別府にわれ再び訪れん 温かき温泉と温かきもてなしに わが生命よみがえる 温かき温泉 なごやけき人の心 われ再び別府に来らん
―ポール・クローデル 「別府を讃う」
由美ママの休日は、別府八湯”“地獄めぐり”で有名な『別府温泉郷』へと参りました。
“別府のシンボル”『竹瓦温泉』http://www.city.beppu.oita.jp/01onsen/02shiei/04takegawara/takegawara.html
さて、日本一の規模を誇り、湧出量は1日9万5728、その源泉数は約2850本と云われる『別府温泉』ですが、
その歴史は古く、奈良時代の「豊後風土記」や「伊予国風土記」にも登場する古湯で、
そこには・・・
―「神代の昔、少彦名命(すくなひこのみこと)と大国主命の二柱が、伊予の国を訪れた時に、少彦名命が病を得て卒倒し、それを嘆き悲しんだ大国主命が、豊後水道の海底に長いパイプを敷いて、別府の温泉を道後へと運び、少彦名命を湯浴みさせ、病気が快復した」と記され、
さらに鎌倉時代には、大友頼泰が“元寇の役”で負傷した武士を癒すために、別府、鉄輪、浜脇などに療養所を作ったとの記録も残されています。
そんな旧い歴史の温泉郷ですが、その後の三百年間は、大友氏の改易後は、太閤秀吉の領地となったり、
慶長五年には細川忠興の領地になるなど、その支配が複雑に移り変わり、
それが江戸時代に入ると、幕府領から島原領へと変わり、幕末には 肥後藩の御預所に変わったまま維新を迎えました。
この様に数奇な歴史の運命に翻弄された『別府』ですが、それがやがて江戸・元禄七年の頃には、医学者・貝原益軒が残した「豊国紀行」に、『別府温泉郷』の賑わいが記述されるようになり、
さらに明治に入ると、“上総掘り”による採掘技術が進み、一気に発展を遂げ、日本が誇る世界の名湯として花開きました。
別府『明礬温泉』“湯の花小屋”http://www.myoban.jp/
“湯の花小屋”内の藁と“湯の花”の元・・・
江戸時代より全国有数の“明礬の採取地” 別府『明礬温泉』の“湯の花小屋”
ところで、掲歌の詩人「ポール・クローデル」とは、大正10年から六年間、駐日大使を務めた外交官ですが、
彼は大正13年にフランスの軍艦ラマリン号で、初めて別府湾に入港し、滞在三日間ののち、再び二年後に彼の地を訪れ、その際の別府市民の温かい歓迎に感動し、別府の情緒を讃えてこの詩を作り、
別府観光の祖「油屋熊八」に贈りました。
コバルトブルーの美しさ“98度の熱湯”別府『海地地獄』
別府『海地獄』”大鬼蓮”&”睡蓮”
別府『海地獄』前で由美ママ http://www.umijigoku.co.jp/
http://www.beppu-jigoku.com/
由美ママの今回の大分への旅は、別府湾に面するこの詩碑の建つ北浜公園の横を、別府湾に沿ってドライブし、千年以上も前から噴出している・・・
と云われる “別府地獄めぐり”へと行き、街のあちこちから立ち上がる湯煙りの中、様々な地獄をめぐり、美しい海と山に囲まれた“湯の街情緒”溢れる『別府温泉郷』の景観と、自然の威力に、ひたすら圧倒された由美ママでしたが、
別府の後に訪れたのは、 戦国時代、九州六カ国を治めたキリシタン大名・大友宗麟が永禄五年(1562)に、四方を海に囲まれた天然の要塞・丹生島に建築した丹生島城(臼杵城)のある臼杵で、
この城下町・臼杵では、城を中心に、商家が建ち並ぶ街並みや、老舗の名家「小手川酒造」http://www.fundokin.co.jp/group/shoten/
などの、白いまなこ壁の商店が軒を連ねた趣ある雰囲気の中を、
町八町から武家屋敷へとつながる二王座の石畳が、曲がりくねった坂道のひと角ひと角を曲がるたびに、時を遡るようにして、古の時に巡り会えました。 http://www.warpnet.co.jp/kbbk/usuki/usukisi
春日野局が暮らしたとされる縁の地、付近の『二王座歴史の道』は映画「なごり雪」にも出てきます・・・
臼杵『二王座歴史の道』での由美ママ
臼杵の老舗、名家『小手川商店』&『小手川酒造』
「野上弥生子文学記念館」http://www.fundokin.co.jp/group/shoten/
臼杵『湯の宿 うすき亭』 http://usuki-yunosato.com/recommend.html
『臼杵大仏殿』金堂の“薬師如来像”
国宝『臼杵石仏』
国宝『臼杵石仏』“古園石仏”
“千年の時を経て、石仏は何を語るか・・・「国宝臼杵石仏」 8月29日(土)「臼杵石仏火まつり」開催
http://www.city.usuki.oita.jp/sekibutsu/
http://usukisekibutu.hp.infoseek.co.jp
しぐるるや 石を刻んで仏となす
―山頭火
そんな臼杵にて、凝灰岩の岩肌に、木彫りの仏のように丸彫りされた千年の歴史を誇る“国宝”「臼杵石仏」の威容に、山頭火に句のごとく心を洗われ、
『天然温泉うすき薬師の湯』では、黄金の如来像や菩薩像などが祀られた「臼杵大仏殿」金堂の“六観音”の神々しい輝きに心を奪われた由美ママでしたが、別府&臼杵の旅は、心静かな潤いある休日を満喫できたひとときでした・・・