時効なし。/若松 孝二
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081027-00000047-mai-soci


殺人罪の公訴時効は、事件当時15年である(現在は刑事訴訟法の改正により25年となっている)。


そもそも、時効制度は何のためにあるのでしょう。


民法にも時効制度はあるが、刑事訴訟法の公訴時効とは理由は異なる。刑事訴訟法上の時効制度は、時間の経過により証拠等がなくなる(証拠の滅失、証人の死亡や記憶がなくなること)などといったことをあげています。


しかし、それは事実としてあるのは仕方ないとして、それを法で規定し、警察の捜査や逮捕の妨げとしてしまうのはいかがなものかと思います。


アメリカでは、殺人については、時効制度を設けていないところもあるようです(州によって異なるのか、第一種のみに限るのか、詳しい方がいらっしゃいましたら、コメントお願いします)。


現代の科学捜査において、証人の記憶の再現は難しいとしても、物的証拠の発見は昔と比べてかなり進歩しているのではないのでしょうか。


したがって、殺人など故意による死亡事件については、公訴時効を撤廃すべきであると考えます。


ただ、その場合でも、遡及法禁止の原則により、改正前の事件については旧法での公訴時効が適用になります。


今回の事件でも、新法の25年ではなく、旧法の15年により公訴時効は完成しています。


もし、犯人が現れた場合、被害者としては民事で救済することしかできないことになります。しかも、事件から、20年が経過すれば、それすらもできません(民法第724条)。


ただ、犯人が外国に出国していれば、その期間は時効期間としてカウントされない(刑事訴訟法第255条)ので、ひょっとしたら逮捕・起訴できる余地があるかも知れませんが、警察としては公訴時効が形式的に満了した以上、捜査はそこで打ち切られるでしょう。


しかし、犯人は「逃げ得」であることには変わりないので、時効制度は一刻も早く撤廃すべきであるといえます。



<刑法(平成16年改正前)>

(殺人)

第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは3年以上の懲役に処する。


<刑事訴訟法(改正前)>

第250条 時効は、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
1.死刑に当たる罪については15年
(以下、略)


第255条 犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する

2 犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつたことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれを定める。


<民法>

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)

第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。