さて、幸福レコードのキャストのみなさんのお話をしたいと思います。
一発目は座長の伊嵜さんのお話・・・と予告しましたが、なっつみファンの方がペタを付けてくれたので、なっつみのお話からしたいと思います。

松原さん(稽古場ではこう呼んでました。はるごんも仲川さんと。というのも彼女たちをアイドルとして見ないでおこうと思ったからです。)は、今回のキャストの中で一番驚かせてくれた役者でした。もちろん、いい意味で。


○一度付けた演出は絶対忘れない

彼女に対しては、稽古や本番を含め、2度同じことを言った記憶がありません。一回言ったことは、次の稽古までにはちゃんと身に付けてくる。これ、当たり前のようでなかなか出来ないことなんです。演出家と言うのは、見た目や形で役者にこうしてほしいああしてほしいと演出を付けることがあります。たとえば、「このセリフは前を見て言って」とか「ここで右に動いてほしい」とか。これを何も考えずに実行すると、明らかに違和感が出ます。それをちゃんと頭で理解し、体に入れて、その違和感を消すという作業が必要です。この作業は役者の仕事なんですね。彼女はその作業をちゃんとやっていたのだと思います。そのために、家でかなり自主練をしたのでしょう。彼女の演技を観たお客さまの意見で「ナチュラルな芝居だった。」というものが多かったのは、大げさな演技ではなく自然にしていたということではなくて、やっていることに一切ウソがなかったというのが大きな要因だったのだと思います。

○集中力がすごい

最後の方のシーンで、松原さんが泣きの芝居をするのですが、あのクオリティの芝居を抜き稽古からやっていました。抜き稽古というのは、そのシーンだけをやる稽古のことです。普通、役者は感情的な芝居を抜きでやるのを嫌います。前後のつながりがないとなかなか気持ちを作れないからです。しかし、彼女は持ち前の集中力で、ぐっと感情を高めて芝居をしていました。抜き稽古でそれが出来ていたんですから、本番ですごいところまで行けるのは当たり前ですよね。本番も毎回すごかったのですが、いつか忘れましたけど、一回すごいところまで行ってましたね。稽古も通じて何回も観ていた僕が鳥肌立ちましたから。人間と言うものはウソをつこうとするものです。悲しい時でも、周りの人にはそれがわからないように振舞おうとします。しかし、抑えきれずに漏れ出てしまった一筋の感情が美しいのです。それを彼女は見事に表現していたと思います。


とまあ、褒めてばかりですが、最初はちょっと怖かった(笑)いやなときはいやそうな顔をするし。でも、それは裏表がない人だから。それがわかった瞬間に、一挙に好感に変わりましたね。

僕が決めることではないですが、ホント、彼女はもっともっと女優の仕事をしていくべきだと思います。色んな形のお芝居に触れれば、もっといい女優さんになることでしょう。今後の女優・松原夏海が楽しみです。

そんなこんなで、今回の仕事を通じて、彼女のファンになりました。エヘッ。