変わらぬ産地苦境 | 銀座きものギャラリー泰三

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一度は袖を通したい着物がここにあります。きもの創作工房 (株)染の聚楽

京都に帰るたびに色々な情報を見ていますが、東京でバブル的な動きがあろうとも、産地への影響はほぼないというより。ますます下がり続け、円安の影響で糸値が上がったことが。苦境に拍車をかけています。


現実に倒産が出始めていますし、私どもが使う生地の糸がなくて、しばらく生産が出来ないなどとも言われています。


以前にも書きましたが日本の国産糸では泰三の高級なものは作れないというのが現実です。


生産の益々の減少で、職人さんの高齢化に歯止めもかからず、流通側の非見識もあって、上質な高級品の生産は(高額品と高級品は違います)、ほとんど止まっているにも等しく、西陣産地では基本的な生産でさえ維持できるかどうかというところまで来ているのも事実です。


流通側に生産者への思いやりもなく、借りてきたものにとんでもない値を付けて半分にしますなどというような業者も絶えず、何も知らないマスコミがそんなところの広告をしたり、販売市場の混迷も相変わらず、作り手としても任しておくととんでもないことをするからと言って、販売会に自ら出かけなければならない様な実情です。

高度な技を駆使するものづくりは将来不可能となり大島紬でも5マルキくらいしか織れなくなると言われています。


言いもの買いたいと思われるなら今の内というのはますます現実味を帯びてきたのは事実です。


いわゆるセンスのいい本物を売るためには色々勉強しないとできないことで、私でも40年以上キモノを着てきたことで知っていることも多いのです。


晴と褻を正しく意識して、周りの文化もよく知り、その場に見合った上品な着方をして頂きたいという思いから私も銀座に出てきています。


売り手が育たない限り本当の意味でも上物を生産することは極めて困難な状況となるのは自明の理です。


私もそういう意味ではまだまだキモノ文化のためにも尽くしていかなければならないという思いです。


何時になれば生産地のいい話をしていけるかと思いながらも、現実はますます落ち込んでおり、私自身の危機感はますます募ります。


来月から色々キモノや和文化の話をしていきたいというのもそうした現実の中でその文化の価値に気がついてほしいという思いからです。


まだまだ私の使命は果たされていないのかもしれません。