本日は大阪家庭裁判所への見学会。



大阪家庭裁判所

場所は、大阪府大阪市中央区大手前4丁目1番13号、最寄駅は市営地下鉄谷町四丁目になります。


家庭裁判所とは何をするところか。


家庭裁判所(かていさいばんしょ、Family Court)とは、家庭に関する事件の審判(家事審判)及び調停(家事調停)、少年の保護事件の審判(少年審判)、少年法37条1項所定の福祉犯罪に係る刑事訴訟の第一審などの権限を有する裁判所である(裁判所法31条の3第1項)。平成16年4月1日からは、人事訴訟(離婚訴訟など)及びこれに関する保全事件等も地方裁判所から移管され、これらを管轄している。

この見学会は少年法の授業なので、少年事件(少年保護手続)について話をしていきたいと思います。


少年保護手続は、おおむね、次の順序で進行する。すなわち、非行事実が家庭裁判所に送致・通告されると、家庭裁判所は、家庭裁判所調査官(以下「調査官」と略称する)等による調査の結果をふまえて審判を開き、非行少年に対して保護的措置を施したり、保護処分に付したりして、再非行の抑止を図るのである。


つまり、平たく言えば少年が何か悪さをしたときに、更生を図るためにいろんなことを調査し、決定するのが家庭裁判所の役目である。あまりに犯情が重ければ、それは家庭裁判所ではなく地方裁判所などの刑事事件に付される。これを一般に「逆送」という(少年法20条)。


成人の場合は窃盗や強盗といった刑罰法規に触れない限り、何をしても刑罰を受けることはない。しかし、少年の場合は、それらをするおそれがある場合など、非行事実があると認められれば、少年審判に付される。こういった少年を「虞犯(ぐはん)少年」という(少年法3条1項3号)。全件送致主義を採る少年法では、こうした虞犯少年も結構な割合で家庭裁判所へと送られてくる。


そこで家庭裁判所は何をするか。具体的に法廷を開いて、「少年○○を△△少年院へ送致する」なんてことをいきなり決定するわけではない。その前に、調査官が少年と複数回面接して、犯行や非行を行った事情などを詳しく聞き取る。必要があれば、保護者・担任の先生などにも聞き取りを行なう。その際に、少年のプライバシーや名誉等に最大限配慮する。


そこで、調査官と書記官と裁判官の方々の貴重な話を聞くことができたので、その感想を述べる。


まず、家庭裁判所において調査官の役割は非常に大きいことがわかった。先に述べた少年からの事情聴取に加えて、心身のケアや更生方法の検討など、決定権限をもつ裁判官への意見を書くためにかなり詳細にわたりその少年を調べている。もちろん、少年法等の法手続きに関しても熟知している。


書記官の方も同様である。


他方、裁判官(キャリア5年程度の若手)はプライドだけは一人前で、調査官の意見をそのまま判ついているだけのものである。詳細は避けるが、こんな裁判官に少年院送致の決定をされた少年たちが不憫でならない。


裁判官に対する怒りを除けば、非常に有意義なものであったといえる。


※全件送致主義 少年法3条1項各号に該当すれば、警察などはすべてそれを家庭裁判所へ送致しなくてはならないという建前。もっとも現実は、簡易送致などでかなり形骸化しつつあるといわれているが、これにより適切な少年保護に資するものであるといわれている。


少年法

(審判に付すべき少年)

第3条 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
1.罪を犯した少年
2.14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
3.次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家屋に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

② 家庭裁判所は、前項第2号に掲げる少年及び同項第3号に掲げる少年で14歳に満たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。


(検察官への送致)

第20条 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

② 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。


(公訴の提起)

第37条第1項 次に掲げる成人の事件については、公訴は、家庭裁判所にこれを提起しなければならない。
1.未成年者喫煙禁止法(明治33年法律第33号)の罪
2.未成年者飲酒禁止法(大正11年法律第20号)の罪
3.労働基準法(昭和22年法律第49号)第56条又は第63条に関する第108条の罪、18歳に満たない者についての第32条又は第61条、第62条若しくは第72条に関する第119条第1号の罪及び第57条から第59条まで又は第64条に関する第120条第1号の罪(これらの罪に関する第121条の規定による事業主の罪を含む。)
4.児童福祉法第60条及び第62条第5号の罪
5.学校教育法(昭和22年法律第26号)第144条及び第145条の罪


裁判所法

(裁判権その他の権限)  

第31条の3第1項 家庭裁判所は、次の権限を有する。
1.家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)で定める家庭に関する事件の審判及び調停
2.人事訴訟法 (平成十五年法律第百九号)で定める人事訴訟の第一審の裁判
3.少年法 (昭和二十三年法律第百六十八号)で定める少年の保護事件の審判
4.少年法第三十七条第一項 に掲げる罪に係る訴訟の第一審の裁判


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