(越智・桑村郡境図にある医王山大岩の地誌図。別名クズレ岩、竹ノ子ともある。)
今年の6月後半、世田薬師にほど近いところにある永納山⛰と医王山に登って来ました。
この医王山は、現在の今治市と西条市のほぼ境界にある尖った形が印象的な岩山で、小さいながらに独立峰です。
お寺には寺名と一緒に、必ず山号というものがあります。
私の自坊である光蔵寺の山号が同じ「医王山」であることからご縁を感じておりました。
用事で近くを通る度に、
「あの岩、そそり立ってすごく険しい特徴的な形をしているけど登れるんやろか?」
と思っていました。
(県道より医王山を正面より見る。)
医王山というのは、「医王善逝(いおうぜんせい)」という薬師如来の別称。
お釈迦さまが、人の状況や状態に応じて話をしたことを「対機説法」と言いますが、それが医師が患者の状態に応じて薬を出したり施術をしたりすることに喩えられて医王と呼ばれたことに端を発しています。
この医王山の近くには医王池と呼ばれるため池があったり、向かいの世田山にはやはり薬師如来を本尊とする世田薬師があったりと薬師信仰の名残りがそこ彼処に残されているのを感じます。
全国的に医王山と呼ばれる山がありますが、有名なところでは石川県金沢市と富山県との県境にある「医王山(いおうぜん)」があります。
この地域の白山信仰と共に、修験道の行場として栄えていたようです。
前から、
登れるのだろうか?
と思って見ておりました。
よく見ると、頂上に向かって斜め斜め・ジグザグに溝が走っているのであそこを掴まりながら上がったりするのか?
と思ったりしましたが、ロッククライマー🧗♂️ではないので岩壁をよじ登るのはなかなか難しそうです。
近くの永納山に登りこの医王山を眺めると、その背後の尾根から何とか登れそうに感じたので、西条市と今治市の市境にそれぞれの標識があるところから、先ずは尾根に登ってみることにしました。
上がるのに道はありません。
消防の標識があるところから尾根に上がりました。
下降方面を向くと「今治市」の標識があります。
尾根へ上がるとこのように踏み跡がついていました。
ピンク色のテープもかかっています。
地面には境界線を示す杭も打たれています。
とりあえず医王山の方に向かって踏み跡をひたすら真っ直ぐ進んでいきます。
すると、だんだんと急勾配になってきます。
それに従い両脇のシダが覆いかぶさるように生えています。
上に行くほどシダが大きくなり、私の背丈ほどのシダを掻き分けながら登って行きました。
正直、シダが生えているところは足下は見えません。
このようにシダの中を藪漕ぎする場合は、くれぐれも冬場に行くようにして下さい。
蝮などもいるかもしれませんし、その時に無事でも後から酷いことになります。
私はこの後、1か月ほど苦しみました…。
猛烈なシダと陽射しの暑さに、
「これは堪らん!」
と、早く抜けたい一心で息切れを我慢しながら登り続けること15分あまりくらいでしょうか?
ようやくシダのない明るいところに出ました。
地面には標識が打ち込まれています。
ここからは完全に岩場のようです。
上を見上げます。
なかなかの壮観ぶりです。
この岩場を這い登るために、ここで少々休憩してひとまず息を整えました。
とにかく6月と思えないほどお日様が熱かったです。
続く→。