およそ2ヶ月で茜ちゃんの学力は飛躍的に向上した。もともと潜在能力は高く、依存心と甘えが妨げになっていたようだ。文章を的確に読み取る力と計算力が増し、国語と算数の伸びは目を見張るほどである。
しかし思考力と知識量では、まひろちゃんにはまだまだ劣っている。
そこで二つの家庭に提案した。どちらかの家庭で一緒に学習してはどうでしょうか。勿論費用は、指導時間に応じていただければいいので経済的負担は減ります。もともと二人は仲がいいですし、特に茜ちゃんは、まひろちゃんにライバル心をもっているので良い刺激になると思う。こう伝えた。当の本人達も乗り気だったので週に一度まひろちゃんの家庭で学習することになった。茜ちゃんを見る時間は増えた。あと週に一度まひろちゃんだけを相手にする。こちらは学習と共に家庭来養子だからとまひろママに言われた。
二人とも、お兄ちゃんを取られたような気持ちになっちゃって、ごめんね。泊まってもらって三人で一緒に朝ご飯食べたいの。それで私達随分落ち着くと思うの。シャワーを浴びソファーで横になるといつの間にかねてしまった。
お兄ちゃん、朝、というまひろちゃんの声で目が覚めた。お兄ちゃん、顔を洗ってきてね。本当の母親?と思えるような優しい声。洗い終わると、ご飯よ、と呼ぶ声がキッチンから聞こえた。まひろちゃんと一緒に座る。洋食中心のメニュー。お母さんの思いが伝わってくる。たくさんのメニューが話題を提供してくれる。いつになく明るいまひろちゃん何を言ってもニコニコ笑って受け流すお母さん。楽しい時間はすぐに終わり、まひろちゃんは、学校に行く支度。僕も行かなきゃ、一緒に家を出ると、お母さんが玄関で見送ってくれる。駅に向かった、まひろちゃんは、反対の道で学校へ。これでいいのかと思えるような幸福な朝。
茜宅を出てまひろ宅に着いたのは、10時過ぎだった。二階も明かりが付いている。まひろちゃんも起きているらしい。お兄ちゃんごめんね。疲れてるでしょう。今日、まひろちゃんがこんなこと言うの。まひろ、嫌な子なんだよ。茜ちゃんが学校で、お兄ちゃんと勉強するのは、楽しいし、いろんなこと分かるようになったんだ。という話聞いて友達だから喜んであげなくちゃいけないのに、嬉しくなかったんだって。
それを聞いて、それはママも一緒なのって言ったわ。茜ママが、電話で喜んでいるのを聞いて、喜べなかったのって。
夕方二人でこの話をして、ジェラシーって気付いたの。まひろちゃんも二階から降りてきていた。
前にお願いしたわよね。家庭来養子にもなってって。お兄ちゃんはうちの子なんだから、今晩はうちに泊まってちょうだい。