後ろ手に縛られた時、母が縛られてしていたのを始めて見た時のことを思いだした。あの時は強盗に襲われたのかと心配した。今は、全てを理解している。武に縛られ、浴びせられた言葉を思い出した。手には力をこめて縛られた感触が残っている。思い起こすと、股間が熱い、私にも母の性癖が受け継がれていた。
辺りは薄暗くなってきたがその感触をしばらく堪能していた。縛られた場所は遊歩道から離れていて散歩する人々は気付かないだろう。大きい声を出せば救われるだろうが、助けてもらいながら事情を説明したくはなかった。根掘り葉堀り聞かれ、学校に連絡されたくはない。いじめられっ、のレッテルを大人や先生にも貼られたくはない。
わずかではあったが遊んだ子供の良心に期待をしていた。武は、クラスの女子みんなに優しく人気があった。私ももう少し可愛いならいじめられはしないだろう。
直径が20センチほどの木に後ろ手に縛られ、動けない私に向かって、みんな悪口を言い始めた。お前が悪いんだぞ、いつも宿題忘れるくせに、・・・。鳴き声は上げなかったが涙が止まらない。武が、俺帰る。と言いその場を離れると他の子供達も二三分で口々に別れを告げ帰ってしまい、私一人取り残された。情けなく、不安だった。
こいつがずっと鬼だからつまんねぇよ。そうだ、俺だって鬼やりてーよ。私は、心で苦笑した。お前なんか二三回続けたら、泣き出して、家に帰るだろ。
よし、あと五回鬼になったら罰ゲームなっ。さすがリーダー格。武の提案で遊びは、活気を取り戻した。走込んで、缶を蹴るごとに、あと○回、あと○回とはやしたてる。
あと二回になった時、武は、みんなぁ罰ゲーム、何にするか考えとけよと伝えた。五回目は武が缶を蹴り、罰ゲーム決定、と叫んだ。さぁ、どうしようか、と相談していると、進が拾ってきた紐を武に差し出した。よし、こいつこの木に縛りつけちゃおうか?みんな一斉に声を上げて同意した。