本日、夏休みにもかかわらず講義がありました。


内容は、少年法の第1回目の授業。


最近TVやニュースなどでも話題になっていますので、名前くらいは知っているという人も多いのではないでしょうか?


たとえば、成人だと逮捕されたときに「容疑者○○」と実名で出てくるのに、20歳未満だと実名では出てきません。


これは少年法第61条を根拠にしています。


この少年法第61条の規定をめぐって、表現の自由を侵害するものとして憲法裁判になったこともありましたが、その話はまた別の機会に。


少年とは、20歳未満をいいます。生まれたばかりの赤ん坊でも「少年」です。これは、少年法2条1項に書いてあります。


生まれたばかりの赤ん坊は別としても、最近は犯罪の低年齢化が進んでいます。特に、公訴提起(家裁送致も含む)された者のうち、3割以上が少年であるといわれています。


キレる子供、おやじ狩り、いじめ、放火・・・


11歳の女児がクラスメートをカッターナイフで殺したという事件は記憶に新しいことでしょう。


しかし、わが国の法律では、14歳未満であればそれだけで犯罪にはなりません。


刑法41条にそう書いてあります。


法建前としては、14歳になっていなければ犯罪ではないのですから、この女児も殺人罪にはなりません。


また、18歳未満であれば、死刑になることもありません。


自由権規約(B規約)第6条第5項で定められているからです。


しかし、法律や条約で少年を保護するばかりでいいものなのか、現に少年犯罪は成人よりも凶悪な部分があります。理屈が通じない分、大人より厄介です。現に、児童相談所や鑑別所などで、まったく反省の色を見せないで、暴力ばかりふるうこともあります。一昔前の「練鑑ブルース」ではないですけど、鑑別所に行ったことを不良仲間の勲章にしているような風潮さえあるようです。


そこで、平成19年に少年法が改正されました。


詳しい改正内容は別の機会としまして、従来のように少年を甘やかす一辺倒というわけではないようです。


たとえば、今までは16歳にならないと刑事処分で付すことができなかったのが、刑法41条と同じ14歳に引き下げています。また、11歳程度でも少年院へ送られることがあるようです。


現に改正後、15歳の少年が少年刑務所に送られています。


※練鑑ブルース たしか、梅宮辰夫が歌っていたような記憶があります。ちなみに練鑑とは、練馬少年鑑別所のことである。

※少年刑務所 少年院は更生・保護を目的とするのに対して、少年刑務所はそれに加えて刑罰を科する目的もある。したがって、ここに送られてくる連中は、家裁決定ではなく、地裁等で公開の法廷で、懲役・禁固判決を受けた者たちである。ちなみに、女子の場合は成人の女性刑務所に送られるようである。


まだ、勉強不足な部分がありますので、誤り等ありましたら指摘くだされば幸いです。また、授業の進行に合わせて誤りを発見した場合は、適宜訂正いたします。


少年法

(少年、成人、保護者)

第2条 この法律で「少年」とは、20歳に満たない者をいい、「成人」とは、満20歳以上の者をいう。

② この法律で「保護者」とは、少年に対して法律上監護教育の義務ある者及び少年を現に監護する者をいう。


(記事等の掲載の禁止)

第61条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

刑法

(責任年齢)

第41条 14歳に満たない者の行為は、罰しない。


市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約、自由権規約)

第6条第5項

死刑は、18歳未満の者が行った犯罪について科してはならず、また、妊娠中の女子に対して執行してはならない。


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