銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です
今回は、乳がん治療で用いられる薬剤について解説します
めちゃくちゃ長いし複雑です、、、
まずはホルモン治療薬から
LH-RHアゴニスト
閉経前の乳がんでのみ用いられる唯一の薬剤で、脳下垂体に働きかけて卵巣がエストロゲン(女性ホルモン)を産生しないようにし、いわゆる閉経状態にします
副作用は更年期症状が多く見られます
筋肉注射薬で、1か月/3か月/6か月に1回の製剤があります
抗エストロゲン薬
ホルモン陽性乳がんはエストロゲンをエサにして増殖しますが、エストロゲンをブロックする薬剤です
代表的な薬剤が経口薬のタモキシフェンですが、フルベストラントという注射製剤(4週間おき)もあります
アロマターゼ阻害薬
閉経前までは卵巣からエストロゲンが分泌されますが、閉経後はそれが激減します
代わりに、副腎から分泌されるアンドロゲンがエストロゲンに変換され、乳がん細胞のエサとなります
このアンドロゲン→エストロゲンに変換するアロマターゼという酵素を阻害することで、エストロゲンの量を減らします
メジャーではないので今回は省いていますが、ヒスロンHやプロセキソールという薬剤も、末期用のホルモン治療薬として使用されることがあります
アンスラサイクリン系
乳がん治療における二大抗がん剤のうちの一つが、アンスラサイクリン系抗がん剤です
ドキソルビシンを使ったAC療法とエピルビシンを使ったEC療法がありますが、効果は同程度で、どちらを選んでも問題はないです
タキサン系
二大抗がん剤のうちのもう一つがタキサン系です
TC療法もしくは、パクリタキセル(or アブラキサン)単剤のどちらかが選ばれます
AC/EC療法とTC療法ではどちらが優れているかと言うと、TC療法の方が再発抑制効果は高いです
再発リスクが高い症例にはAC/EC療法の後に、TC療法ではなくドセタキセルもしくはパクリタキセル単剤を用います(AC/EC→タキサンと表現されます)
術後補助や二次治療以降で使われる抗がん剤
ゼローダやTS-1は一次治療では用いられず、手術後の再発予防で主に用いられます
ハラヴェン、ナベルビン、ジェムザールは、アンスラサイクリン系とタキサン系が終了した後に用いられます
抗HER2薬
HER2陽性乳がんでは、一次治療でタキサン系の抗がん剤に加えて抗HER2薬のハーセプチン+パージェタが用いられます
二次治療以降で用いられるカドサイラやエンハーツは抗がん剤とは併用しません
タイケルブが用いられることは最近ではほぼなくなりました
カドサイラやエンハーツは、ハーセプチンに抗がん剤を合体された薬剤です
ホルモン療法と併用する分子標的薬
イブランスやベージニオは従来のホルモン療法薬と併用することで、高い効果を発揮します
アフィニトールはアロマターゼ阻害薬のうちのアロマシンと併用し、三次治療以降で使用される
維持療法で使用される薬剤など
BRCA陽性の場合には、トリプルネガティブ乳がんの一次治療後に、維持療法としてリムパーザやターゼナが用いられます
ただ、BRCAを調べておらず、使用されないケースも多いとか、、、
分子標的薬の新薬として、2024年3月にトルカブという新薬が登場しました
適応がPIK3CA、AKT1またはPTENを有する乳がんとなっており、遺伝子パネル検査を行わないと適応を調べることができません
免疫チェックポイント阻害薬
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