法曹実務家にとって一番必要なものは、いわずとしれたことで、法律知識です。これがないとはじまりません。


あと、法的思考力(リーガルマインド)、事務処理能力、文章表現力といったところでしょうか。


これらは、法科大学院教育、司法試験においてその能力が磨かれ、評価されますので、実際のところは質的問題ありといわれていますが、建前的には実務家はこれらの能力が備わっているとみていいでしょう。


ただ、これらだけでは実務はできません。


社会人としての一般常識・教養は当然ながら必要でしょうが、学部卒から法科大学院を出て、社会人経験を経ないまま実務に就いた人の多くはそれに欠けるといわざるをえません。

→極論すれば、法律(司法試験出題範囲)しか知らない。司法試験上位合格しても、それはかわらない。


税務会計の基礎的知識を知らない人も多い。モノが動けば基本的には税金問題が発生するのに、それを知らずにアドバイスをしたばかりに、後から多額の課税処分を依頼者が食らい、損害賠償を請求され、懲戒処分を食らった新人弁護士がいるという話も聞いた事があります。

→細かい知識は不要だと思いますが、少なくとも税金や会計処理上、問題が発生しうることは常に考えるべきです。


登記の知識がない人も多い。そりゃあ、民法で登記を勉強するからそれでいい。そうではなく、登記簿を見たときにどういう権利変動がなされているかを把握できるかということである。甲区と乙区、1号仮登記と2号仮登記、表示登記と保存登記、登記実務では常識であるこれらの区別がつかないまま司法試験に合格してしまう人が多くいると聞きます。


これは、学生が悪いのではなく法科大学院教育が悪い。


必修の演習系科目ではもちろんのこと、選択科目や実務系科目でもそこまでやらない。少なくとも、うちの法科大学院ではやっていません。


ですので、法科大学院終了時に、

・B/SやP/Lをみても意味がわからない。右左わからないこともある。

・不動産登記簿を一度もみたことがない。

・司法試験(法科大学院の予復習)の勉強しかしていないから、新聞ニュースは一度も見ていない。というか、新聞とっていない。

・ワードは使えても(レポートで必須だから)、実務で必要なエクセルは使えない。

・税金について何ら関心をもっていない。


などといった状態になっている人が多いということになります。


法科大学院のカリキュラムを改善する必要があると思います。


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