銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です
今日のブログはセンシティブな内容なので闘病中の方はお気を付けください
ってか、週初めにいきなり重いネタですみません
先週のブログ
この放送のあと、SNS上で安楽死に対する投稿が結構見られました
一般の人は安楽死賛成派が多く、医療者側は慎重派もしくは論点がズレている反対派が多かった印象があります
あらためて思ったのは、
確かに緩和ケアで肉体的な苦痛や精神的苦痛は”ある程度”緩和することができる
しかし、社会的苦痛やスピリチュアルな苦痛は緩和ケアだけでは難しい
ということです
スピリチュアルな苦痛については過去ブログも読んてみてください
今回のドキュメンタリーの患者さんは、
(予測される)状態では生きていたくない
そんな姿を家族に見せたくないし、自分も見たくない
という、まさにスピリチュアルな苦痛から逃れるために安楽死を選んだのだと思っています
(彼女のSNSを見ると日本の緩和ケアへの絶望もつぶやかれていました…)
もちろん、選べるだけの情報リテラシーと行動力、そして何よりも財力があったので可能にはなったのでしょうが、普通の人には難しいと思います
じゃあ、安楽死を選べない人はどうすれば良いのか?
緩和ケアが何とかしてくれるのか?
鎮静すれば解決するのか?
安楽死がすべての解決になるとは思いませんが、今の日本ではどうもできないことだと思います
「鎮静という方法がある」とSNSで言っていた腫瘍内科医がいましたが、鎮静を軽く考えすぎです
終末期における鎮静は、胃カメラや大腸カメラをする時に使うドルミカムという薬剤を主に使用します
いつの間にか眠っていて気づいたらカメラが終わっていた、という経験をしたことがある人はいると思います
あの薬剤を用いて、苦痛を感じなくなるまで薬剤で眠らせてしまう(意識を低下させてしまう)のが鎮静です
基本的に最期の時まで意識を低下させたままとなります(鎮静を切れば意識は戻りますが、苦痛もまた出てきます)
鎮静は「ゆっくりした安楽死」とも言われ、安楽死との境界線がグレーなので、緩和ケア医もあまり鎮静はしたがりません
あと、周りから見ていても肉体的な苦痛が非常に辛そうで、麻薬などの薬ではどうにもできない状態になった時の最終手段として用いられるものです
肉体的な苦痛でも本人の訴えだけではなかなか鎮静してくれません
という状況なので、本人しかわからないような精神的苦痛やスピリチュアルな苦痛で鎮静することはまずありません
それが、本人にとっては死よりも耐え難いような状態でも、、、です
なので、私は安楽死はあった方が良いと思っています
ただ、安楽死を認めると、自殺の代わりになったり、医療で何とかできそうな人でもそこに流れてしまったり、線引きが難しいという問題があります
死をタブーとする日本の問題や、個人の意思よりも家族や医療者の医師が優先されがちな日本では、まだまだ先の話ですが、いずれは認められるようになると思います
緩和ケアは万能ではないし、まだまだ医師による当たり外れが非常に大きな分野です
頑張っている緩和ケア医も増えているし、医療の質の格差も少しずつなくなってきている感じはします
(訪問診療の分野では全然ですけどね、、、)
でも、日本の緩和ケアの質が整って、患者家族側の情報リテラシーも整って、安楽死の議論がまともにできるようになるのは、10年以上先かなぁ
そういえば
10年計画の宮古島ホスピス計画が全然進まないまま、1年が過ぎてしまった、、、
昨年の緩和医療学会は面白かったけど、アンチ自由診療が多くてホスピス仲間はできませんでした、、、
は?自由診療の医者が何しに来たの??
って感じだったんですよね、、、ふうっ
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