「月白く風清し(つきしろくかぜきよし)」―蘇軾「後赤壁の賦」より
朝晩の気温が低くなり、ようやく秋らしさを感じる頃となりましたがいかがお過ごしですか?
ふと耳を澄ますと、あれだけ木霊した蝉の合唱が、いつしか秋の虫の音に変わり、
涼しい秋風とともに、季節の移り変わりを感じさせる様々な虫たちからも、自然の恵みの豊かさが感じられる・・・そんな心が癒されるこの頃ですね・・・
由美ママの自宅近くの白金台“プラチナ通り”に面したビルに『白金亭』があります。
『白金亭』は、香港料理界随一の名シェフ周中氏の料理を楽しめる新感覚の中華料理店で、プラチナ通りを見下ろせるスタイリッシュな空間を楽しめます。
さて、掲句の『月白風清』は、まさにこの時季の風景に相応しく、
身も心も洗われるような爽快さが感じられますが、「澄みきった天空に一輪の月が煌煌と輝き、薄の穂の間から爽やかな風がゆるやかに吹きわたる・・・」そんな様子には、思わず「嗚呼!秋ですね・・・」との思いが深まってきます。
この「蘇軾」別称「蘇東坡(そとうば)」(1036-1101)とは、宋代第一の詩人で、
父の「蘇洵」、弟の「蘇轍」とともに“三蘇”と称せられ、唐宋八家に列される著名な古文家のひとりですが、
「蘇軾」は、頭脳明晰な上、若くして科挙に合格し、官僚として出世を遂げましたが、
詩文によって政治を批判した罪に陥れられ死罪となりかけ、その後、赦されて流罪となった際に、武漢の西にある赤鼻山(湖北省黄岡県の長江沿岸)で詠んだ詩が、代表作とされる二篇の「赤壁の賦(せきへきのふ)」で、
前篇の「赤壁の賦」は、晴れた月夜や澄んだ秋の川を詠い、
後篇の「赤壁の賦」は、山高く月小さく、水落ちて石表れるという冬の景色を詠っていて、
内容こそ異なりますが、その趣向は統一されており、宋代の文章の手本とされる作品です。
黒で統一された落ち着いた雰囲気の“周中菜房”『白金亭』の3Fには3種類の個室もあります・・・
海鮮蒸し餃子
ちなみに、湖北省には、二カ所の「赤壁」が存在し、
かつて『三国志』の中の「赤壁の戦い」の古戦場として有名になった“赤壁”は、湖北省の蒲圻(現在の赤壁市)の西にあり、後漢末期208年に曹操と、孫権・劉備の連合軍が実際に闘った場所ですが、
もう一つは、上記「蘇軾」に韻文で詠まれた黄州(湖北省黄岡県)“赤壁”で、1082年、「蘇軾」は流罪地・黄州の長江に舟を浮かべて赤壁に遊びこの歌を詠みますが、戦場ではなかったため、人々は“黄州赤壁”を「文赤壁(詩文の赤壁)」と呼び、「武赤壁(戦いのあった赤壁)」“蒲圻赤壁”とを区別しました。
http://www.daruma.or.jp/09zengo_09.html
http://www.umakato.jp/column_ceramic/b_vol32.html
折りしも、テレビ朝日開局50周年記念作品として、映画『レッドクリフ』もⅠ、Ⅱと公開され、DVDでのレンタルも始まりましたから、この機会に「蘇軾」の“文赤壁賦”へと想いを馳せ、是非“武赤壁”の戦いをご覧になられてみてはいかがですか?(曹操さま贔屓の由美ママは、レッドクリフ・・・は気に入りませんが・・・)http://redcliff.jp/index.html
甕だし紹興酒
鮑と蟹鍋
『白金亭』では、香港料理界の第一人者・周中総料理長のつくる“医食同源”のヌーベルシノワ(新中国料理)を
お楽しみ下さい。http://www.shirokanetei.com/
http://r.gnavi.co.jp/b317800/
『三昧無碍(さんまいむげ)の空ひろく 四智円明(もちえんみょう)の明さえん―白隠禅師
こんな秋の夜長は、虫たちの声に心を癒やされながら、今宵も澄み切った空に一輪の月が白く輝く・・・そんな清涼極まりない『月白く風清し』秋の風情をお楽しみあれ・・・