一週間が経った。

今日はここに来てはじめての休みだ。

休みは一週間に一日だけある。毎週月曜日と決まっている。

朝は同じように6時に起きるが、その後夜の自習の時間までは基本的に自由である。

みんな本屋に行ったり、近くのゲーセンやホビーショップに行ったり、部屋で自習したりと人によって様々に昼間の自由を満喫する。

僕はゲンさんやアクちん・N野くんと街中に出てみようかということになった。

自転車でなく、チンチン電車で行くことになった。

電車に乗り込む。

他の席に座っているおじさんやおばさんの視線が僕らに集まった。

明らかにいぶかしむ様な目で見る人もいれば、視線を合わせないようにしている者もいた。

それはそうだろう。

平日の昼間から見るからに中学生ぐらいの少年達が私服でぶらぶらしているのだ。

気にしてもしょうがないので、普通にみんなで談話していた。

目的の駅に着いたので、どこに行こうかと言っていたらゲームセンターが目についた。

店内に入ると、当時出たばかりの「ストリートファイターⅡ」が所狭しと並べられてあった。

みんな夢中になってボタンを連打した。

と、その時私服の男性と女性のふたりに声をかけられた。

「君ら中学生?高校生?今日学校は?」

学校の補導員だった。

「中浪生です。学校は行ってません。今日は休みです。」

その後もいくつかの質問をされたが、けっこうあっさり納得して行ってしまった。

そのまま行かれるのも、「お前らはいらん子や」と言われているようで何か寂しかった。

学校に行きたくても行けない奴もいれば、学校行きながら行きたくないという奴もいる。

学校からお前は来なくていいと言われた人間からすれば、学校をさぼってると探して連れに来てくれる人間がうらやましく思えた。

僕らは勉強しないからといって誰が連れに来てくれるものか。

人生は自分から望まない限り、だれも与えてなんかくれん。


僕らは寮に戻って自習を始めた。