銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です

 

 

進行した乳がんでは、手術前後に薬物治療が行われます

 

手術前に行っても手術後に行ってもよいですが、手術前に行うことはいくつかのメリットがあります

 

ちなみに、手術前には、基本的に抗がん剤が使われます

 

術前抗がん剤治療のメリットは、手術が難しい症例が手術可能になることです

 

術前抗がん剤治療がすごく効いて、完全奏効と言ってがんが消失してしまうことがあります

 

その際は再発リスクが1/4~1/2に低下します

 

ただ、手術後に抗がん剤治療を行っても再発予防効果はあり、最終的な再発率や生存率は同じと言われています

 

 

サブタイプ別の術前術後の治療方針について

 

ものすご~くややこしい分野で、結構アップデートもあり、一般の人が理解するのは非常に困難だと思います

 

 

まずはルミナル(ホルモン陽性)タイプ

手術を先行した場合、再発リスクが低ければホルモン療法を行います

 

再発リスクが高い場合には、抗がん剤治療をまず行い、その後にホルモン療法+αを行います

 

TS-1もしくはベージオニオ、リムパーザを併用します

 

手術前に抗がん剤治療を行った場合には、術後は抗がん剤治療は行わず、ホルモン療法+αを行います

 

 

滅多に行われることはありませんが、術前のホルモン療法について

 

術後のホルモン療法について

 

 

手術後の再発リスクを評価する、オンコタイプDxという検査があります

オンコタイプDxの詳細についてはこちらも

 

 

再発リスクが高い場合には、抗がん剤治療を行うと再発リスクを30%下げるという効果が見られますが、リスクが低い場合にはたったの3%しかありません

 

この場合は、メリットより副作用というデメリットの方が大きくなります

 

 

術前治療で使われる抗がん剤には、このような種類があります

 

何を選択するかは、効果や副作用などを鑑みた上で主治医の判断によります

効果も副作用もこのような順番になります

 

AC/EC < TC < AC/EC+タキサン << ddAC/EC+ddタキサン

 

ddというのはドーズデンス法と言って、通常3週間おきの治療を2週間に縮める治療法です

 

投与期間を縮めると骨髄機能が回復する時間がないので、G-CSFという白血球を上げる製剤(ジーラスタなど)を投与しながら行います

 

ドーズデンス法を行うと10年後の再発率と死亡率が低下します

 

 

効果は高いですが副作用がなかなか大変なので、基本的には若くて全身状態がよい患者さんが適応となります

 

 

 

次回は、HER2陽性乳がんの術前・術後治療についてお話します

 

 

 

 

 

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