興味があったので、検証してみることにしました。
ちなみに、赤字は原文引用部分です。
1.それ別にいらないよね?
これを言ってはいけません。とくに食べ物を買っている時は厳禁です。なぜなら、そのあとにアナタはこう言っちゃうでしょ? 「太るよ」、と。女性は体重をとても気にしています。彼女を否定するようなことはやめましょう。
いるいらないは本人に任せるのが一番なので、恋人とはいえ他人があれこれ言う筋合いではありません。したがって、結論自体は賛成です。ただ、「太るよ」から「彼女を否定」への論理的必然性がありませんので、この解説部分は、おかしいような感じがします。
2.落ち着いてよ
女性はいつだって落ち着いています――少なくとも自分ではそのつもりです。アナタがこの言葉を言ったがために「落ち着いてるわよ!!」と火山は大噴火を起こします。
これも1と同様、経験則上の必然性がありません。論理の飛躍といってもいいのでしょうか。ただ、パニックになっている相手に「落ち着け」ということはあまり意味のあることではないため、結論自体は正しいといえるのではないのでしょうか。
3.はいはい
もう会話を続けたくないからって途中で切ろうとするのはダメです。とくに同じ言葉を繰り返す「はいはい」「うんうん」「わかったわかった」は逆効果です。オチのない女性の言葉もちゃんと最後まで親身になって聞きましょう。
これはその通りですね。
4.あれ? なんか前(会った時)と違わない?
違います。よく見て下さい。キューティクルが決まってるし、毛先もバッチリでしょ? 美容院に行ったことすら分からない男は最低です。彼女の変化にはどんな些細なことでも気付いてあげましょう。彼女は気付いてくれて、しかも褒めてくれるのを待ってます。
意味不明。4の言動部分のみみると、ほめ言葉のような気がします。現代の若者としての日本語は「違わない?」というのは、「違っているよね」という意味も含まれます。単純疑問形で、そのような言動をすることは考えられない(変化に気づいていなければそもそもこのような言動が出る余地がないから)ため、疑問形よりも確認を意味する言葉として使用されます。そうすると、この解説はまったくもって意味不明となります。
5.大丈夫。こういう時のために持ってるから
そんなもの持たないで下さい。私はね、焦ってるアナタを助けたいの。分かる? この気持ち。私が助けられる男性が私は好きなのよ。
女性って男性を助けたいのですか?よしんばその考えが肯定できるとして、男性が女性のために何かを携行していることは、いいことであり、少なくとも否定的な意味ではありません。悪いですけど、そのようなひん曲がった考えしかできない女性は、少ないでしょう。小生はまったくもって理解できません。
6.おめでとう。男の子? 女の子?
これは絶対ダメ! これを聞く前にそれとなく情報を集めましょう。彼女のおなかはただ太っているだけかもしれませんよ? それなのにこんなことを聞いてしまったら……考えるだけで恐ろしい。
これも意味不明。「おめでとう」という言葉は、妊娠が発覚した後に言うものであって、妊娠しているかどうか不明である段階で発する言葉ではありません。解説と言動部分がかみ合っていない、意味不明の内容です。
7.あと15分くらいで着く
「やっと来たの。もう1時間ぐらい待ったわよ」おそらく遅れていったあとに浴びせられる罵声はコレです。アナタにとって15分でも女性にとっては1時間に匹敵します。約束には遅れないこと、そしてつねに約束の時間よりも早く来て女性を待たせないこと。5分前行動では遅いこともあります。
約束の時間に遅れない。これは正しいことです。ただ、「あと15分くらいで着く」から「1時間くらい待った」までの説明が不足している。これの趣旨自体が不明であるし、日本語としても支離滅裂だといわざるをえないでしょう。
8.ああ、うん。いいと思うよ
「どこがいいのかしら? ねえ、ど・こ・が?」褒める時はどこがいいのかちゃんと指摘しましょう。女性が「似合う?」なんて聞く時は気に入っているところが必ずあります。それに気付かない男はダメ。
7よりましだが、基本的には7と同様です。
9.(その話は)分かったから、また明日続きを聞くよ
明日じゃダメなんです。今聞いて欲しいんです。たしかにちょっとつまらない話だったかもしれませんが、女性は今聞いて欲しいんです。ナウです、ナウ。アナタに求められているのは現在進行形で彼女を慰めることであって、後日慰めるなんてことではありません。分かったら彼女の気がすむまで話を聞いて下さい。
まあ、これはそうでしょう。確かに、そのときに聞いて欲しいこともあるでしょうから。
10.はるか? 誰それ? 私の名前はあおいなんだけど(笑顔で)
オー、ミステイク。どこの誰と間違えたのかは知りませんが、名前を間違えてはいけません。これをしてしまってはもうおしまいです。ジ・エンドです。女性の名前を間違えることは失礼なのはもちろんですが、浮気・不倫を疑われます。たとえ寝言でも違う女性の名前を言わないように。
最後の一文を除けば、正しいのでしょう。ただ、寝言については賛成しかねます。寝言は、その人の頭の中の反映したものであるということを前提とすれば、男性の頭の中はその女性のこと「のみ」でなければならないことになります(換言すれば、他の女性について頭の中に入っていてはいけないということ)。いくら浮気の定義を厳格に解釈しても、他の女性のことを一切考えるなということは、現代社会においてありえません(たとえば、妹や娘、浮気とはいえない程度の親しい女性の友人の名前など)。
もちろん、他の女性の名前を寝言で連発すると、それだけ頭の中の占有割合が当該女性で占められることになりますから、浮気や不倫を推定する事実となりえましょう。
結局、何が書きたいのかというと、ビジネス文書・論文試験などにおいて、論理的飛躍や整合性のない、あるいは趣旨不分明な文章を書く人が多いということです。
われわれ、司法試験受験生は論文試験は避けては通れないわけですが、試験委員は日本語についてこと細かくチェックします。特に、論理矛盾や論理飛躍は大減点となります。
小生も人のことをいえる立場ではないですが、小生を含めていまいち論文の成績が伸び悩んでいる人は、細かい知識や論点をつめるよりも、こうしたことに気をつければ点数が伸びるのではないのでしょうか。