「西本剛巳 The Fault」展を紹介します | 銀座スタイルのブログ

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「ショールームかと思った」

この展覧会を訪れた人が言ったそうです。
タイルのバスタブが並ぶ空間は、確かにそう見えなくもありません。
 The Fault
と題された、西本剛巳さんにとって東京で久しぶりの個展です。
無機質な画廊空間に、いくつかの作品が整然と展示されています。

 

 

実物大のバスタブ4つからなるインスタレーション作品「Faults(断裂)」は
それぞれのバスタブの四辺に断裂が入っています。
タイルの目地に沿った垂直なズレ。時期的に地震を連想させます。
中にはアクリル板が敷かれ、英語の詩が綴られています。
ちなみに邦訳は別の作品「Because The Planet(何故ならその惑星は)」に書かれていました。


年季が入った洗面台と新品を左右に組み合わせた作品「Time(時)」。
洗面ボールから鏡まで半々になっています。

過去と現在を混在させ時間のズレを提示しています。

 

「Home(家)」という作品。

テーブルのような台の上部にはパラフィンの家と逆もどりの時計、

下方には白い紙袋が多数並んでいます。
温かい家庭=パンを焼く母親という着想による同作には
西本さんの幼き日の願望が表れているのかもしれません。

 

エントランスにある「Thin Ice(薄氷)」はぜひ凝視してください。
包帯の入った棚に対して垂直に位置するガラス板は

上下から磁石に挟まれて支えられています。
まるで薄氷の上を歩くような緊張感がありますよね。

 

西本さんの制作は常にストイックで妥協がありません。
全体に白く硬質。緊張感のある美しい空間になっています。
作品のプレートに刻印された19から始まる5桁の数字は
西本さんが生まれてから経過した日数だそうです。

かれこれ20年くらい前に初めて作品を拝見しましたが
2万日を目前にした発表に、こちらが感慨深くなりました。

 

秋山画廊(東京都渋谷区千駄ヶ谷3-7-6)
会期 3/6(日)~ 3/27(日)
12:00~19:00(月曜休廊)
TEL 03-3401-9505
http://akiyama-g.com/