こんにちは!
前回の続きで、Ayersギターで使用されたサイド&バック板をご紹介します。
前半は基本的な板を紹介しましたが、後編は、よりスペシャルな板を紹介します。
5.ボリビアン・ローズウッド
ローズウッドと呼ばれていますが、マメ科ではないので、ローズウッドの仲間ではありません。別名パーフェロー、モラードなどと呼ばれています。
2017年に、インディアン・ローズウッドにもワシントン条約(CITES)の規制がかかり、輸入手続きが一時大変になった時によく流通しました。2019年に規制が緩和され、再びインディアン・ローズウッドが主流になってからは、ほとんど見られなくなりました。
インディアン・ローズウッドの代替品というイメージがあり、あまり高い評価を聞きませんが、中音が強く、エボニーのようなカチッとした音がします。色はローズウッドよりも明るく、杢目はやや曲線が混じる感じです。
Ayersでも一時試作的に作りましたが、CITESが緩和された後は、ほとんど使用されなくなりました。これと言った「売り」がないので、第一線には出にくい板と言えます。
6.ベトナム・ローズウッド
この板はAyersが特におススメする板です。音のレスポンスが良く、しかもレンジが広いので、リバーブ感がかなり出る板です。
色はマホガニーより濃いめの茶色で、杢目はかなり複雑で自然の造形美を感じることができます。板によってまったく杢目が異なるので、世界に一本だけのギターとなること間違いなしです。
世界的にはほとんど流通しておらず、高級材としては価格は手ごろです。Ayersはベトナムに工房があるため、輸入しなくてもこの木を入手できるので、安定した供給量があるのも魅力です。
これもベトナム・ローズウッドです。本当に木によって杢目がかなり異なります。
こちらもベトナム・ローズウッドになります。杢目の表情が全く違いますね。3本のうちどれが好みでしょうか?
インディアン・ローズウッドの音よりも、さらにワンランク上の音を目指す方は、このベトナム・ローズウッドが手ごろでおススメです。
7.ココボロ
その杢目の美しさで、近年かなりの人気になっているココボロです。色は赤とオレンジの中間のような色で、まだら模様の杢目がクッキリと入ることから、非常に存在感のある板です。
また、木は油分が多く、固くて重量があり、とても耐久性の高い木材です。ギターの素材としては高級材になります。
音はパンチのある太い音がします。低音もしっかりと出ます。アタックのレスポンスもよく、どちらかというとパワフルな演奏に向いていると思います。
ココボロも木によってかなり杢目の違いがあります。こちらはそれほど渦巻き模様が多くありません。サップ(白い部分)が入っています。
こちらもきれいな杢目ですね。この色と杢目がココボロの最大の魅力と言っていいと思います。
他にない究極のハンドメイドギターを求めている方は、ココボロも選択肢に入ると思います。
8.マダガスカル・ローズウッド
ローズウッドの中でも、最も重量があり、固い素材です。こうした性質のため、音の厚みがものすごいです。レンジの広さと低域の輪郭、高域の抜けもあり、見た目共に、ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)にかなり近い素材と言われています。
高級材であり、流通量もそれほど多くありませんが、マーチンでもハイエンドモデルに使用されていて、その実力は世界中で認められています。
Ayersでもカスタムオーダーの素材としてラインナップされています。
9.ハワイアン・コア
ウクレレで有名な、ハワイ原産のコアです。その美しい虎縞模様は、世界中の人が愛する高級材の代名詞とも言える素材です。
高級ハンドメイドギターを考える時、この素材は外せないと思います。自分の部屋にあったら、美しい杢目を毎日眺めてしまうと思います。
音は硬質な木の性質のため、カチッとした音になります。レスポンスの良さを求める人にはぴったりでしょう。
トップもコアにしたオールコアのギターは、価格はそれなりにしますが、アコギマニアのあこがれでもあります。
以上がAyersギターに見るサイド&バック板の比較です。皆さんはどの板が好みだったでしょうか。
板によってがらりと性質が変わるのは、アコギの楽しみでもありますね。ぜひ自分好みの板を見つけられてください。
ではまた!