では、本日はダブルキャストの月組さんについて書きたいと思います。
ダブルキャストの子達は、単純にシングルキャストの子達に比べて稽古が半分しかできません。もちろん、出番的なことで言ってもシングルの子達に比べて少ないですし、実質的には半分どころかもっと少ないでしょう。しかし、私は常々「脇が輝いていない作品は面白さや豊かさに欠ける」と考えておりまして、むしろ脇こそが大切だとさえ思ってます。主軸の人たちはやはり観客も目で追っかけます。その分印象にも残るし、何を考えどういう人なのかが認識されやすい。しかし、物語の世界においてそれを構成するキャラクターたちは誰1人おろそかにしてはいけないのです。だからこそ、出番の少ない脇のキャラクターはより濃く印象的に演出しないといけません。限られた時間ではなかなか思うようにはいきませんが、それでも最後まで諦めたくないのです。少なくとも私が演出する舞台では全員に輝いてほしい、そう思ってます。そして、今回のダブルキャストの子達は、非常に意欲的で自らも輝こうと頑張ってくれました。よく絡む役の子達が集まって自主的に話し合ったり稽古
をしてくれてました。私としては両チームとも大満足してます。ホント、みんなキラキラしてました!この「おうちに帰るまでが遠足です」をしっかりと支えてくれた子達に改めて感謝の気持ちと拍手を送りたいと思います。

◯ネブッチョ役:渡壁りさちゃん
かべちゃんは、私が普段活動している劇団Bobjack theaterの劇団員です。劇団に入る前から劇団の公演に客演で出てもらったり、アリスインさんとのコラボには全て参加してもらってましたが、昨年末に正式に劇団員になってくれました。私の秘蔵っ子です。アイドル舞台以外も私が外部演出している舞台にはほぼ連れて行ってます。武者修行中です。いつも安定した芝居と小さい体からは想像できない熱量で、外部でのボブジャックワールドの構築に大きな力を貸してくれてます。まあ、劇団員をあまり褒めるのも恥ずかしいのでこの辺にしておきます。一つだけ言えることは、今回もかべちゃんに出てもらって本当に良かったということです。

◯風花役:小林ひな実ちゃん
ひなみんとは昨年やった『トラブルブックマーカー』でもご一緒したので二回目ですね。ひなみんもホントに上手くなったなーと思います。トラブルの時はまだどこか恥ずかしそうに芝居をしている感じでしたが、今回は風花という物語の鍵となる難しい役を堂々とそして持ち前の滲み出る優しさをしっかりと表現してくれてました。印象としてはこの稽古期間中にぐーんと上手くなった感じです。最初はかなり難しいと思っていたようですが、風花のキャラクターや演じ方についてアドバイスをするとみるみる良くなっていきました。脚本上のキャラクターに囚われることなく『ひなみん版の風花』をやってくれたことが非常に嬉しい!本番初日二日目とあまり上手くできなかったとすごく悔しがっていましたが、三日目にはしっかりと修正してきてました。こういう「立て直すことができる」というのも大きな成長の証ですね。今回の経験はひなみんをより成長させてくれることでしょう。

◯ミスティ役:大貫彩香ちゃん
最も意欲的に取り組んでくれた子の1人です。さっちょは稽古が終わるたびに毎回色々質問してきたり、なかなか上手くできないことを何度も教わりに来たりと本当に努力してました。本番に入ってからも色々聞きに来てたし、本番前のアップもいつも早くからしてました。今回が今までで一番セリフも出番も多い役だと言ってましたが、こういう姿勢を続けていけば絶対にお芝居が上手くなります!どんな世界でも努力する才能というのは最も大事なことですから。表情もコロコロ変わってキュートだし、これからバンバン人気が出るんじゃないでしょうか。本番最後の方はグッと感情も入り、七星たちのために必死に頑張り、すごくいい芝居をしてました。稽古当初からものすごく成長したなーと涙が出そうになりました。

