私たち劇団Bobjack theaterとアリスインプロジェクトさん、そしてタイアップにアニ玉祭さんが入った企画公演『おうちに帰るまでが遠足です』の全公演が無事に終了しました。誰一人欠けることなく最後まで走り抜けることができたのは、公演を応援してくださったお客様のおかげです。本当にありがとうございました!改めて御礼申し上げます。

さてさて、公演を振り返るためにも「制作・演出ノート』的なブログを書きたいと思います。まず第一弾はこの作品の脚本制作過程から書きたいと思います。

ことの始まりは、今年の2月。私たちBobjack theaterの本公演『幸福レコード』にあります。ちょうどその頃、アリスインさんとアニ玉祭プロデューサーの竹澤さんが「一緒に何かやりましょう」とお話をされていたみたいで、劇場は今回の『おうちに帰るまでが遠足です』の会場でもあったシアターKASSAIでやるとだけ決まっていました。竹澤さんが「劇場を一度見てみたい」とのことで、劇場の視察にいらっしゃった際に、これまたちょうど私たちがシアターKASSAIで公演をしていたわけです。視察もかねて『幸福レコード』をご観劇。『幸福レコード』を非常に気に入って頂けたみたいで、私たちもタイアップ公演に参加させて頂くことになった次第です。

さあ、ここからが大変でした。マスト条件として「埼玉県の聖地巡礼4都市、鷲宮・川越・飯能・秩父の町を題材に扱い、その中で町を紹介する」というものがあり、それが最大の困難でした。そのような制作方法はもちろん初めてだし、さてどうしたものか?と。とりあえず、パッと思いつくものでいいので、脚本の守山に色々案を考えてもらうことにしました。たくさんの案を前に2人で話し合いましたが、どれも町の紹介がうまく組み込めない。いわゆる『臭み』が出てしまう。そして、その『臭み』を消してくれたのが、「聖地巡礼ガールズ」。「物語に組み込もうとするからうまくいかないんだ。町の案内は町の案内で割り切って別枠でやってしまおう」。こうして困難だった町案内の請負人として誕生したのが、前出の聖地巡礼ガールズなのです。『おうちに帰るまでが遠足です』の世界で最初に生み出されたのは彼女たちだったんですね~。
ちなみに、今さらっと書きましたが、実は「聖地巡礼」をすると言うのはマスト条件ではありませんでした。聖地巡礼ガールズが誕生した際に「だったらもう、聖地巡礼する話にしてしまおう」となったのです。すべては、聖地巡礼ガールズたちから始まったと言っても過言ではありません笑。

そしてもう一つ、ここが結構重要な困難かも知れません。「4つの町案内を組み込まないといけないので、物語に割く時間がいつもより少ない」というもの。アリスインさんでやらせて頂く時はいつも「1時間40分から45分」を目安に制作しています。しかし今回は、実質的には物語に1時間30分も割けないという計算になりました。そのため、どうしても物語の細部が描けない。私たちの芝居は殺陣などがなく「戦って解決する」と手法が取れない。ていうか取りたくない。そのため、物事の解決に少し時間がかかるわけです。しかし、その辺りは脚本ではなく演出や演技でなんとか埋めていこうとなりました。そして、いよいよ稽古が始まりました…。

少し長くなりましたので、本日はこの辺で。

あと、最後に『おうちに帰るまでが遠足です』の初稿から色々設定を変えていった裏話を列挙します。面白いですよ。

・エリーは元々はポンコツのロボット運転手だった
・うららは、ただの同行人だった(ドリームトレインに乗り込む七星たちを目撃し、我がまま言ってただ付いてくるだけだった)
・七星と千世の旅ではなく、七星と千世の妹が千世のフリして旅をするという設定だった(千世が死んでしまったので、七星のために妹が嘘をついて旅に出るというもの。これも面白くなったと思いますが、尺が絶対足らなくなると思ったので設定変更しました)
・スカーレットとミスティはライバルだった
・風花は神の使いではなく神様だった。つまり、神の使いというキャラがもう一人いた

などなどです。空想が広がって面白いと思います!ではまた。