒くんが本当に描いてくれたものなんです。今回もホント色々と助けてもらいました。美緒くんみたいな人が現場にいてくれるとお芝居も稽古場でも非常に助かります。ありがとうございました!

◯天王寺平太役:磯貝龍虎くん
龍虎 イズ モンスター。モンスター イズ 龍虎。
ホント、この人は化け物です。天才です。もしかしたら、人間じゃないかもしれません。
よく考えてみてください。ラズボ2の最後でペーターは雷が落とせるようになっているんですが、いやいや、オカシイでしょ!あり得ないって!…しかし、それを「ペーターだったらできるかも」と思わせてしまう。これは磯貝ペーターだから受け入れられるんです。やはり、龍虎くんは化け物です。脚本家と脚本の打ち合わせを最初にした時に、私が開口一番「今回はペーターに雷を落とさせたい」と言った時、脚本家からなんのクレームも出ませんでしたから。それほど異次元な男なんだと思います。龍虎くんには「ここで何かやって欲しいな」という演出をしてましたが、これって演出でも何でもありませんね。ただのファンです、私。とにかく龍虎くんが面白をやっているのを見ていたい。そんな心境でした。にしてもペーターは、凄い役です。もちろんそんなすごい役にしたのは龍虎くんですが。とにかくペーターがいるときといないときでは、ラズボは全く別の作品になってしまう。ぶっちゃけ、ペーターって劇中劇以外のシーンでは物語上重要なことは何もしてないんです。なのにあの影響力。凄い男ですよ。って、私は何回凄いって言ってるんでしょうかw
あと、あのペーターボックスの使い方!あれ、本番前に案を話し合ったりするときもありますが、練習は一切してませんからね。ぶっつけ本番。それでいてあのクオリティ!やっぱり化け物です。今度、単独イベントをやるそうなんですが、普通に客として観に行きたいです。LOVE龍虎!

とまあ、今日はこの辺で。