銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です


 

こんなメールをいただきました

 

 

こんにちは。いつも先生のyou tubeとインスタで勉強させてもらっています。


https://www.nature.com/articles/s41591-023-02760-3
↑この内容を解説お願いします。

 

肺腺がんステージ4で遺伝子変異はKras G12Dと言われました。当時は、まだ分子標的薬が承認されていないので、抗がん剤治療、免疫チェックポイント阻害薬の治療を開始しました。最近、腫瘍マーカーが上昇してきており、不安を抱えています。このニュースは肺腺がんにも適用されますか?よろしくお願いします。

 

 

リクエストがあったのがこちら

 

KRAS変異がんに対するがんワクチンの第1相試験の結果です

 

KRAS変異は、膵臓がんで最も多く見られ(95%以上)、他には大腸がん、肺がん、多発性骨髄腫、子宮体がんなどでも見られます

 

 

この臨床試験では

局所治療後に微小病変が残存している(循環腫瘍DNA陽性)膵臓がんと大腸がんに対して、KRAS G12D変異 or G12R変異用のワクチンを作成し投与しています

 

結果です

25例中6例で残存病変が完全消失

(膵臓がん3例 大腸がん3例)

 

膵臓がんは3/20(15%)の確率ですが、大腸がんは3/5(60%)とかなり高い確率で奏功しています

 

変異別でみると、G12D 5/20(25%)、G12R 1/5(20%)となっています

 

 

膵臓がんでも15%が完全奏効って、すごい!

膵臓がん治療の希望の光となるか!

 

と早とちりしそうになりますが、あくまでもこちらは再発予防に行われた試験です

 

ステージ4で手術していない膵臓がんでこのようなが効果があるかは不明です

 

ただ、今後治験が進みこの技術が確立されたら、特定の遺伝子変異に対するワクチンが作成できるようになると思います

 

 

 

現在肺がんでは、KRAS G12C変異の場合に分子標的薬であるルマケラス(ソトラシブ錠®)が承認されていますが、質問者のG12D変異は適応になりません

 

非小細胞肺がんKRAS G12D変異でも、がんワクチンの臨床試験が始まる可能性がありますが、膵臓がんと大腸がんでも承認されるのはまだまだ先なので、いつになるか不明です

 

 

 

 

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