明治座で市川一座を見てきました。 | 銀座スタイルのブログ

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明治座というところは日本橋にあるのだけど、恥ずかしながら初めて本日参りました。
演題「高時」「女団七」。

「女団七」。本公演では『夏姿女団七』。ヒロインの團七縞のお梶は市川猿之助が演じます。

この演題、次回カタログに掲載予定の作品に描いたものがあるので、役者が出てきた瞬間、「あ、この画題だ!」と思いました。
木村荘八が描く「女団七」の場面(何故か木村東介さんのシールでは切られお富、となっている。)。
歌舞伎って、何百年も同じ演題をやっていて、不思議なもんだな、と思いますが、
実際見ると、繰り返し演じたくなる「価値」があるのだな、とわかります。

というのは、人間の良心も欲望も悪人の底意地の悪さもユーモアもごった煮の中に、「見せ場」がたくさん用意されていて、
「どのように」見せるか役者側が腐心し、見る側は何度見てもまた新しい提案を楽しみにしている、という共犯関係が結ばれているわけですよね。

この、女団七、なんといっても見せ場は「娘の母殺し」の場面。「本水の雨」と言って、本当の水がザーッと流れる中での暗闇での殺し。
ずいぶん映画的な演出ですが、これが生身の人間が目の前で演じられると、なにか不思議な陶酔感が劇場を包みます。といいますか、
おばさんたち、もとい、お客さんたちの「わあ」とか「きゃあ」とか水しぶきが飛ぶときの嬌声が何か一種のユーモラスな感じもありまして、
残酷で罪深いのにどこか滑稽でもありしかもサスペンスフルでもある殺陣が非現実的な怖さと生命力を突きつけてくるんですね。

歌舞伎って奥が深そうだな、と思うわけでした。