なんて面倒臭い生き物なんだろ俺。
俺の愛を与える術が分からない。
君の愛を貰い受けるのが、怖い。
だから、
もう恋は、しない。
俺にはもう、必要ない。
そう、決めていたのに…。
のらりくらり過ごそう。それが一番傷付かない。付いたとしても浅くて済む。
広く、浅く。それがお互いにとってベストな距離感。
見えないATフィールド。
そうやってふらふら歩いていた所にキースと出会う。
俺の好みとはまるっきしかけ離れた、180°いや、ベクトルの向きすら違うタイプの人間。
恋仲になるなんて、これぽっちも予想していなかった。
けれど、一緒に話すのが心地よくて、アイツが笑う顔が見たくて、遠退いていたなうにも顔を出すようになって、気付けば当たり前の様に隣にいた。
今日はどんな表情を見せてくれるだろう。どんな反応を示すかな。
俺の想像の遥か斜め上へ行く言動にいちいち面喰っては、楽しげに笑う彼の綺麗な笑顔に絆されて、俺を取り巻く見えないシールドは、いつしか溶けてなくなってしまっていた。
出会って1ヶ月。
手紙が届いた。真っ赤なバラの花束と共に。
そこに綴られた、とてもとても真っ直ぐな、素直な彼の言葉に、胸を打たれた。
「私の気持ちを、受け取って下さい。」と締められたラブレターに、
まだそこにあったのかと、もう無くしてしまったと思っていた心が震えた。
胸が締め付けられた。
悲しいんだか、嬉しいんだか、訳の分からない涙が頬を伝う。
返事には数日要した。
何人かお声を掛けて下さってた方がいたのと、また同じことを繰り返すのかという葛藤。
けど…もう一度だけ…、
この人の手を取ってみたいなって、思っちまったんだよね。
俺のバカ。
何度か交わした手紙に、どんどん心魅かれていって、気付きゃあ手ぇ取っちまってたっていう。
ちょっとぐらい、いいかなって…、
深入りしなきゃ、大丈夫かなって…、
思ってたのは間違いだったよな、俺のバカ(2回目)。
なかなか会えねぇ俺に、きっとそのうち愛想を尽かされるんだろうな…なんて、付き合った当初から湧くマイナス思考。
やっぱ迷惑かけちまいそうで、やめときゃよかったかな、なんて不安になったりもしたけど、キースに逢うとそんな心配一気に吹き飛んじまって、いつも愛おしさで胸がいっぱいになった。
どんな時も前向きで、明るくて、笑顔が凄く可愛かった。
「ワイルド君!」
俺を呼ぶ声に、つられて笑った。
「ワイルド君、ワイルド君!」
飛び込む様に抱き付いてくるキースが、可愛いと思った。
「キース。」
ずっとこの笑顔を傍で見ていたいと…、
また 逢いたいと思った。
「お休みのときはできるだけワイルド君の帰りを待っているからね!」
「いつでも帰ってきて良いんだよ!」
「たくさん補給しても良いからね!」
そして何より、キースは非常にステイが上手に出来る子だった。
言葉の通り、俺の帰りをいつも待ってくれていた。
どんなに遅くても、何も言わずに。
いや、実際はすごく我慢しているのかもしれないけど、1ミリも顔に出さなかった。
ちょいちょい探りを入れてはみたものの、やっぱり出さない。
俺が出動なんかでなうを見れない時間帯に、こっそり俺を呼んでみては消していた、なんて聞いて悶えのたうち回ったのはまた後の話。
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