寮生の朝は大忙しだ。
まず朝起きて寮生全員が廊下にそろったところで、8人が各担当にに分かれる。
内わけは、食事当番・風呂掃除班・ゴミだし班・廊下と各部屋に掃除機をかける班の以上4班だ。
わたしは隣の部屋のゲンさんという同じ地域の出身の子とタッグを組んでいた。
ゲンさんは地元CATVの会社の社長の息子で、身長は160cm代半ばなのに体重は100kgに近い小型巨漢だったので、みんなよく彼のお腹をさわりに行った。
初対面の人にはよく当時香港のカンフースターだったサモハン・キンポーやくまのプーさんに似ていると言われていた。
性格は気さくで明るく楽観的、勉強以外にはすごく積極的なタイプだった。
とにかく食べることの好きだったゲンさんは、寮で一番の優秀なシェフとして腕をふるったし(ただし肉料理限定)、よく自分の部屋でも自習の時間にもかかわらず、ベットにうつぶせに横たわってマンガを読みながら、機嫌よくポテトチップをつまんでいる姿をよく目撃した。
初日の朝、わたしとゲンさんは食事当番だった。
それまで包丁すら持ったこともなければ、ガスコンロの火さえ付けたことのなかったわたしが、味噌汁を作ることになった。
とりあえず、前日に買ってきていたネギと豆腐を切った。
もちろんぶつ切りである。
おそるおそる火をつけ湯を沸かした。
ゲンさんに聞くと「とりあえず味噌と市販のだしを入れときゃいいんじゃない」と言うので、訳もわからず沸騰する前のお湯にネギと豆腐を入れ、味噌を適当に入れ、最後にだしをこれまた適当に入れた。
お湯が煮立ってくると、アクが浮かんできた。
とりあえずアクは取った方がいいだろうということで、おたまじゃくしでアクをすくった。
ゲンさんはとなりで勢いよくベーコンと卵とウィンナーという油っぽい朝食三種の神器を大量に焼きまくっていた。
どうやらご飯も炊き上がったようだ。
ごはんをよそおい、味噌汁をついだ。ゲンさんの焼いたベーコンと卵とウィンナーをお皿に盛って完成だ。
この後、朝食はこのパターンで定着することになり、みんなの体重は増加していった。
ごはんを食べた。
固い。
味噌汁を飲んだ。
これは味噌汁か?
味噌とお湯が分離している・・・。
おかずのベーコンと卵とウィンナーを食べた。
はじめはうまかった。
でも全部食べると胃がもたれた。
みんな沈黙したままだった。
しかし、驚いたことに誰も「まずい」とは言わなかった。
そう自分が作っても同じ結果が目に浮かんでいたに違いない。
みんな文句を言わず全部食べた。
ゲンさんだけが自分の焼いたおかずを「うまい うまい」と言って食べていた。
決してうまいとは言えない朝ごはんでも、同じ仲間でとる食事は楽しかった。
朝食が終わり後片付けをすることになった。
ゲンさんは作るのは得意だが、洗い物はあまり好まなかったので一年間ほとんどわたしの担当だった。
おかげで今でもわたしは皿洗いが得意である。
まず朝起きて寮生全員が廊下にそろったところで、8人が各担当にに分かれる。
内わけは、食事当番・風呂掃除班・ゴミだし班・廊下と各部屋に掃除機をかける班の以上4班だ。
わたしは隣の部屋のゲンさんという同じ地域の出身の子とタッグを組んでいた。
ゲンさんは地元CATVの会社の社長の息子で、身長は160cm代半ばなのに体重は100kgに近い小型巨漢だったので、みんなよく彼のお腹をさわりに行った。
初対面の人にはよく当時香港のカンフースターだったサモハン・キンポーやくまのプーさんに似ていると言われていた。
性格は気さくで明るく楽観的、勉強以外にはすごく積極的なタイプだった。
とにかく食べることの好きだったゲンさんは、寮で一番の優秀なシェフとして腕をふるったし(ただし肉料理限定)、よく自分の部屋でも自習の時間にもかかわらず、ベットにうつぶせに横たわってマンガを読みながら、機嫌よくポテトチップをつまんでいる姿をよく目撃した。
初日の朝、わたしとゲンさんは食事当番だった。
それまで包丁すら持ったこともなければ、ガスコンロの火さえ付けたことのなかったわたしが、味噌汁を作ることになった。
とりあえず、前日に買ってきていたネギと豆腐を切った。
もちろんぶつ切りである。
おそるおそる火をつけ湯を沸かした。
ゲンさんに聞くと「とりあえず味噌と市販のだしを入れときゃいいんじゃない」と言うので、訳もわからず沸騰する前のお湯にネギと豆腐を入れ、味噌を適当に入れ、最後にだしをこれまた適当に入れた。
お湯が煮立ってくると、アクが浮かんできた。
とりあえずアクは取った方がいいだろうということで、おたまじゃくしでアクをすくった。
ゲンさんはとなりで勢いよくベーコンと卵とウィンナーという油っぽい朝食三種の神器を大量に焼きまくっていた。
どうやらご飯も炊き上がったようだ。
ごはんをよそおい、味噌汁をついだ。ゲンさんの焼いたベーコンと卵とウィンナーをお皿に盛って完成だ。
この後、朝食はこのパターンで定着することになり、みんなの体重は増加していった。
ごはんを食べた。
固い。
味噌汁を飲んだ。
これは味噌汁か?
味噌とお湯が分離している・・・。
おかずのベーコンと卵とウィンナーを食べた。
はじめはうまかった。
でも全部食べると胃がもたれた。
みんな沈黙したままだった。
しかし、驚いたことに誰も「まずい」とは言わなかった。
そう自分が作っても同じ結果が目に浮かんでいたに違いない。
みんな文句を言わず全部食べた。
ゲンさんだけが自分の焼いたおかずを「うまい うまい」と言って食べていた。
決してうまいとは言えない朝ごはんでも、同じ仲間でとる食事は楽しかった。
朝食が終わり後片付けをすることになった。
ゲンさんは作るのは得意だが、洗い物はあまり好まなかったので一年間ほとんどわたしの担当だった。
おかげで今でもわたしは皿洗いが得意である。