◯瀬戸エリ役:早乙女ゆみのちゃん
この子はですねー、私の大のお気に入りなんです!もうね、何か見てるだけで楽しい気持ちになる。動きも表現もなんか不思議で面白い!脚本の守山も大好きで2人してゆみのファンです。小さい体を全部使って暴れまわる姿は、本当に素敵!稽古場での爆笑王は間違いなく彼女ですね笑
あと、体がものすごく硬いです。今回の稽古はアップも兼ねて稽古前にみんなで柔軟体操をしていたのですが、本番前のアップでも柔軟体操をしていたゆみのちゃん。まだまだカッチカチの体を曲げながら「うわー!私、柔らかくなった!」と喜んでました。どこがやねん!!と心の中で突っ込んでおきました。そして彼女も色々とネタを変えたり、非常に意欲的でしたね。それを楽しそうにやってる姿がまたいい!何気に声も特徴的でいいんですよねー。今後大注目していきたいゆみのちゃんです。

◯モミジ役:夏希リラちゃん
今回の稽古中、その他の仕事とスケジュールが被ったりでなかなか稽古できなかった彼女。不安を抱えたまま舞台に上がっていたのかもしれません。でも、限られた時間の中で頑張って演じてくれていました。いい加減な感じで洒落っ気のある役をさせたらビッカビカに輝く可能性のある子だと思います。モミジの芝居を観て思いました。モミジのそういった面を上手く表現してくれてました。お客様も良く笑っていたので、今後はそんなお芝居を追求していくといい味が出ると思います!

◯スカーレット役:津留慶子ちゃん
つるちゃんのスカーレット、かっこ良かったです。かっこ良く決めるところは決めて、笑いもたくさん取ってたし素敵なスカーレット様でした。チームスカーレット(&ルビー、ガーネット)は本当にチームワークが良く、いつも集まって話し合いをしてました。津留ちゃんはチームリーダーとしてみんなを引っ張ってくれました。他の子にネタを提供したり、代役で面白いことをして稽古場を盛り上げてくれたりと、本当に助かりました。私が津留ちゃんにあまりに何も言わないので不安に思っていたらしいですが、それはダメ出しがなかっただけです。稽古場から仕上がっていました。本番でも安定のパフォーマンスを披露してくれました。こういう子が座組にいると演出としては本当にありがたいんです。津留ちゃんには感謝感謝ですね。

◯ルビー役:浅石莉奈ちゃん
あさりちゃんもほぼ一年ぶりの舞台だったそうですが、ガーネット役のみくちゃんとコンビネーション抜群の掛け合いをしてくれてました。あさりちゃんもとってもがんばり屋さんです。本番中、スカーレットたちと3人でぱっと飛び出して来るシーンで一度こけそうになりました。その時、こけそうになるのをうまくフォローする演技をしてました。私としては「うまくやったなあ」と思っていたのですが、終演後のあさりちゃんはこけそうになったことを凄く悔しがってました。この子は伸びるよ~と思いましたね。実際、稽古当初からかなり上手くなったと思います。本番も芝居がどんどん良くなってました。華奢な体からほとばしるエネルギーが見ていて心地よかったですね。ガーネットとの2人のシーンは可愛らしくてほのぼのしてて良かったなあ~。

◯ガーネット役:坂本実紅ちゃん
初舞台にも関わらず、堂々と活き活きと演技してました。この子ももの凄く意欲的なキャストの一人ですね。出番は決して多くなかったのですが、自分の登場シーンを何度も繰り返し練習をしていました。ああいう姿を見ると輝かせてあげたい~って思います。演技が非常にリズミカルで小気味良くて、見ていて気持ちよかったです。間違いなく上手くなりますね、みくちゃんは。しかも、いい個性を持った女優さんになるんじゃないでしょうか。凄く頑張っていたみくちゃん。千秋楽の挨拶ではいつまでも泣いてましたね。納得の涙です。思わずもらい泣きしてしまいました。これからも伸び伸びとみくちゃんっぽい芝居を磨いていって欲しいと思います。応援をしたくなる子でした。

では、今日はこの辺で。