茜家の初日。茜ちゃんをまひろちゃんは、お人形さんみたいと言っていたが、確かにそうだと思った。頭から爪先まで飾り立てている。顔立ちも可愛いらしく、大きな目、小さな口。本当にフランス人形のようである。母親は和服での出迎えで気合いが入っている。フリフリの娘と並ぶと博多人形のようである。髪を結い、見える白く細いうなじがなまめかしい。お茶をどうぞ言われテーブルにつく。中央の皿には、店のケーキを全部買ったのであろう、色とりどりケーキが並べてある。甘いもの大丈夫かしら、お好きなものをどうぞ。後から気付いが、この時に選んだ二つ、もしくは似た種類のケーキをお茶の時間に用意してくれるようになった。
茜ちゃんの部屋はまひろちゃんのと対象的な女の子の部屋らしく、ピンクと水色の壁紙・カーテン・家具・ベッドで入るのが気恥ずかしい。机上もほとんど何もなかったまひろちゃんのに対して、可愛い小物がたくさん並んでいる。文具も機能より可愛いらしさで選択しているようだ。
翌日、家に行くとお母さんはまだ有頂天だがまひろちゃんはわりに平然としている。模擬試験の問題、ほとんどお兄ちゃんとやったことあったから。
これまでにその問題を勉強させてくれたお兄ちゃん、さすがよね。
お兄ちゃんはお母さんには、とてつもなく甘いけどまひろには、厳しいのよ。
こんな時に、とてつもなくなんて言葉使わなくても・・・。
だってこの前なんか蛇を触ったくらいで、来たじゃない。お母さんなんか、もうお庭に行けない、なんて甘えちゃって。いいなぁー。まひろにももっと優しくして欲しいよ。
お兄ちゃんはね、高いお金をもらっているんだ、それだけの価値ある仕事をしたいんだ、それは、まひろちゃんに正しくて幅広い知識を身につけてもらうことといろいろな問題を解決するのに必要な考え方を鍛えることだと思っているから。だからお兄ちゃんはまひろが問題解いて、合っていてもいいって言ってくれないよね。いちいちここは、どうしてって聞いてきたり、他のやり方ないのって聞いたりするんだ。
お兄ちゃん、本当にまひろに真剣に指導してくださっていたのね。
まひろちゃんが優秀だから僕も真剣にならないと教えるのも大変なんです。まひろちゃんと勉強しながら僕も勉強してるんです。
まひろね、模擬試験やっていてもお兄ちゃんと勉強してるみたいだったよ。社会科なんか問題読んだら、それはってお兄ちゃんが説明してくれる声がするの。算数で困っていても、他のやり方考えなさいって、そうすると正しい考えが思いつくの。
国語の長文は、お兄ちゃんが読んでおいてって宿題になってた作品の一つだったし読み終わって、作品についてお兄ちゃんが聞いてきたことが設問になってたのよ。

こんなメールもあった。
お兄ちゃんまひろちゃんが大変。大変なのよ。
ど、どうしたの?
まひろちゃんこの前お友達に誘われて模擬試験受けたでしょ。その結果が届いたんだけど。まひろちゃん3位だったの。
いつも言ってるでしょ。まひろちゃんは優秀だって。お友達のママ達から電話がどんどんくるの。
成績優秀者は塾の掲示板に貼られるんですって。いつも上位は塾のエリートコースの子達で独占されるからこの子は誰って騒ぎになってるみたいなの。さっきは塾の先生からも電話があって、是非うちにってしつこいの。特待生で学費もいらないって。
お兄ちゃんがいるからもちろんお断りしたけど。
大変なのは、お友達のママ達なの。どこの塾なのって信じてくれないの。
さっきはお部屋を見せてって他のママが来たの。今日はこれからも何人かいらっしゃるのよ。親の喜びっていろいろあるけど、こんな喜びもあるんだね。これもお兄ちゃんのおかげよ。本当にありがとう。
この結果はほとんどがまひろちゃんの努力の賜物であるが自分も確かに貢献してると思うと嬉しい気持ちが込み上げてきた。