絹は劣化します | 銀座きものギャラリー泰三

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一度は袖を通したい着物がここにあります。きもの創作工房 (株)染の聚楽

この間あるブログに、リサイクル店で買ったばかりのものが、座った途端にお尻の縫い目が裂けたというようなことを投稿してされている女性がいて、その売ったところがひどいと思ってしまいます。


リサイクルのキモノは一体何年前のものかは、余程よく知るものでないとわかりません。


私はもうこの業界で40年以上いますので、その柄や色遣いから大体どのくらい前のものかおおよそ想像は付きます。


ただ若い売り手ではまずどの程度古いかは理解できないでしょう。


絹は動物性繊維ですし。必ず劣化します。ただその保存状況で使用に耐えられる年数は相当に違うことも確かです。


私の店にも以前のもののお手入れなどを依頼されることもありますが、我々は経験上生地を持って、裂けそうなほどの劣化はすぐにわかります。


この方は不幸にもそうした経験を持ち合わせていない販売店で買われたようです。


生地を持って弾力性がなくなっているものは相当に危ないですし、仕立ての糸も同様に劣化しますから注意が必要です。


保存をきちんとすればいわゆる孫の代までは使えるのがキモノのいいところですが、保存が悪くてカビの菌が回ると、一挙に耐用年数は短くなります。


手入れをきちんとして保存にお気をつけになることで長くお召しいただけるのです。


来月は私の店ではそうしたお手入れ物のご相談や袷のおキモノなどの整理などのご用事を集中的にお受けします。


仕事をするにしても必ず見積もりをさせていただきます。


しみ抜きなどの仕事を補正業といいますが、この技術は相当に差があり、お金はとられたけれどシミが抜けなかったといって当店に持ち込まれ見事にきれいになったということは枚挙にいとまがありません。


お手入を出される時に色々よく聞いてみてください。

以前にもある大手デパートで、ドライクリーニングをしてしまって大きな問題となったことがありました。


お手入の受け付けは余程キモノのこと自体をよく知っていないといけないのです。


これもまた今業界の問題となっていることです。