10月8日から13日まで六本木の俳優座劇場で上演させて頂いた『ラズベリーボーイ2』が全公演無事終了しました!いや~、楽しかった!
本当に連日満員でお客様も大いに盛り上がって頂き、幸せな公演でした。キャストもスタッフもそしてお客様も皆が楽しめる作品、それがラズベリーボーイだと思っておりましたが、今回もこれぞラズベリーボーイという公演ができました。本当にありがとうございました!千秋楽の13日は台風が接近していたにも係らず、満員のお客様が劇場に足を運んでくださり、心配なのと感謝の気持ちとで幕が開く前から泣きそうになってました。感謝感謝です!

さてさて、公演の裏話とまではいきませんが、ラズベリーボーイ2の製作にあたってのお話などを書きたいと思います。キャストの皆についてはまた別に書きます。

正直、今回の続編はかなり大変でした。もちろんお話を頂いたときはとてもうれしかったのですが、それと同時にプレッシャーが相当ありました。ラズボ1をご覧頂いた方はおわかりになるとは思いますが、ラズボ1は作品としてちゃんと完結してました。完結したお話の続きを書くとなると、下手したら蛇足になりかねないという危惧、そして多くの続編が「オリジナル(最初の話)よりつまらなくなった」「オリジナルの良さが消えていた」などネガティブに捕らえられることをよく知っていたからです。折角評価してもらった作品に泥を塗りかねないという怖さがありました。

そこでまず、脚本家の守山と話し合ったのが「全く違う新しい話にするか?オリジナルを踏襲したものにするか?」ということでした。でも、登場人物は基本的に同じにしないといけない。さてどうしたものかと。色々話し合った結果、やはり「オリジナルを踏襲したものにしよう」となりました。しかも、出来るだけ流れや構成を同じにして、少し変化を加える、少し付け足す、そういう構造にしていこうと決めました。
しかし、やはり続編というのは想像以上に大変でした…。オリジナルを知っているお客様が楽しめるようにするには、オリジナルのネタなどを当然ながら盛り込む必要があります。今回で言うと劇中劇などがそれにあたります。劇中劇もオリジナルの劇中劇の続編にしました。しかし、そうなって来ると今度はオリジナルを見ていない人が楽しめなくなる。ラズボ2を初見でも楽しんでもらえるように、オリジナルの必要な要素の説明を入れなくてはならなくなります。これがまず大変でした。説明を入れるのは簡単なのですが、それによって脚本のページ数が相当割かれると言うのが問題。できれば、ラズボ2もオリジナルと同じぐらいの長さにしたかった。そのため説明に時間を取られると、ラズボ2で新たに発生したドラマをしっかりと描けなくなる。ここら辺のさじ加減が非常に難しかったです。脚本家が書いたものを味気なくならない程度に色々削って行く…。大変でした。
そして、先ほど書いた「ラズボ2で新たに発生するドラマ」ここも大変でした。12年の月日が流れています。オリジナルからいるキャラクターたちも色々変わったり問題を抱えているはずです。つまり、ドラマ要素が多くなる。これら全部にしっかり時間を割いてしまうと、とんでもない長さになってしまいます。いかに上手く拾って行くか…とまあ、要はすべてが大変でした笑
ギリギリまで脚本家と練り直し、最終的にはキャストに演じてもらってキャストにも意見を聞き、ようやく脚本が完成しました。お陰で、自分たちで言うのもなんですが、良いお話が出来上がったと思ってます。

ラズベリーボーイは本当にキャストスタッフ全員で作り上げている作品です。キャストの子たちもすごく作品を愛してくれており、脚本作成の初期段階では、富田翔くんと高崎翔太くんも脚本会議に参加してくれ、色々と案を出してもらいました。本当に助かりました。

演出的な面で言いますと、やはり脚本と同じように、なるべくオリジナルを踏襲するようにしました。オープニングアクト(みんなが曲に合わせて走り回ったりするところ)も途中まで同じで、最後に新しい所を付け加えたり、劇中劇の説明も同じような構造にしたり。そして、これはオリジナルの時もそうだったのですが「あの強烈なキャストたちが色々と遊べる空間を作る」というのがテーマでした。上に飛び乗れるような机にしたのも、壁の一部を間引いて壁の向こう側が見えているというふうにしたのもそうです。そして今回の自分の一番のファインプレーが、ペーターBOXを作ったことですかね。磯貝龍虎くんが顔をのぞかせていた黒い大きなBOXです。我々の間ではペーターBOXと呼んでいました。脚本上はあんなシーンなかったのですが、面白そうだなと思ってペーターの独白を入れ、あのBOXを舞台セットとして作ってもらいました。それにしてもやはり龍虎くんはすごいですね~。あそこまで遊び尽くすとは想像もできませんでした。脱帽です!

とまあ、製作にあたってはかなり大変だったのですが、公演中のお客様の笑い声や拍手、そして涙がすべてを洗い流してくれました。続編、本当にやってよかったです!
そして、なんといってもラズベリーボーイは稽古、公演を通じて本当に楽しい!キャストたちも愛すべきやつらばっかりだし、いつもゲラゲラ笑ってました。千秋楽終了後、皆が舞台上で胴上げをしてくれたのですが、そこでもやはりラズベリーボーイ。みんながフルパワーで私を投げ上げたので本当に天井に着くんじゃないかというぐらい舞い上がりました(私、体重がメチャ軽い)。私が悲鳴を上げているのに皆はゲラゲラ笑いながら投げ続ける。このノリ。これこそがラズベリーボーイです!最高のカンパニー!また、是非、再演やさらなる続編にも挑戦して行きたいですね。彼らと一緒なら乗り越えて行ける気がします。

8公演という短い公演でしたが、ラズベリーボーイを応援して頂き、本当にありがとうございました。次は…再演?続編?でお会いしましょう。ラズベリーボーイはまだまだ続きますよーー!!